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面白かったです、ですが、主人公らが最初から最後まで全く意思の疎通が出来ておらず、喧嘩ばかりの堂々巡り。
あまりのすれ違いぷりに悶々としました。悶々というか、本当にこの2人、くっつくのか?と…。
舞台は20世紀初頭のロンドンの社交界。海外ものが好きでちょっとクラシックな雰囲気も好き、という方は楽しめると思います。
前に読んだ真瀬さんのお話もよかったのですが、このお話も同じ作者さんだなあと感じられる、台詞の端々にはっとするような言葉が多くていい本を読んだ、と思えました。
ただし、攻めが受けに対してひどいです。そういうのが嫌な方には苦手に感じるかもしれません。
かくいう私も、受けに愛してると言ってあげない、抱きたいときだけ抱く、他に女の人とも関係を持ってる…なんて攻めは苦手です。
まさに腹黒いじわる攻め…。
上流階級の生まれのクリスは、年上で下働きだったロドニーに懐いていたのですが、強引に抱かれてしまします。クリスは彼のことを愛してるけど、彼は愛してるとは言ってくれない。
結局クリスは関係が苦しくなって自殺未遂をはかり、ロドニーは姿を消し、クリスは家の人間からも冷たくあしらわれパリのアパートでドラッグに溺れる日々…。
次にあった時、ロドニーは成功して上流階級の仲間入りで有名人。
なんだかクリスがずっと不敏なのですが、クリスは再会したロドニーに復讐しようと近づきます。
ロドニーがずっと強引だけど、ストーリーはなかなか面白かった。
どうみてもロドニーが悪い、と思う場面が何度もあります。
それでもなぜか彼を憎めないのは、出会った最初からクリスを愛しているのがわかるからです。
わかってないのはクリスだけなのですね。
もうずっとすれ違い、堂々巡りで解決しません。くっついたかと思ったらまた離れ…て感じです。
クリスはロドニーを愛してるのと同じくらい、こんな目にあわされ、堕落した生活を送る原因になったことに憎しみを抱いています。愛と憎悪が同じくらいの大きさで折り合いがつかないわけです。
単純にお互い好きだから恋人になろう、じゃ終われないお話です。
でも、最後にはロドニーが全部覆す台詞で終わらせるのですが、それかよかった。
私はロドニーよりも、途中からはむしろ主人公であるクリスのほうが何を考えているかわからなくなってきました。
ロドニーが何度も「クリスだけが例外だ。クリスだけがわからない」と言うのですが、私も全く同じ気持ちでした。
素直になったかと思えば冷たくてそっけなくてスルリと手から抜けて行ってしまう…
最初はロドニーはなんてひどい攻めなんだと思ったのですが、後半はロドニーが気の毒でちょっと同情したくなりました。
結局、ロドニーがクリスを、言い訳も見栄も階級も捨てて、何があってももう駄目かもと思っても諦めずに追って追って手に入れる、というお話でした。
クリスはいろんな意味で心が疲弊していたんだろうなぁと思います。(ロドニーのせいですが)
何度もロドニーをあしらって臆病で彼を信じられずに逃げるのに、最後に諦めないで手に入れてくれたことにお礼を言うシーンには感動しました。
誤解やすれ違いが好きでそれを乗り越えた恋愛ものが好き、て方にオススメしたい、読み応えのある作品だと思います。
20世紀初頭のイギリス。
とあるパーティーで再会を果たしたクリスとロドニー。
二人の出会いは10年前。
下働きの男・ロドニーが名家の子息・クリスを力で制し、
禁忌の快楽を教えたのです。ロドニー18歳、クリス13歳でした。
独善的に振る舞い、幼いクリスに王のように君臨したロドニー。
そんなロドニーを愛するあまり、不安と混乱に陥り、死を選ぼうとしたクリス。
二人とも若く未熟で、特に幼かったクリスはロドニーとの関係に深く傷つき、
その後の人生を狂わせてしまいます。
10年後、自分の人生をめちゃくちゃにした男が事業者として成功し、
輝かしい場所に立っているのを目の当たりにし、クリスは複雑です。
そんなクリスに退廃的な友人・ティムが、ロドニーを陥れる計画を囁きます。
クリスはロドニーを破滅させる計画に乗り出すのですが……。
クリスがロドニーに復讐しようとするのは、
まだ彼に対する愛情があるからでしょう。
愛と憎しみが彼の中でせめぎ合い、葛藤で揺れます。
またこのクリスが良いツンデレ美人で。苦悩する姿が絶品です。
同時収録作品『熱情の証』はロドニーの視点で語られる物語。
ロドニーが昔、どうしてクリスを酷く扱ったか。
それは彼の青臭いプライドや劣等感だったり。
クリスへのどうしようもない恋情だったり。
意地っ張りだし、素直じゃないんですよ!(そこがじれったい!)。
ちなみに雑誌掲載時はクリス視点だったのを、ロドニー視点に改稿されたそうです。
そういうことを聞くと、雑誌に掲載されたものも読みたくなりますね!
あと二人の恋には「身分違い」「キリスト教」という障壁が立ちはだかります。
色々とやることはやっている二人なのですが、濡れ場描写はアッサリ。
しかしその分、心理描写がこってり濃いです。
エロよりも精神面で濃さを楽しみたい人にはオススメしたいです。
メインカップル以外の登場人物も個性的で。
登場時は単なるくだらない悪党かと思ったティムが、
とても味のある素敵なキャラで。かなりお気に入りです。
初読みの作家さんでしたが、他の作品も読んでみたいと思いました。