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itoshisa wo oikakeru
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
物語はスリルを孕んで始まります。
傷つけた人を追いかけて上京する杜国。詰られるかも無視されるかもと思いつつ接していっても、相手の掛井は昔と同じ態度だし。
本心ではどう思っているんだろう?という杜国のもやもやと、掛井のひょうひょうとした態度にとってもドキドキしてしまいました。いつ地雷を踏むのか。いつ爆発するのか。
じれた杜国が「怒ってないんですか?」と疑問を投げかけると掛井は「怒ってるよ」と言います。そして逆になんで杜国が自分に頼ってくるのかを問います。このシーン、ひやりとすると同時に激しく高ぶるものがありました。このすれすれの感じがたまんねぇ・・・。(じゅる)
だまして傷つけた相手に掛井が本当にひょうひょうとしているんですよ。本心を見せずに煙に巻くというか。かっこ悪いところを見せたくないっていうのが徹底しているのがかっこいいです。
だまそうと思って近づいて、結果その通りになった杜国は自分でそういう部分はひねてると言っているけど、実際はそんなにひねてないと思う。それて人間誰しも持っているものから。だから共感できるんだろうなぁ。
状況に耐えられなくて杜国は爆発しちゃいます。「謝らせてください」と。杜国の感情の露土を受けてやっと掛井が自分の本音を現します。このときの会話が素敵でした。言葉には色々な意味があってニュアンスがあって時や状況によってぜんぜん違う風になっちゃう。そんな文章のカラクリ(?)の醍醐味や言葉のキャッチボールの楽しさみたいのを感じました。
くっついてからも杜国は自分のことが信じられなくて掛井とギクシャクしてしまいます。その時の掛井の対応が大人なんですよね~。ちゃんと正しいことを正しいと筋を通せる人なんです。しかも、杜国の気持ちを尊重してすべてを受け止めてくれるのです。「好きだから」という自分の気持ちだけで。泣けるほどいい人です。
ほのぼのとも違うし、シリアスとも違う、切ない系やセンシティブとでも言うんでしょうか、そんな作品です。ぐわっと大きな波や事柄があるわけではないけれども、穏やかな中にも確かな熱のようなものを感じます。最近読んだ本の中では一番のヒットでした。大切にしたい1冊です。
。・゚・(*/□\*)・゚・。
どーしようっ大好きっ。
杉原さんの作品ってページめくったときから
お互いの『好き』っていう気持ちは駄々漏れなんですよ。
じゃあどうしてふたりは恋人じゃないの?
と、いう理由を少しずつ紐解くじれったさv
先輩後輩同士、再会モノ。
本妻の息子と、愛人の息子、血縁関係はナシ。
攻めの「~しなさいよ」口調とか
何しても受けを好きでいてくれるとことか
育ちの良さそうな落ち着き感とか
もぉぉぉぉぉ全部好き!
アタシ、この掛井って攻めがかなりタイプです!
受けの鬱々としたネガティブ思考とか
ほんっとにツボw
恋人同士になった瞬間から
嫌われたらどーしようとか、フラれる心配をしちゃう受け。
あれもこれも恥ずかしいから「いやいや」言っちゃうのとか。
相手の気持ちを量るようなことをしちゃうとことかね・・・
ほんと受けは“性悪”だと思いますよw
でも、攻めはずっと受けのことを好きでいてくれんのよ!
なんだこの安心感!!!
絶対的な安心感があるのに
本読んでる間、ずっとドキドキドキドキしてた。
きゅーっとね、きゅーっと胸が高鳴る!
久しぶりに出会えて良かった〜って思えるお話でした。主人公があれこれ悩んだり計算したりする姿に、読んでいるこっちが嫌になる直前で気持ちが展開していくのが絶妙で、イライラしないでいい感じに振り回されて、気づいたら主人公の気持ちにかなり寄り添って掛井先輩の言葉や態度にドキドキできました。ひたすら掛井先輩の愛情の深さに癒されて、一緒に大切にされている感じを味わえ、読み終わった時に幸せな気持ちになれると思います。
『テレビの夜』と『いとしさを追いかける』の2編が収録されています。
読んでいてもう、なんて言うか「掛井、あんたやさしすぎるよ」と、奴のために泣いてやりたいような気分になります。
いや、なかばうさんくささを感じるほどやさしいです。
ラストに杜国はどんでん返しを喰らうかもしれないと、かすかに思ってしまったくらいです。
なかったですが。
杜国も、別に悪いやつじゃないんですけどね。
やっぱり寂しい育ち方をしたせいで、愛情を求めていて、でもそれを与えられても幸せに浸りきるよりは、それを失うことを恐れてしまう、つまりは相手を信じ切れない悲しい奴なんですね。
お互いの想いは強いのに、双方片想い的なじれったさがある話でした。
こういうの好きです。
まあ、一口で言ってしまえば、とにかく最初から最後まで、読んでいる方が泣けるほど、掛井がいい人なお話でした。
10年ぶりに読み返しました。
以前は紙の本を持っていましたが、生活の変化に伴い泣く泣く処分をしました。
でもずっと心に残り続け「あぁ読みたいな」としばしば思い出し、とうとう電子で購入。昔の作品を電子でまた所有できる良い時代になりました。掛井先輩の甘やかしは本当に中毒性があります。
杉原先生の作品はほぼ読んでおりますが、本書が1番好きです。
表紙のイラストがブラウン管のテレビなのですが、今の若い方はブラウン管のテレビを見たことあるでしょうか?
昔の作品ですが、色褪せない名作BLだと思います。私はこの作品を読むと大変癒されます。
杉原さんでは、始めに読んだ作品です。
とてもイイ!攻めの掛井が!掛井だけが!(笑
受けの杜国目線で進みます。
家庭環境の複雑さで、先輩である攻めに複雑かつ鬱屈したような八当たりのような感情があり、彼へ近づきます。
攻めの掛井は杜国の高校の先輩で、杜国を溺愛しています。
甘やかすし、酷いめにあっても結局杜国が好き。
杜国以外、目隠しでもされているような愛ですね。
とにかく、掛井が良いのです。
こんなに愛されたら幸せだわあ、とシミジミ…
杜国に怒ってないのか尋ねられ「怒ってるよ」と答える、この「怒ってるよ」がなぜか壷!
ジタバタしてしまいました。
もう、杜国がグルグルする度に「こんなに愛されてなぜわからない!」と苛々しましたし。
掛井の友人・佐賀もさぞ苛ついたことでしょう。
杜国目線で進むのにちっとも彼には感情移入できず、掛井の言葉や行動ばかり印象に残った作品でした。
掛井のおかげで、杉原さんの他の作品も読み出したようなものかな。
前半「テレビの夜」と後半「いとしさを追いかける」の2編からなる1冊。
過去に途切れた関係を修復させる、再開ものです。
杉原さんの御本はそんなに多く読んだわけではありませんが、どれを読んでも作者象がぶれていない稀有な方だと思います。いつでも思ったとおりのイメージをくれる作家さんです。
「テレビの夜」
1歳差の先輩と後輩のお話。
主人公の杜国は母子家庭で育ち、入学した高校に母親が愛人をしている男性の息子・掛井がいると知って、暗い好奇心から近づき後輩としてなつきます。
そしてこの人は自分が好きだとわかるくらいに距離が縮まったとき、杜国の打算も好奇心もばれてしまい、二人の関係は終わります。
掛井が上京して2人は完全に途切れますが、母親を失い本当に1人になった時に杜国が望んだのは掛井との関係を取り戻したいということ。
杜国は掛井を追いかけるため死に物狂いで勉強します。それが恋心かどうかは後付けです。
どちらかというと過去を追う話で回想シーンが長いのですが、それが上手く出来ているお話でした。
何より味のある掛井のキャラクターが魅力的です。
ですが、仲直りするのが早すぎて、間に何もひねりや展開はないのかとちょっと物足りなかった。過去を描いただけのような風にも感じました。
どちらかというと掛井の視点が少し見てみたかった。
好きだった杜国が、親の愛人の息子の顔が見たいために近づいてきたのを知ったときや、そこで酷い言葉をぶつけて別れたのに1年後追いかけてきて自分のアパートの前に立っていたときの気持ちが知りたかったです。
過去が重点的なお話だったので、2人の未来のお話は後半に続きます。
「いとしさを追いかける」
前半のお話の方が面白かったけど、後半の方が好みでした。
ただお話はなんてことはありません。よくあるお話です。
付き合い始めたのにベタベタすることが出来ない杜国が、でもちゃんと好きなんだ照れてるだけなんだと伝えたいのに上手くいかない。
そのうち、掛井の友人に「恋人として好きなわけじゃなく先輩として好きなだけじゃないか」と言われ気持ちがグラグラします。え、そんなところまで気持ちが巻き戻り?なんで互いに好きなのにうまくいかないのかと思いました。
前半がよく出来た内容だったので後半は平凡に感じましたが、こういう自然なカップルのお話が大好きです。
ですが、これはちょっと杜国の自分勝手さにイライラします。
掛井が優しい、本当にカッコイイ。
愛情表情の大きいほうが損をしているとは思いませんが、この話はカップルの愛情表現力に差がありすぎて流石に読んでいて気の毒になりました。
でもそこで2人の話し合いはお話の冒頭に巻き戻ります。
1人で掛井を追って東京にやって来た杜国。「それが全てだから」と言う掛井は自分ですらよくわからなくなっている杜国の感情を杜国以上に納得しているのかもしれません。
なのでこのカップルはベクトルは違えどその事実がある限りは上手くいくんだろうなぁと思いました。
腐友さんより「攻めが一途で萌える!」というプッシュをいただき読んでみました。
(ただし「受けがぐるぐるしてて鬱陶しい」という注意つき。)
読んでみたら、ほんと〜に攻めが一途で、懐深くて素敵だった。
メンタルが安定してて非常〜に好ましい。
そして、どうしようもなく受けのことが好きで好きでたまらなくて、穏やかな表面のその下から熱いパッションが時折ちらちらと垣間見えるところもたまらんかった。
対する受けは、確かにぐるぐる。
杉原さんなので、超〜焦れ焦れが通常運転だと覚悟して読み始めていることもあり、許容範囲内だったけれど。
付き合うまでのぐるぐるではなく、付き合って恋人同士になってから得体の知れない不安に怯えていて、ぐるぐるするんですね。
情緒不安定気味で、面倒。
だけど。
母から愛情をかけてもらえず、決定的な寂しさを心に抱えて育ってしまった子なんで、そういうのも仕方ないかなとも思えるんですね。
攻めからの圧倒的な愛に包まれながらも、所在なさげに何かに対して怯える姿に、「うわぁ…面倒くせ…」という言葉が喉に出掛かりながらも、「いやいや……仕方ないかも……」と葛藤する自分が…。
私は、受けが心の中で「掛井、掛井、掛井」とひたすらに名前を呼びかけて追い求めてるとこが好きだったな。
結局それが全てって感じで。
で、最後の最後で寝落ちしかけている掛井に対して「掛井さん……」と何度か呼ぶところがすんごく良かった。
ここで受けに対するいとしさが爆発して、途中確かに鬱陶しかったけど許す!!許せる!!と思えました。
好きな作家さんの本でも、感想を書きやすい本と、書きにくい本とがありまして、
この本は後者、
この作品について、どういったらいいのだろう
この二人、どっちもどっちで、
「ふたりとも、しつけーし、きめーよ」
って言う、やさぐれた私と
「思い続ける一途さが、グルグルも含めて切なくってステキ」
って言う、ウルウルした私が
どっちもホントで、どっちも違う
ただ、紗幕を通した向こうの景色のような,うっすら光る二人の世界はきれいだった。
裏切られてもそれでも愛して許している寛容で優しいキャラ、そしてそんな優しさに甘えきれずぐるぐる思い悩む主人公どうも、杉原さんはそういうキャラがお好きなようで、ルチルの二冊共に登場してきます。
が、この菩薩様のように寛容なキャラがくせ者です。
蜜の味なんですよ、くせになるほどよい甘さが、疲労した心に染み渡り癒されていくんです。
年末からの六青みつみ先生や、真瀬もと先生の痛いお話にいたたと心が疲弊してしまった腐女子には、一服の清涼剤。
ベースに深い愛情があるので、主人公がどんなに思い悩んでいても、困った奴だなって、主人公に寄り添ってくれるので、過酷な状況に陥ってるのに、心臓に負担になるようなハラハラはないので、安心してください。
かといって、甘いばっかりではないです。
自分ではどうにもならない過酷な状況に振り回され、優しさにすがりつきたいのに、そうできない主人公の痛さが、ぴりっといいスパイスになっています。