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gunshin ouji to hisui no shounen, homura no chouai
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
深月さんのお話ってファンタジーものが多い気がしていますが、今作品もファンタジー要素が詰まった1冊。
円之屋さんの描かれた表紙とか、あるいは内容で某国の様だなあ…、なんて思いつつ読み進めましたが、あとがきで深月先生が「中華風ファンタジー」と書かれていて納得。壮大な、広大な、そんなお話です。
ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
大陸の大国・北窯。
この国には眉目秀麗で優秀な第一皇子がいる。天焔だ。
父でもある王の覚えもめでたく、次期帝として名高い彼が今現在拿捕を検討しているのが華翡族と呼ばれる一族だ。
有能な薬師として名を馳せ、薬の原料を求め定住する地を持たず転々と放浪する彼らは特に害はないが、国を跨ぎ移動する彼らが将来自国と対峙する可能性も捨てきれず、今のうちに自国民として確保しておきたい、という思いがあるからだった。
が、意外にも彼らは逃げ足が速く捕まえることができない。
それには理由があってー。
というお話。
華翡族は、その名の通り、翡翠色の瞳を持つ。
が、まれに黒い瞳を持つ子が生まれてくる。その子は「読み子」と呼ばれ、災いや危険を察知する能力を持っているのだという。果たして天焔は、その読み子・凪を見つけ、拿捕することに成功するが。
天焔は、凪の能力を信じられず、能力を見るために軍のために読み子としての能力を発揮させるが…、と、物語は続いていきます。
凪という男の子は薄幸受けさん。
読み子、とは、一族の中で恐れられ嫌われる存在。しかも、危機を読み取るたびに彼自身の命を削っていく。彼のすべては、命さえ、人生さえ、一族のために使われてきた。けれど彼が一族から感謝されることはない。そして、凪はそのことを不幸だと思っていない。それが普通だったから。
凪が可哀想で可哀想で。
一族のために凪は身を挺して働きますが、その一族は…、というと。
その先は読んでいただきたいですが、ちょっと胸糞です。
が。
一族を離れた後の凪は少しずつ己を取り戻していく。
何せ、スーパーダーリンの天焔がいるからでして。
天焔が、凪を可哀想だと思い、彼の幸せを願うのと同じように、読者もまた凪の幸せを願うのですが、BL作品ですから。ええ、天焔さん、凪にベタ惚れです。
天焔は次期帝という高貴な身分なので、世継ぎ問題とか、まあいろいろあります。軍を率いて国のために闘う軍師でもありますし。が、後半は甘々です。序盤のシリアス展開はどこへ行った?という感じ。天焔に愛されたことで若干の意地悪とかされたりもしますが、基本的に凪の周囲にいる人たちは凪の味方なのでベースとしては甘々です。個人的にはもう少しシリアス風味が効いていた方が好みではあるのですが、こういう甘々な展開がお好きな方は多そうな気がします。
シリアスと甘々、スパダリに愛され幸せを手に入れる薄幸受けさん。
王道と言える展開ですが、王道の良さが存分に生きた、そんな1冊でした。