アクトーレス失墜 ヴィラ・カプリ

アクトーレス失墜 ヴィラ・カプリ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神5
  • 萌×21
  • 萌3
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
7
得点
39
評価数
11
平均
3.7 / 5
神率
45.5%
著者
鈴鹿ふみ 

作家さんの新作発表
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イラスト
高咲かな子 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸ノベルズ
シリーズ
アクトーレス失墜 ヴィラ・カプリ
発売日
価格
¥819(税抜)  
ISBN
9784592862710

あらすじ

イアンはヴィラで人間を性奴隷の犬に仕上げるアクト―レスという職務についていた。恋人を失った悲しみに引きずる姿から「未亡人」とあだ名され、黙々と調教をこなすイアンだったが、ある犬の死に立ち会ったことから、その犬を殺したという疑いをかけられる。身におぼえがないのに薬によって自白したとされ、イアンは一転して奴隷犬の境遇に落とされてしまう。かつて鞭打つ立場だった者が調教され、陵辱のかぎりを尽くされる…調教と汚辱の性愛幻想ロマン。 

表題作アクトーレス失墜 ヴィラ・カプリ

犬仲間 レオポルド
調教師から犬に落とされた イアン

レビュー投稿数7

「ボーイズラブ」というジャンルの壁を超える作品

前の方が詳しくレビューしてくださっているので、簡単に。

まず最初に。
普通の「ボーイズラブ」の作品を読んで慣れ親しんでいる方にはお勧めできません。
想像を超える「調教」の数々が、この本の中では当たり前のように出てきます。
けれども、その中にあるストーリーを掴み取った後は、最後までは休む暇も与えてくれません。
単純に「面白い」っていう言葉を使っていいのかどうか……、が、文句なしで面白かったです。

ですが、最初に書いた通り、
「お勧め」はできません。
ですが、この作品のキャラクターの生きる姿を見てみたい方は、覚悟して挑んで下さい。

1

現代の奇書

 腐女子の皆さん100人に読んでもらったとして、途中で音を上げることなくラストまでたどり着けるのは恐らく10人といないかもしれません。でもその10人のうち何人かはきっと、この狂った壮麗な世界から足抜けできなくなることでしょう。見事どつぼの底にはまったわたしが言うのだから間違いはありません。BLに何をおいても甘さや口当たりの良さを求める方にはまずお薦めしませんけどね。主人公に感情移入して読めば読むほど、9割方痛い、汚い、つらいの三重苦です。ある意味人としての限界を大きく踏み越え、持てるすべてを失い、命すら保障の限りでない、そんな果てに待つものは何か、見届けたいと思った方のみどうか心してお読みください。

 物語の舞台は「ヴィラ・カプリ」。指いっぽんで世界を動かすほどの富と権力を恣にする数人の好事家が、とっくに行き着くとこまで行ってしまった自分たちの欲望を具現化するため、アフリカ某国領土の一部を借り上げてうちたてた秘密の会員制アミューズメント・パークだという。古代ローマ様式の神殿を中心とした華麗なる石造りの街。そこは行政、警察、軍組織まで備えた小さくとも強大な独立国家の体をなし、どんな国の法も及ばない。そしてその実態は、世界中から見目良い(ばかりでもないけど)男を攫ってきて、犬(=性奴隷)として調教し、その手の趣味のある富豪たちに売りつけるという、ぶっちゃけ「闇の人身売買組織(ただしホモ専門)」なのだ。少々スケール大きすぎるけど。

 主人公のイアンはヴィラの人気調教師(アクトーレス)のひとりで、孤児院育ちの傭兵上がり。同じ兵士仲間だった恋人が犬の逃亡幇助の罪で処刑されて以来ずっと鬱屈した日々を送っており、仲間うちでのあだ名は「未亡人」。ただ淡々と、攫われてきた哀れな仔犬たちをいっぱしの性奴隷として仕立てる職務に専念してきたが、ある日突然、身に覚えのない犬殺しの嫌疑をかけられ、一転、奴隷の身分に堕とされてしまう。

 全裸に剝かれ、首輪をされて、これまで自分が振るってきた鞭を元同僚らから受ける痛みと屈辱。彼を買った主人は犬の扱いがむごいことでヴィラでも有名な「壊し屋」。相手の一番触れられたくない弱点をピンポイントで的確に抉ってくるそのやり口に、精神崩壊の寸前まで追い詰められるイアン。そんな彼をかろうじて正気に踏みとどまらせたのは、同じ飼い主に飼われる犬仲間のレオポルドだった。
 
 元シチリアン・マフィア幹部の彼は、仔犬時代イアンが調教を担当したが、鞭うたれれば大げさに泣きわめくくせに、終わった瞬間けろりと忘れて、逆にイアンを押し倒そうとしてくるどうしようもないバカ犬だった。身も心も憔悴したイアンが病院送りになると、尻の穴に挿せるだけの花を挿してお見舞いに来るようなあきれた奴だが、その突き抜けた明るさ、能天気さにどれほど救われたか知れない。「いつか空気のいい、きれいなところで思いっきりお前を抱きたいな、どこがいいかな」「タスマニア」―
 亡くした恋人と一緒に住むはずだった土地に、レオと立つ日を夢見るようになるイアン。

 でも主人の魔手はレオにも襲いかかる。彼に痛手を与えるため、わざとマフィア時代の腹心の部下たちに犯させる。逆上したレオは、主人を叩き殺してヴィラからの脱走を試みる。おりしもイアンの冤罪が発覚し、もう少しでその身分を回復できそうな矢先だったのに・・・そうしたらレオも奴隷の身分から解放して、2人でタスマニアだったのに・・・元兵士としてヴィラの鉄壁の守りをよく知るイアンは絶望しつつも、ともに逃げる道を選ぶ。「お前とやりたかった」追手との激しい銃撃戦のさなか、レオが叫ぶ。「もう遅いよ、バカなやつ、でもかわいいやつ。」胸のうちで応えながら、なぜか微塵も後悔してない自分に気づくイアン。土壇場で、レオを確実に逃がすため一人港に残る。傷つき、兵士に囲まれ、意識を失う寸前のイアンの瞳に映ったのは、レオを乗せたボートが爆破される瞬間だった―

 その後の二人の運命に興味をもたれた方は、ぜひ勇気を持って本編を手にお取りください。前半の酸鼻をきわめる暴虐の嵐に耐えた読者だけが、ラスト近くの胸のすく疾走感を味わえます。
 実はこの作品、ヴィラという巨大な闇の帝国からしたらほんのとばぐちにすぎません。商業作品としてはこれともう1作が10年近く前に花丸から出てるだけですが(それでもこの内容で商業化されたこと自体すごい!)この作家さんのサイトでは今も脈々と、ヴィラに生きる犬やスタッフやご主人様の物語が紡がれ続けています。すごい大所帯にもかかわらずこれがまた一人一人キャラが立ってて活きのよいことといったら!くめども尽きぬ豊潤な物語が夜ごと湧き出ているのです。まさに現代の奇書と呼べるでしょう。



 

4

背景の無いアニメを観るような味気無さ

専用ページを設けるほど世界観は練られてるのに、本編では舞台となった都市や建物はおろか主人公が監禁されている部屋でさえ殆んど情景描写が無いため、日々の出来事だけを綴った日記を読んでいるような視野の狭さでした。それでも展開の早さからサクサク読み進められますが、背景の無いアニメを観ているような物足りなさや単調さは否めません。また、SM(陵辱)シーンも情報不足から雰囲気と重みに欠け、プレイの過激さばかりが目立っているように感じました。

日常が舞台ならイメージも出来ますが、異国の、それもファンタジーを描いた作品としては不親切な気がします。設定やストーリーは面白いので残念です。

1

えげつない

こういうのが好きな人っているんだろうな、とわかるんですが、わたしには無理でした。
SM、かつ猟奇的?
痛いっていうのが、精神的だけじゃなくて肉体的にもダブルでくるので、うそっこの作り事だとわかっていても、サブイボが立ちました。

まさに、そこに愛はあるのか、というのが疑問で、BLってそこがキモじゃないかなと思うので、中盤、延々と続くハードな描写は、執着とか支配欲? そういうものに思えて、愛とか萌えは感じられなかったなあ。

ぬるいアホアホ好きだと思われていいです。
わたしは、こういうものをBLに求めていません。

4

超イタイ SM

この本、中々趣向がこらしてあります。
読者は、ヴィラ・カプリに招待されたお客様なのです。
”さあ、ここで行われる調教と物語をご覧あれ”みたいなスタンスで最初に臨むことができます。
巻頭にはヴィラのMAPが、巻末には見取り図や用語やアトラクションの解説が。
ご主人さま気分で読んでみましょう・・・と、思いきや!!!

恋人を失くし未亡人と呼ばれる調教師イアンが、ある陰謀で”犬”にされ、ありとあらゆる残虐な行為をほどこされる。
その中で、犬にされてもメゲない元マフィアのレオポルドに執着され、そして彼に希望を見出し、犬であっても何とかしようともがき苦しむ姿が描かれています。

一番理想とするSMは愛のあるプレイ。
これは愛というより、自己満足、加虐嗜好それもかなり痛みを伴い相手を虐げてプライドも何も捨てさせるプレイが満載ですので、カクゴが必要です。
その中で唯一の救いの存在はレオポルドかもしれませんが、彼はイアンを希望にしていたと思うのです。
またイアンも次第にレオポルドを望みにするように。
それほどまでに、狂ってしまってもおかしくないくらいに酷い仕打ちなのです。
ですからこの寄り添いがまた切なく、胸を締め付けられます。
しかし、彼がヴィラに売られた原因を知ったことにより、あと少しで、イアンとの幸せを目前にしながら崩れ落ちることになります。
バッドエンドなのか、、、と思いきや!?
ラストに救われました~

この組織が実に謎が深く、腐ってるのか機能してるのか、不思議な組織です。
最初から打ちのめされて、絶望しかない進行に、思いがけないラストが用意されたことが予想できなかっただけに、その度肝の抜き方は優れています。
このヴィラは、ある意味ソドムなのか?
理想のSMではないけれど、ある意味この在り方も真実であり、すごいよ!!

4

SMの街、ヴィラ・カプリへようこそ

ヴィラ・カプリというご主人様の快楽のための秘密の楽園での出来事。
ここではもっぱらご主人様が犬(奴隷)を飼うわけですが、その犬の調教を手がけるのがアクトーレスです。そのアクトーレスのイアンはとある事情で恋人を亡くしたばかりで未だ傷心を抱えているのですが、無実の罪を着せられアクトーレスから犬へおとされます。屈強な主人と格下のアクトーレスに調教されるのですが、無実を信じあきらめていないイアンは時をみて逃亡します。しかし・・・

見るからに痛そうな拘束具、あの手この手で繰り広げられる羞恥プレイ、レイプ以外の何ものでもないセックス、過去の同僚からの冷たい視線、以前自分が調教した犬よりも劣る地位・・・発狂してもおかしくないくらいの状況の中、新しい主人・ピアソンのもう一匹の犬・レオポルド(調教したのはイアン)との関係が少しずつ変わってきて・・・

事件の真相が明らかになり、レオポルドと逃亡を試み、引き戻されたものの、無実が立証され復職。離れ離れになっていたレオポルドとも再会し、めでたしめでたしなんですが・・・

いやー、SMって奥が深いですね。すごいや。

7

痛いけど面白い!シリアスな小説!

緻密な設定と、容赦ない調教小説に、花丸には、吉田珠樹さんという、調教+犬小説のオーソリティがいますが、雰囲気は全然違います。
あまさのないシリアスな小説です。
調教師のイアンが、ヴィラのたくらみから自分が犬になってしまい、調教によってプライドをそぎ落とされていきます。
いわれのない暴力、理不尽な扱い。。なにもかもあきらめていた日々だったが、自分をしたってくる犬仲間のレオポルドと過ごす時間に安らぎを覚えるようになり。レオポルドを助けたいと捨てたはずの生きる意欲が目覚めます。
ラスト、イアンがヴィラから逃げ出すことが出来るのか、レオポルドと二人でタスマニアに行こうという夢がかなうのかは・・
愛する人を失い喪失感に生きる喜びをうしなった男が、再び誰かを愛するようになるという回復の物語でもあります。
巻末には、少し分かりにくい階級制度や、ヴィラの運営組織図や、調教スタッフの階級について「ヴィラ・カプリ」のご案内として説明してあるので、これを見ながら本を読むとさらに分かりやすいです。

9

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