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uragiri no yoru
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
人望のある警察幹部の父を持ち、
屈折した思いを抱えながら表面的に過ごす刑事・ケイゴ。
人々の噂に反して真摯な愛を求める美貌の内部監査官・ダイアー。
ケイゴは、最初仲間との賭けにのってダイアーに近づき
一夜を共にしたのちに裏切るのだが、
そんな出会いをした二人の男が、とある殺人事件を通じて
対立したり疑ったりしながら、互いを求めるようになっていく……。
ゲイにとっては寛容な(でも根強い偏見は拭いきれない)
サンフランシスコの街を舞台に、
犯罪、汚職、ドラッグ、人種差別、宗教対立、家族の葛藤と愛……
そんないかにもアメリカ的なシビアなテーマを混ぜ込みながら
ミステリーテイストで描かれている作品。
BLというファンタジックさはなく、まるで翻訳小説のような
硬くて一筋縄ではいかない世界で、読み応えがある。
事件も、そもそもケイゴのキャラクターも
単純で一面的ではなく、ある意味リアリティがあるというか
すっきりしない複雑さがあるのだが、それを含めて魅力的、
最後には未来につながる二人なりの落とし所も見える。
求めあう二人の男のセックスは、肉体を意識させ熱くて濃厚。
翻訳が多くあまりオリジナル作品のない作者だそうだが、
ぜひまた他にも読んでみたいと思わされるような作品だった。
先日『FATHER FIGURE』の翻訳で久々にお名前を拝見した、
仔犬養ジンさんの作品。
サンフランシスコを舞台に、
ゲイや異教徒への偏見、腐敗した警察組織、
それらの中でもがくゲイの警官二人の生き様と恋を
硬派なタッチなで描きます。
おそらく年下攻。
【あらすじ】
日系二世の父とユダヤ人の母をもつ警官ケイゴ(攻)は、ゲイ仲間にけしかけられ、「絶品のヴァギナ」と噂される美貌の警官・ダイアー(受)に誘いをかける。
一夜を過ごした後、ケイゴはダイアーからの連絡を無視。
しかし数ヶ月後、男娼殺害事件へのケイゴの関与を疑うダイアーに取り調べを受ける形で、彼と再会する。
殺害現場には「ユダ公の警官はグルだ」とのメッセージが残されていて…。
【感想】
本書のテーマは「裏切り」と「自分らしく生きる」
というところでしょうか。
BLというよりゲイ小説に近い印象です。
ダイアーに面白半分で手を出し裏切ったケイゴは、
自分自身にも嘘をついているように思えます。
警察幹部の息子としての恩恵を欲しいままに受け、
ゲイの自分を偽り仮面をかぶって生きている。
昔の男に裏切られたトラウマから、
愛を信じずその場限りの付き合いしかしません。
しかし、正義感からケイゴを疑うダイアーが
職場で嫌がらせを受けていると知り、心が動く。
何度も男に裏切られてきたのに
凛々しくあり続けるダイアーに惹かれると同時に、
卑怯な自分を変えたいと奔走します。
ケイゴが父にカミングアウトし、決別するシーンは
とても切なく、それでいて仮面を捨てたケイゴに
清々しい感動がありました。
そんなケイゴを包み込むダイアーの包容力も素敵。
トラウマ持ちで寂しげだけど、タフで男前という
とても魅力的な年上受でした♪
BLとしては甘さに欠けますが、
男臭いラブシーンや、
駆け引きしながら育っていく恋が素敵。
ケイゴがダイアーの車でコンドームを見つけたときの、
気まずい沈黙シーンにはニヤニヤしてしまいました。
また、ユーモラスな比喩表現がとてもツボでした。
「ユダヤ教徒らしい傲慢な面構えのペニス」
「"清教徒"的な品のある顔がペニスをくわえ」
などなど。
(下ネタばかり抜粋してすみませんw)
【作者について】
仔犬養さんは、商業作は本書と『愛の報復』の二冊のみで
あとはWebで西洋古代史モノのオリジナルや、
海外ドラマの二次を書かれています。
あとがきで紹介されているボツネタ、
私はすごく読んでみたいんですが
(特にネイティブ・アメリカンとアイルランド兵士の恋!)
マニアックすぎて商業では難しい?
いつかまた新作が出ないかなと気長に待っております。