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kisiouji ha seishokusha ni dekiai wo sasagu
松幸先生の新刊は「魔獣」が人々を襲う、というファンタジー要素が詰まった作品。けれど、そのファンタジー要素は上手にストーリーを牽引しはしますが、それがメインになったお話ではなく、あくまで人の愛情をベースに紡がれていく温かなお話でした。
主人公は、大国・アールステット帝国の修道院に研修のために訪れている聖職者のイリス。真面目で質素な生活を送る彼の身分は、アールステット帝国の隣国、ラーゲルレーブの第5王子。しかも、正妃が生んだたった一人の王子だ。
だが彼の生育環境は過酷なものだった。
イリスの母親はテオレル王国の王女・シェスティン。が、テオレル王国は魔獣に攻め込まれ消滅。ラーゲルレーブ王に救出されたシェスティンは正妃として迎えられるが、その時すでに側室が数人おり、しかも王子を含む王の血を引く子どもたちが何人もいた状態だった。シェスティン亡き後王族争いに巻き込まれたイリスの命を守るために、イリスは王子という身分を捨て聖職者になった、という過去持ちさん。
子どもの時から守ってくれる人は少なかったイリスにとって、血の繋がりはなくても聖職者として温かく受け入れてくれたアールステット帝国の修道院での生活は心地よいものだった。
そんなある日、アールステット帝国の第二皇子の娘(王女)の洗礼式が行われることに。そして、その儀式を介してアールステット帝国の第三皇子のクリストフェルと急速に親しくなるが―。
さすが松幸さん、というべきか。
独特なバックボーンを持つ世界観を、読みやすい文体で紡いでくださっていてスルスルとこの作品の持つ世界観に引きずり込まれてしまいます。ベースとしては非常に王道、と言えば良いのか。薄幸な受けさんが、スパダリの攻めさんに愛され愛でられ、そして幸せを手に入れるというありがちな(と言ったら失礼か)お話なんです。そこに松幸さんのエッセンスが加わることで一気に色がついていく。
とにかく可愛いのが受けのイリス。
ザ・薄幸受け、というべき薄幸さに加え、彼自身の優しさや控えめさ、さらに誠実さが良いバランスでミックスされた好青年。こういう受けさん、大好き!という個人的萌えツボをしっかり押さえた受けさんでした。しかも、そのカワイ子ちゃんを鈴倉さんが描いてくださっているという眼福さよ。もうとにかく可愛い。
そして攻めさんのクリストフェルも。
こちらも、完璧なるスパダリさん。
皇子という高貴な身分に加え、イケメンで騎士として有能で、そして受けさんを溺愛するという、腐女子の夢が詰まった攻めさんです。ただ、このお方、色事には長けているようで、さらりと「いろいろな経験がある」みたいなことを言っちゃうので、個人的にはちょっぴり萎えポイントではありました。
イリスは薄幸ですし、争いごとを好まない穏やかな性格を持つ青年ではあるのですが、自分のことではないことでしっかり怒ることができるという、中身は非常にカッコ良い男の子。彼に辛辣に当たる当て馬的な女の子が登場しますが、彼女にきちんと論破するシーンなんてカッコよすぎて何度も読み返してしまった。
イリスの幼少期は過酷なものでしたが、アールステット帝国に来てからは彼の周囲の人たちが優しく温かな人ばかり。魔獣が登場したり、家族に恵まれなかったというシリアスベースのお話でありながら、全体的な雰囲気としては非常に優しく温かなお話で、その辺りのバランスも絶妙でした。
アッと驚くストーリー展開、というお話ではなく、非常に王道なストーリーではありますが、それらを遥かに凌駕するキャラたちの魅力に、萌えが持っていかれた感じがしました。
スパダリ攻めに、薄幸受けさんが愛され幸せになる。
可愛いお子ちゃまが登場する。
そんなワードにビビッときた方には激しくお勧めしたい、キャラ良し、ストーリー良し、挿絵良し、の萌え作品でした。
表紙に描かれている可愛らしいお子のお話も読んでみたいし、クリストフェルの一番上のお兄ちゃんのお話も読んでみたいし、スピンオフを激しく所望しています。
第三皇子で騎士から不憫な第五王子で修道士への一目惚れからの溺愛
隣国から修道士として聖地へと研修に来ているイリス(受け)は第二皇子の皇女の洗礼式にたちあった際、第二皇子の幼い皇子コンラードに懐かれます。
それを知った第二皇子夫妻に、元気で勉強の進まないコンラードの家庭教師に抜擢されます。と同時に、その際出会った第三皇子クリストフェル(攻め)がイリスを気遣ってくれるようになるのです。
イリスは実は隣国の第5王子で、正妃の唯一の王子でありながら、亡国の姫であった母を亡くしています。そに立場の弱さから王位継承争いの激化で、いつ命を狙われるかわからない状態だったため、早々に王位継承争いから抜け出し、今は修道士として修行中です。
現在聖地のある隣国に期限つきで赴任しています。
生国に帰った暁には正式に聖職者として俗世から離れることが決まっています。
幼い頃からのことなので、思うところはあれど、今の生活に不満はありません。
思いがけず皇族の皆と親しくさせてもらうことになり、聖地の皇族は皇位継承争いもなく皆仲が良くしていることを知り、自国との違いに驚いています。
クリストフェルは第三皇子として、皇位継承から少し離れたところにいるとはいえ、唯一の年頃皇子として肉食令嬢に狙われ辟易しています。
そんな時、洗礼式でイリスに出会い一目惚れし、時間をやりくりしては聖堂へ日参したり、コンラードの授業へ乱入したりとイリスへの接触を試みるのですが、幼少より俗世より離れた生活を送るイリスには気づいてもらえていません。
気にならない程度の強引さで少しづつイリスの隣を狙うクリストフェルを皆が早々に気づいて微笑ましげに見守っていたのが印象的でした。
聖地の教会の人たちもいい人ばかりで良かったです。そもそも神に仕える人たちなのですからこれが普通だと思うのですが。
ただ、生国の教会では、皇位継承争いに自らが巻き込まれないように、関わりを少なくするしかなかったのかもしれません。
お話はそれほど大きな事件があるわけではないですが、穏やかに2人がくっつくのが楽しかったです。
ただ、しつこくクリストフェルを狙う令嬢の起こす事件だけが不穏でした。
一度制裁をくらっておきながら更なる事件を起こす令嬢には驚きました。もしうまく行ったとしてもすぐにバレて罰を受けるであろうとなぜ気がつかないのか不思議なくらいでした。
身の程を知っていれば、苦労せずに生きていけただろうに。自分のしたことをちゃんと反省できれば良いのですが。
とにかく、今まで苦労したイリスにはクリストフェルに溺愛してもらうと良いと思います。
そして、イリスに懐くコンラード皇子が可愛くて可愛くて、天使でした。
イリスは単に目がつり目だから侯爵令嬢は意地悪だとコンラートが誤解していると勘違いしていましたが、絶対幼児特有の本能のようなものだと思います。
何かあったらクリストフェルを叱りにいくと宣言する天使が目を光らせている限り、イリスはきっと幸せですね。
先生買い。安心して読めるのですが、さらっと読んでしまったので萌にしました。王子様もの甘いものがお好きな方、小説あんまり読んだことないわという方に安心しておススメできると思います。
2年前隣国ラーゲルレープ王国からアールステット帝国に研修にやってきった修道士のイリス。ラーベルレープの第五王子ですが、大聖堂での研修が終われば国に帰り王宮聖堂に仕える予定ですが、洗礼式で関わった第二王子の子供コンラードにずいぶん懐かれたのをきっかけに第三王子のクリストフェルとも話す機会が増え・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
攻めの親兄弟甥姪(=王族)、攻めが好きな貴族(♀)、受け母(故人)ぐらいかな。皇妃が受けを可愛がっていて好きなパターンでした!コンラードもめちゃ可愛い。
++攻め受けについて
攻めは最初っから最後まで分かりやすく受け大好き星人。わかりやすい人大好き♡ちびっこコンラードと、可愛らしくイリスの取り合いをしています。強い騎士らしいけど、ぶんぶん剣を振り回しているシーンが多いわけではないのと、庶民の間にまぎれちゃおうとする力の抜けた方なので、かっこいい~というより、ふふっとほほえましい王子という印象です。
受けさんは正妃が生んだ王子だけど、後ろ盾がないのでやむなく聖職者となることでなんとか生き延びてきた不遇な方。悲壮感はあんまりなく健気さまっしぐらというより、無色透明な方という印象。少しずつ攻めさんに惚れていくので、嬉しかったです。
攻め受けめちゃくちゃ好きって訳ではないのですが、お話読みやすいし、攻め受けや、周りの女性陣のキャラが力抜けて自然体というように感じて楽しかった一冊でした!(女性陣による受けの衣装選び話が好き~)
タイトルに『溺愛』と書かれていたので迷うことなく購入。
ラーゲルレーブ国の第五王子で聖職者のイリス。
隣国のアールステット帝国に研修で訪れていたイリスは
アールステット帝国の皇女様の洗礼式の手伝いをすることに。
そこで出会った5歳の皇子のコンラードに懐かれ、それがきっかけでアールステット帝国の第三皇子のクリストフェルとの距離が徐々に近づいていきます。
そしてー…。
クリストフェルが結構グイグイきてて、最初からイリスのこと気に入ってるんだなぁってこちらからしたらわかるのですが
当の本人(イリス)は全然わかってなくて、でもそういう所を含めてイリスのこと好きなんだろうなぁと微笑ましく読んでいました。
クリストフェルはグイグイくるけど紳士的なので、かっこいいんですよね。
そしてなんといってもコンラードがとてつもなく可愛いです。
終始コンラードに癒されました。
そんなにハラハラ展開もないので、ほんわかとしたお話が読みたい時に良い作品だなぁと思いました。