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touka
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
攻・幡多寿弘(26) 弁護士
受・篠岡瑞希(16) 篠岡家の当主(になった)
閉ざされた村の地主の跡取り息子である瑞希は、小学校の頃から東京で下宿暮らしをしていました。
春休みに村に帰ってきた時、何かに怯えるようにして暮らしていた両親を訝しく思っていました。
数多く居たお手伝いさんを解雇し、絶対に外食はせず、自分で調理したものしか食べようとしなかった両親の、不審な死。
両親の死を疑う瑞希ですが、村人達も叔父や親族の誰もが「不幸な事故だ」と決め付けて、検死もろくにさせないよう早々に警察を追い返し葬儀を急がせた。
叔父は瑞希が未成年だから自分が後見人だと、当然のように言うその色が瑞希の警戒を強めます。
そして10年ぶりに現れた幡多寿弘。
瑞希の両親の遺言によって後見人が自分であることを主張する寿弘。
子供の頃に見た穏やかな眼差しが、強く鋭く、瑞希との距離を感じさせるものに変わっていた。
何より彼を「瑞希さま」と呼んでへりくだる姿に、叔父ほどではないにしろ警戒心が沸いた瑞希。
ダム建設の推進班の代表が現れ、通夜の席は騒然とします。
両親はダム建設に絡んで何かのトラブルに巻き込まれ命を失ったに違いない。
その真相を知るまでは村を出ることはできないと、寿弘の制止も聞かず篠岡本家にとどまることを決意。
寿弘は複数の目的があって村に帰ってきています。
村人や親類や、そして寿弘に対しても警戒を向ける瑞希を、それでいいと励まします。
警戒する瑞希の目の前で食事を作って食べさせ、未だ見えない敵から護るように常に側に控えています。
少しずつ瑞希の目に、寿弘母子が本家の流刑小屋で暮らしていた真実や、両親に遠ざけられていたため知らされなかった村の秘密を知ることに。
寿弘にどうしても村から出なければならない用事ができ、外出をしているわずかの間に、瑞希は何物かによって薬物を注射されてしまいます。
村は古くから様々な薬草で薬品を調合し売ることで生計を立てていましたから、媚薬も麻薬もお手の物。
急いで帰宅した寿弘が媚薬に苦しめられる瑞希を発見し…。
寿弘は村への復讐の為じゃなく(一応それもあったようですが)、瑞希のために帰ってきたんですよね。
真相が明らかになり、村が失われてからの2人は、ラブラブの甘々です。
時代は昭和30年代、高度成長期で都会ではどんどんと生活が便利に豊かになってゆく時代です。
しかし村は時代の流れに取り残されたような世界です。
その掩蔽感や閉塞感、押しつぶされそうな閉鎖感が感じられなくて、ちょっと残念。
ミステリー仕立てでとても面白かったのに。