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ikari
何の気も無しに読み始めて、アレか、世界のケンワタナベとツマブキとアヤノゴーが出てる映画の!
…って私は映画見てないんだけど。
こちらは原作小説。
それぞれ全く無関係で住む所も違う3組の家族のもとに、身元不詳の男性が現れる。
それぞれ生活の中に馴染んで行くが、「彼」は本当は一体誰なのか。
一年前に起きた殺人事件の犯人なのか?
男に接する人間たちに、不信と不安が広がっていく…
…というお話なんだけど。
それぞれの3人の男はそれぞれ訳アリで、どの男も殺人犯・山神に思えてくる。
ここでは3組のうちの1件、都心で大企業に勤め華やかに暮らすゲイの優馬と、ハッテン場で出会い何となく家に連れ帰った男・直人についてだけ書きます。
優馬はゲイ。普段はゲイ友とつるんで面白おかしく過ごしている。
ある日ハッテン用の店で会った行きずりの直人を連れて帰り、そのまま何となく同居を始める…初めのうちはなんの甘さも信頼もないが次第に馴染み、兄夫婦にも恋人として認められるのだが…
はじめは、ゲイ友が相次いで空巣にあったこと。
自分が昼会社に行っている間に直人が何をしているのか知らないこと。
直人が嘘をついているらしいこと。
そしてある日突然直人が姿を消す。
優馬は、直人が空巣犯のように思えて………
優馬はゲイ友の中では堂々としているのだけれど、一般生活の中では少し様子が違っていて、ひとりの人間の中の強気と弱気、気を許した人間への不信のはじまりや、それに対する自分自身の揺らぎなどがリアルに描かれている。
この作品自体が、3人の男の正体は何なのか、なぜ何かを隠しているのか、3人の中に山神はいるのか、というサスペンスなのでネタバレはできないけれど、この優馬の辿る結末は優馬がゲイだからこそ余計に切ないように感じた。
そして、優馬は「直人と会う前」と「直人後」ではもう違う人間になったんじゃないのかな。
BL的萌えではなく、読み応えがすごいという意味で「萌x2」。