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12ji no kane ga narumae ni
年の差カップルの王道ストーリーに、乙女チックかつ、ファンタジックな内容を、細かいエピと絡ませ盛り込んでいるのでドキドキ新鮮!
笑いあり、涙あり、感動もあり、この一冊の中に色んなドラマと、沢山の萌が詰まった、甘くロマンチックな夢のようなおとぎお話の世界に、どんどん引き込まれてしまう作品です。
久々に再読してみて、『萌』という言葉の奥の深さを実感させられました。やっぱりひちわワールドは大好きです♡
お話の構成はもちろん、情景描写も上手いし、キャラは魅力的で、その動向やセリフ一つ一つにセンスが光ってます。
「おい、35点」なんて…さすがひちわ先生だな〜と最初からそのセリフに溺れてしまいました(笑)
テンポ良く進んでいく中でも、じっくり読ませてくれる手腕は、改めて素晴らしい作家さんだなあと感心します!
古びた屋敷に住む、気難しい医者•叶 × 負けず嫌いの高校生家政婦•朋也の年の差&年上攻もの。
傲慢・鬼畜・皮肉屋で人嫌いな叶は、勤務先の人間関係のトラブルが原因で失業中の医者。しかも、友人の三上の不注意で足を骨折。家政婦のバイトとして三上が連れてきたのが朋也でした。
三上の職業や、それまでの家政婦⁉︎に問題があったものだから…最初から色々誤解が生じてしまう訳なんです。
早く追い出そうと、セクハラや数々の意地悪をしかける叶。朋也は困惑しながらも、頑固で究極な負けず嫌いを発揮し、明るく健気に立ち向かっていきます。
2人の視点で描かれていくので、お互いの誤解や、苛立ち、戸惑う気持ちが読み手にもありありと伝わってきて、衝突しあう会話や、行動の数々は笑みが耐えませんでした。
朋也の手で、荒れ果てた家や庭が綺麗になるにつれ…叶の骨折も良くなるにつれ…2人の関係性にも変化がみられていきます。
ムワ〜っとする真夏の暑さを背景に、お互いに知らず知らず、過去の出会いや、深く悲しい傷跡に触れ合い、徐々に寄り添っていく姿は、せつなくもあり、何故か懐かしい気持ちにもさせられ癒されます。
刺々しいスタートをきった真夏の濃厚な2人だけの時間は、徐々に青臭い初恋の匂いが漂い始め…初々しく、甘い関係に変化していきます。そんな2人の心情描写のうつりかわりが本当に素晴らしいんです。
特に好きなシーンは、最後の暗闇で草むしりをし続ける朋也と、その姿を叶が見つけだすシーン。
お互いの必死な想いに涙せずには読めませんでした。
そして、このお話にはキーワードがいくつかあります。
『シンデレラ』、『懐中時計の鍵』『運命の人』、『百合の花』…もう一つ驚きのキーワードだと考えてしまうのが‼︎
実は『眠れる森の美女』も隠されているのでは…と⁉︎
「不眠症」、「全身に棘を纏ってしまった」の文中の言葉から推測できるんですけど…どうなんでしょうね⁉︎
そう考えると、朋也と叶は、それぞれにとって『運命の人』だったんだと、必然的な2人の深い繋がりが、より嬉しく感動でした。ひちわ先生だからこそあり得るなあ〜とファンとして惚れ直します!
キャラも魅力的です。
ただの鬼畜攻×健気受カップルでない所が、心を掴まれてしまいます。
家事全般器用にこなしてしまうスーパー高校生の朋也は、根性も据わっているし、一本筋の通った信念もしっかり持っている男の子。健気なくらい周囲に気を配る姿は高校生とは思えません。
子供の頃からの背景が、今の朋也を作り出したのかと思うと感慨深い気持ちにさせられる、愛くるしい受様でした。
叶は、本当に嫌な大人です(笑)
よく医者なんかと思ってしまうわけなんですけど、読み進めていくうちに、彼への印象も変わっていきます。
本来の人好きな性格であったり、滲み出てしまう彼の優しさを見つける度に心を掴まれてしまいます。
なかなか素直になれない、不器用過ぎる部分が可愛く見えてきてしまうんです。朋也によって叶の心も溶かされていく過程は見所!
想いを遂げてからは豹変(笑)激甘オヤジ化振りで…特にHシーンは、オヤジスキーの私には萌ツボでした♡
脇キャラも魅力的な人達ばかりなのもポイント大。
特に三上親子は大好きでした。
息子の方は、必然的なのか偶然なのか…二人の誤解の発端を作って引っ掻き回した強烈な人でした(笑)
でも実は、お互いのモチーフでもある、魔法使いの立ち位置は彼だったと思います。
仲は悪い親子でも、そっと叶を見守り続けた優しい似たもの親子。彼らの存在は、間違いなく2人にとって恋のキューピットでした。
最終的には、プロローグで用意されていた伏線に結びつき、ラストで全てが明確になっていくシーンは、見事なくらい素敵なハッピーエンドです。
ラストの叶の王子様っぷりは、本当に絵本の中の王子様をインスピレーションしてドキドキ見惚れます♡
どこか懐かしい気持ちと、ロマンチックな甘い幕引きにいつまでも幸せな余韻にひたれました。
書き下ろしSSをどうしても読みたくて、新装版を入手したんですけど…この書き下ろしが期待以上♡嬉しくなる位に素晴らしいのです!
短いストーリーの中に凝縮された、エピや想いに萌させて頂きました!ひちわ先生のセンスには感嘆です♡
イラストが円陣先生なのも、作品の素晴らしさにひと役かっていると思います。何処をとっても無駄のない作品でした。
本当に満足度の高い神評価です。
シンデレラストーリーや、鬼畜攻や健気受が苦手な方こそ読んで欲しいと思う作品です。
予想とは違う展開に、新しい扉が開けるかも(笑)
たくさんの萌と愛の詰まった一押しの一冊です‼︎
元医者と高校生の組み合わせで年の差カップルです、一回り以上の差があるのかしら?
3歳の頃産みの親を亡くし、新しい母親に中々馴染めなかった幼い頃、自分を勇気付けてくれた男性の落としていった懐中時計の鍵を巡り、三上という男の紹介で叶と言う男の骨折した足のギブスが取れるまでの間身の回りの世話をすることになった朋也
世話をする相手は皮肉屋で傲慢で人嫌いと三拍子そろった嫌な男だったのです。
会ったその日に朋也に「35点」と点数を付けるわ、金をばら撒いてこれもって家に帰れと追い出そうとする始末。
それもそのはず、叶は朋也を三上の経営する男相手のデリヘル(デリバリーヘルス)で働いている子だと思っていたのです。
しょっぱなから嫌がらせをされるものの、負けず嫌いの正確が災いし、一度引き受けた仕事を途中で投げ出す事は出来ないと叶の家に通い続けるうちに、彼の隠れた優しさに触れ朋也は少しずつ叶を受け入れて行きます。
この話し、叶の優しさや朋也の純粋さにすごく惹かれます。
最初叶の事を皮肉屋で人嫌いと書きましたが、叶は昔から皮肉屋で人嫌いだったわけではないのです、信じていた父の裏切り、それに伴う母親の死。母を助けることの出来なかった自分…叶の心の中には長い間大きな蟠りが解けずにいたのです
そんな叶が朋也と接する事で、苦労知らずだと思っていた彼の隠された苦悩や、彼のまっすぐさに触れて癒され又もとの優しさを取り戻して行くその過程がすごく好きでした。
視点が上手い具合に入れ替わって二人の気持ちが割りと満遍なく判るので過不足なく楽しめる気がします。
しかしいくら思い込み勘違いしていたとは言え、朋也の事をずっと三上の店の子だと思っていて気づかない叶はすごいです(笑
銀行に借金してまでお金を作り、三上に「これで朋也を自由にしてやってくれ」なんて言っちゃったりするんですよ、朋也見てたらそんな事なんてやりっこないって気づくだろ普通?
そんな叶は、早合点やおっちょこちょい以上にかなりのおバカさんとも言えましょう
「恋は愚かというけれど」と言う邦題の歌がありますが、これも相手を思うが故の愚かさです(笑
最後まで投げ出さずに頑張ったいい子には神様がちゃんとプレゼントを考えていてくれるのですよね、朋也には嬉しいおまけが用意されていて見事めでたしハッピーエンド。
ひちわさんの作品ってやっぱりいいなぁと思った一冊でした。
ドロップアウトした医者×負けず嫌いの高校生。足を折った男の家政婦のバイトをすることになった高校生。が、初対面から傲慢で、面接がセクハラつーか、あれは風俗の面接なんで…。こーゆー煽りは好きではないので読まなかったのですが、やっぱり中身はひちわさんでした。
押しかけ家政婦を追い出そうと嫌がらせをする男。でも負けず嫌いの高校生(と男は思ってない)は毎日通う。コメディのシンデレラみたいで楽しかったのですが。
風俗を営む友人が派遣した家政婦なので、勘違いするんですね。でも言動にギャップを感じるころから男の胸は軋みだす。そして、高校生には忘れられない男がいることを知って。
一方、高校生も、隠れた気遣いが気になり、淋しいだろうと考えたり、他の人が昔の彼を評するのをきいて自分だけが嫌われていると思ったり。
ひちわさんの書く人物は、血の通った立体感のある人間。萌えではなく、心の交流に涙するのです。恋愛の予感の後の過去話に、やー泣けた泣けた。
幼いころに出会った人の「いつか、心から自分を好きになってくれる、運命の人に出逢うよ」という言葉を胸に、役に立って好かれたいという想いが高じて負けず嫌いになったり。仲がよかった両親の死と真相をきっかけに世をすねたり。
「時間も、このセーターみたいに、ほどいて編み直すことができればいいのに」。それができないから、もどかしいのだ。焦らされました。
攻が時間を止めていたため、年の差は感じません。BLを超える、素敵な恋愛ものでした。
こんなに素晴らしい作品が10年も前に出ていたとは…!!
旧版を読んで「うおー!!」と唸ったら
なんと新装版には描き下ろしSSがあるというじゃないですか!!
もう、急いで新装版手に入れましたよw
(通販って便利過ぎて散財してしまいますね)
SSの構成が珍しくて、まさにショートストーリーの詰め合わせ。
先にレビューなさっている、しのさんもおっしゃっていますが
「あかり」というSS,2行なんです。たった2行!!
それが吐血してしまうくらいなんです!!本当に!!
もちろん、本編+SSだからなんですが…効くわ、相当。
再会、勘違い、思い込み、運命のキーワードの作品で
もしかしたら№1かもしれません。
お互いの印象が悪い→好きだと自覚するという展開が
大好物なんですけど、エピソードが自然で無理が無く
早く先が読みたくてウズウズしますw
炎天下、庭の草取りの最中に30分もしないうちに
いちいちどうでもいい用事を言いつけられて全くはかどらず、
嫌がらせかと思いきや、
それは熱中症にならないように叶が朋也を気遣っていたからだとか。
こういうの、悶えるんですわ…。
あと、大好きなシーンがあるんです!
三上のお土産のワインゼリーを、
自分はソファに座ったまま、叶は朋也を目の前に座らせ
スプーンを使わずワインゼリーの中のさくらんぼを食べさせます。
…このエロい事ったら、もう!!!!
叶は朋也を三上が経営するゲイ専門の秘密クラブの男だと
一人で勝手に勘違いしていたために
そんな事させるんですが、
朋也が何でも受けてたつ気性が仇となり
ますますこじれていくばかり…。
最初の乳首採寸だって、
普通やらせないし、言われた方もやらないでしょ!って感じですが
たまりませんよw
心を閉ざしてしまった叶の過去も、
家事をしっかりやるようになった朋也の経緯も
二人が再会したきっかけも
何もかもが胸にしみます!!
年上の余裕のあるH,
純粋な高校生が快感に素直に乱れる様はヨダレものです。
言いたい事の5分の1も表現出来ませんが
未読の方がいらっしゃいましたら、
是非!最初から最後まで集中して一気読みしていただきたいです!
(皆さんお忙しいでしょうから、なかなか難しいかもですが…)
読後、幸せなため息が出てしまう事間違いなしです!!
いったいどんな乳首好きエロ魔人攻めかと思うようなあらすじ文ですが(笑)、トラウマ持ちの偏屈な元医者と、彼の元に家政婦バイトとして通う高校生の、ハートウォーミングな出会いを、コミカルに、でも優しく描いた物語になります。
懐中時計の鍵の落とし主…幼少の頃に一度だけ出会ったその人を探している高校生の朋也(受け)は、ひょんなツテで、足を骨折して不自由している叶(攻め)という男の家へ、ギプスが取れるまでの期間、家政婦バイトとして通う事になります。
この朋也がこれまた非っ常ーにいい子でして、じいちゃんばあちゃん世代には一も二もなく好かれそうな、今時珍しいほどのスレてない好青年。
健気で頑張り屋、でも稀にみる負けず嫌いという点が他の健気さんとは一線を画しています。
時には笑いをも誘うその魅力。やがては叶の冷えきっていた心を、知らず知らず蘇らせていくことになります。
あからさまに朋也を疎んじる叶と、負けじと家事に勤しむ朋也。
そんな二人の意地の張り合いのようなやり取りが、くすくす笑えてたまりません。
朋也の言動が、頑なだった叶の日々をその心ごと掻き乱し、日増しに真っ直ぐな気性の朋也に惹かれていく。その変化が文面からしっかり伝わってきて、思わず頬が緩んでしまうほど。
苛々し、混乱し、呆気にとられ、時には慰められる……エピソードをいくつも積み重ね、恋愛に至るまでの心の過程がちゃんと描かれているので、かなりの年の差・しかも高校生受けという危うさは気にならないのではないでしょうか。
むしろ「こんなガキに…」と眉間に皺を寄せる叶が、可愛く見えたり。
運命の相手というロマンス直球でありながら、叶という傷付いた男の再生物語の側面が、話に奥行きを与えています。
針を止めた懐中時計と同じく、停滞していた叶の時間に、再び時を刻ませた朋也。
挫けそうになっていた幼い朋也を励ました叶の言葉が、後の朋也の土台となり、その12年後に、今度は朋也の存在が叶を掬い上げるという優しい連鎖に、ホロリときました。
脇キャラも役割がしっかりと考えられていて、特に友人三上の父の存在が、導き手として話をピリリと引き締めています。
運命の出会いを否定した上で、もう一度肯定する強さ。
そこがたまらなく好き。
もう何回読んだかというくらい読んでいて、汚くなっちゃった…。でも中身に遜色は無し。癒されます。
タイトルから連想出来るように、あちこちにシンデレラ要素が仕込まれていて、著者の遊び心が楽しいです。笑いのセンスもまたしかり。
書き下ろしも、笑えて、可愛くて、甘くて、ほっこりして。
こんなに短いのに半端なく萌えさせてしまう力量がすごいなあ。
自分はどうも小説の場合、読む時の気分や体調やら脳味噌状態に左右される事がひじょーーに多いので時間置いて3回位読みなおした作品をレビューしてるんですがこれは何回読んでも導入部分とラストが良いんですよー。
特に導入部分、幼くてアトピー持ちで再婚で義姉と義母が出来たばかりの朋也[受]が廃屋敷で叶と出会うシーンから、舞台一転して高校生になった朋也が寮で友人達と談話シーンへと切り替わりは実にスムーズでいわゆる掴みはオッケー!ドラマで言えば第一話がよく出来てるなーって感じです。
その冒頭シーンはそこで全て描かれてはおらず作中で彼らのやりとりが明らかになっていくのですがその辺も上手い。
朋也がチビではなく年相応か、やや大人びても見える容姿であったり、三上の正体等の小さい伏線もちょこちょこあって、負けず嫌い朋也と叶とのやり合いも読み手を飽きさせません。
あ、エロシーンは最後のみで最初っからエロエロな作品ではないです、この辺はあらすじ的にここチョイスするとこ違うよーー!!ってツッコミたくなりました。
17歳少年相手でしかも初体験なのにこいつ意外にエロいな、叶…と思ってたらちゃんとそこを朋也に指摘されてるし。
予定調和的な部分もあるのですが気持ち良いラストでエンディングが流れる~みたいな。
あとがきにもある様にシンデレラが下地にはなっていますがひと味もふた味も違う捻りも加わって良い味付け仕上げのシンデレラストーリーでした
バトルライフって感じが実に良かったです。
高校生だけどとある事情とつてで家政婦バイトを紹介された朋也。
家の主人は、だまってれば若くてカッコイイのに超皮肉屋。しょっぱなから無理難題で朋也を試し、辞めさせようとしてきます。
一旦仕事として引き受けたからにはと、これまた負けず嫌いなプライドを持つ朋也。一歩も譲りません。
そんな二人はこれからやっていけるのか!?が見どころです。
二人それぞれの視点から物語が進み、互いに対する勘違いや知らない部分ですれ違いが起きたりするのが客観的にわかるのでワクワクして読めました。
二人の勘違いの元凶、バイトの紹介者で主人の親友が、憎めない良い味出してますw
ギャグ部分では、二人のバトル、海老ちゃんロブちゃんの話と麺つゆの話がお気に入りです。
ストーリー部分では、なぜ叶はあんなに傲慢で皮肉屋なのか?なぜ朋也は負けず嫌いなのか?家事に詳しいかなどなど・・・徐々に明かされていく事情に自然と引き込まれます。涙なくしては語れないエピソードにハンカチかティッシュ・トイレットペーパーは、必須です。
番外・短編では、一つ一つ話はちょー短いです。
オチがあってちょっと同人誌っぽいつくりですがこういうの結構好きなのでたまらなく良かったです。
んもう神評価あげちゃお!と気分になるものです。
朋也(受け)と叶(攻め)の交互の視点でストーリーは進みます。
私はご都合主義も偶然に頼るのもあまり好きじゃなく、何かと疑問を感じたり理由を求める理屈っぽいタイプなのですが…この作品ほんとうに良かったです!
「運命の人」との12年ぶりの再会も、叶が朋也について誤解してしまうのも、きちんと筋道が通っていて自然で無理がなく自分的にスッキリ納得で、思うがままに楽しむことができました。
「12時の鐘」と「再会」をポイントに、シンデレラをモチーフにされていますが、そのロマンチックがすごく心地よかったです。円陣先生のイラストも素敵でした!
表題作の長編に、後日談のショート10作品を詰め合わせた「Short Stories」が収録されていますが、それがまた甘くて朋也がカワイイ!
めんつゆやエッチの時の電灯とか、思わず身悶えしてしまいました。
なんか今日は疲れた…という日に、笑って、叶や朋也の過去に切なくなって、さくらんぼエロにニヤけて、甘い幸せな気持ちで眠るのに良いなぁと思いました。枕元に常備しています(笑)
いつもは現実的な作品を好まれる方も、甘いロマンチックな年の差カップルはいかがでしょうか。お勧めです!
偏屈で人嫌いな医者の元へ、期間限定の家政婦として通うこととなった高校生。
この受けがとても素直でスレてなくていい子なんです。
だけど攻めはあからさまに疎んじて、セクハラめいた嫌がらせをしたり冷たくあしらったりするんだけど、メゲません。
それどころか攻めが追い出そうとすればするほど、負けず嫌いな性格ゆえここで逃げ出してたまるか!とばかりに家事に励む。
昼夜逆転をしていた攻めのお布団を朝になれば引っ剥がし、掃除機をかけ、朝食を食べないとダメです!とお小言めいたことさえ言うし、時には負けじとやり返すところもかわいい。
この攻めと受けとのやり取りが面白かった。
ちなみに受けを紹介してくれたのが風俗を経営している旧友ということもあり、攻めは受けのことをウリ専ボーイだと思い込んでます。
それにしては変だと思うことが多々あるくせに、最後のほうまで誤解したままの攻め……。
最初は鬱陶しいだけだったのに、いつしか受けの存在が生活の一部となっていく、その過程が丁寧に描かれていて良かったです。
そして「運命の人」「シンデレラ」「懐中時計」といった幾つかのモチーフが伏線となって作中に散りばめられているのですが、それが最後ですべて綺麗に回収されたところもお見事でした。
幼い受けが出会った丘の上の王子様ならぬ懐中時計の青年から言われた「きっといつか運命の人が……」という言葉。
それを心の支えにして受けが生きてきた一方で、攻め自身はそれを否定するようになってしまっていた。
そんな二人が出会う事により……という運命の巡り合わせを感じさせる素敵なお話でした。
あらすじには「乳首のサイズがうんちゃら」とあるので、さぞや変態チックなエロラブコメなのかと思いきや、ラストの締めくくり方がとてもロマンティックなんです。
なんであんなあらすじなんだろ?
書き下ろしにSSが複数収録されているのだけど、これがまた楽しい。
日常を切り取ったかのような二人の甘くて、時にはコミカルなやり取りのSS揃いで、まさに壁になった気分を味わえます。
性的な事に疎い受けに、これがセックスの作法だ、これが普通だとシレッと教え込む攻めと、恥ずかしい…と思いながらも攻めが言うならそういうもんかと信じてしまう受けというのが大好きなんです。
この作品の攻めは、電気はつけたままするのが普通だと教え込むんですね。
その「電気」ネタが書き下ろしSSに幾つか収録されていて、萌えるし、笑えます。
とりわけたった二行の電気SSの破壊力たるや!!
萌え死んだ。
本編だけなら神寄りの萌萌だけど、この書き下ろしSSの数々が非常に良いので雷です。
電子(シーモア)はあとがきが無くて残念。
私はこのお話はもう、朋也のまっすぐな強さにすべて持って行かれました!
可愛いんだよっ!
素直なくせに負けず嫌いで、何事にもいちいち真剣で、そのくせ時々突拍子も無いんだもの。
お中元の車海老を飼うとか、どんだけ可愛いんだっ!
食われたからってこれ見よがしに、庭にお墓を作るとか、その報復の仕方が妙に子供っぽくって愛しいよ~><
なんか沢山、萌えどころも好きなところもあったんだけどなぁ。もちろん「さすがひちわゆかさん」って思える上手いところも。
けども読み終わって心に残っているのは、ほっこりした、あったか~い感覚だけなんですよね。
「どこが」っていうんじゃなく、言うなら「作品全体」が、すべてとっても温かかったです。
頑なだった叶の心がちょっとずつ解けたのは、もちろん朋也の素直さや明るさ、一生懸命さが引き金だったんだと思うけど、それ以前に、叶の心にまだちゃんと柔らかい部分があったからだと思うんですよね。
カチコチに固まりきれず冷えきれず、うずくまっていた心に、あんなにダイレクトに朋也が触れたから、それがちょっとずつあったまって柔らかくなって、すっと解けたんだと思います。
人にも自分にも優しい、とっても温かいお話でした。
そんで!書き下ろし!
これがもうっ、いちいちキュンキュンきました~~~!!!
ホント、「作家さんってすっごいな」と、私は改めて心底思いました。
一個一個はすっごく短いSSとかSSSの寄せ集めで、その後の2人や周りの人たちの日常のひとコマを切り取ってあるんですが、これがどれもこれもキュンキュン><
しかも、ひちわさんらしく、短いお話にもキッチリとオチがついてるんですよ!!!
ほっとするもの、可愛いもの、面白いもの、素敵なもの。
特別なことがないことが幸せって、こういう感じかなって思います。
中でも私は、ロブスターのお話と、色違いのセーターのお話に、笑い転げました。
そんで、「明かりを点けて」ってお話では、あまりのキュン度に心臓が口から出るかと。
たった2行のSSで、うっかり萌え殺されるところでした。
最後の最後、ホントに最後の1行まで、萌えが詰まっていて、全部が幸せな1冊でした!