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ゆっくり歩む恋人たちを描いたデビュー作、待望の文庫化。
wish
胸を抉られるようなツラさの後の幸福感。尚也くんが幸せを、日常の人々との関わりの中から自ら探り出し、成長してゆく過程が自然でした。BLジャンルには珍しく、女性(響子さん)が、一際輝く道標。『大人の幸せは自分への義務』って言葉に心動かされました。ありがとうございました。
月村さんの作品によく登場するネガティブ受け。
その俯き加減にたまらない気持ちにさせられる作品もある一方で、いいかげんにせい!!とイライラする作品もあって、自分の分水嶺がわからない。
最近古い作品をいくつか読んで良かったので、それじゃデビュー作はどうなんだろう?と読んでみました。
受けは、生まれのせいで自己評価が低くて、欲しいものを欲しいといえずあきらめてしまう子なんですね。
ウジウジはしていないのだけど、どこか独りよがりというか頑なさが時々愚かに感じてしまって、微妙に苦手だなぁと思いながら読みました。
例えば、両親を亡くした後、残された3LDKのマンションのローンと(団信は?)、私立小学校に通う弟の学費を払うため、受けはバイトをいくつも掛け持ちしている。
弟を引き取りたがっている伯母への意地もあり、生活レベルを下げたくないからとがむしゃらに働く。
だけど、健気とか頑張り屋さんとはあまり思えなかったんです。
というのも、残された小学生の弟はいつも夜中までポツンと一人で寂しい思いをしている。
もう私学じゃなくて公立じゃダメなの?と思ってしまったし、誰のための頑張りなんだろう?と思ってしまったというか。
そして、攻め妹から関係を非難されて身を引こうとする。
それだけなら健気受けあるある展開なので理解できるんだけど、攻めがわざわざ妹を呼び出して、「お前や両親から何と言われようとも別れるつもりはない!!」と説得してくれている傍で「やっぱりぼくは‥‥」と身を引いてしまう……
えーっ……!?
ここまでしてくれた攻めの気持ちはいったい‥‥と。
弟のために頑張ったり、攻めを思って身を引いたりと一見健気なんだけど、自己満足にすぎないように感じてしまうというか……。
ここまでは「萌」程度だったんだけど、後半、受けが変わっていく様子が良かったのと、一番最後に収録されていた【priceless】が三年後のお話で読後感がとても良かったので、評価が一段階あがりました。
【priceless】の最後の1ページ
「高野さんと出会って、恋をして、少しずつ見える景色が‥‥」から始まる五行(電子で)が、すごーーーく好き。
主人公のネガティブフィルターが、攻めと恋することによって外れて、見える景色が昔と今では違う。
日常の些細なできごとに心躍ったりワクワクしたりできるのは、自分が満たされて幸せだからだと気付ける受け。
うんうん良かったのぉ!読んだ甲斐あったわ!!って感じ。
ネガティブさに辟易させられることはあっても、ネガティブ受け作品を嫌いになれないのは、主人公がネガティブ脱却&成長&変化を遂げて、自分から幸せを掴みにいこうとする姿に感動させられるからなんだなぁと改めて思いました。
1996年にこの作品でデビュー、2007年に文庫化、そして2018年に電子化。
24年前!!
でも全然古さは感じなかったです。
そしてもし当時、このデビュー作品をリアルタイムで読んでたら「デビュー作でこれ?絶対に今後も追う!!」と思ったに違いない。
ーーー
受けのバイト先の響子さんがめちゃくちゃいい大人。
「大人になったら幸せになる権利なんてない。あるのは自分で自分を幸せにする義務だけなのよ」
「私を世間の数に入れたら怒るわよ」
初期作品はエロ少なめで、そこが良い。
私が一番大好きだと胸を張っていえる作家さんです。
まずはデビュー作からレビューしよう、ということで。
1996年に花丸文庫から出て、2007年にDear+で復刊したものです。
私は結構最近中古屋で花丸文庫の物もみつけて買ったのですが、それからイラストレーターさんが変わり、かなり修正されてます。最近の月村さんの本と比べても大きく差はない感じに。
見比べてて(最初の方だけですが)おもしろかったのが、『スラムダンク24巻』→『ワンピース44巻』/『ファミコン』→『ゲーム』『DS』…時代を感じますね。
復刊で書き下ろしの『priceless』が入り、かなり分厚くお得な本です。
復刊に際しもう一度読み直したのですが、2回読んでも3回読んでも、何度読んでもいい話です…。このデビュー作から月村作品ひとつひとつへつながってる感じがします。
実現することなんてないと思うことは望んだりしない、そんな風に毎日弟と二人暮らすために大学へ行きながらバイト漬けの日々を送る尚也は、見ていて痛々しいものがあります。子供の頃のことがトラウマになっていて、『欲しい』という言葉を言えずになっているわけですが…。そんな尚也が、「本気で欲しがれば手に入らないものなんて絶対ないよ。」という高野の言葉を信じることができるようになるまでのお話です。
私はこの本(というより月村作品全般にいえますが)読んだ後は本当に前向きな気持ちになれます、人生に。
大げさだなあ!と思う方もいるかもしれませんが、少なくとも私は勇気付けられています。
たくさんある名セリフも、心に残ります。
ただ、BLという感じはあまり…ないかも。エロシーンは月村作品にしては多いほうですが、他と比べたら朝チュン程度です。
BLの王道ではあるんだけど、何かが違う。
あまりBLと言うジャンルに捕らわれず読んでもらいたい本です。
生活に疲れた、嫌気が指すなどの方におすすめしたいです。
『WISH』から続編『HOPE』へ。意味同じじゃん…?と思う方は、その流れを考えるともっと素敵になると思うので、しかもこれは英語のお勉強にもなるのでぜひ、調べてみてください♪
その小ネタだけで軽く私は感動しました…。いい題名です。
月村作品全体に言えることですが、BL初心者さんにオススメです。
萌萌萌。(MAX:萌萌萌:めちゃオススメ)
弟の担任で大学の元先輩(高野)×勤労学生(尚也)。
デビュー作なだけあって、ものすごく月村さんらしさに溢れたお話でした。
やや自虐的な主人公、家族(親類)との確執と絆、そっと軌道修正してくれる年上の攻め、主人公の成長、日常性、という月村エッセンスがギュッと詰まっています。
そんなわけで、彼女の作品を読んだことがない方はこのお話から試してみるといいかもしれません。
両親を事故で失い、まだ小学生の弟との二人暮しの主人公の尚也。
20歳という若さで扶養家族を抱え、生活費のためにバイトに明け暮れながら大学へも通う姿は、ちょっと痛々しいです。
でも痛々しくなりすぎないのは、自虐的思考が意外と冷静な視点に基づいてるからかな?そして意地を張る気の強さも持ちあわせているのも月村作品。
元先輩だったとこともあり気さくに話せる弟の担任高野は、密かに尚也の片思いの相手でもあります。
足元ばかりを見ながら走っていたような尚也が、高野という恋人を経てちょっとずつ前を向いていく姿は素直に好感が持てました。
2話目からは、恋人同士になってからの話+高野視点の大学時代のこぼれ話(この「あ、」っていう視点が面白い)+尚也の初給料話、というボリューム。
いつもうまいなあと思うのは、主人公の少年としての心の揺らぎを丁寧に書いている点です。
この話では、「しっかり者だと思われたい」という好きな人への見栄や、弟を引き取ろうとする叔母への意地、弟を自慢に思う兄の喜び、家計をやりくりしようとする堅実さ、血の繋がりだけで欲しがってもらえる弟への羨望、自分が犠牲になっているという思いなどなど…書き出すときりがないほど。
日常生活の中で起こるこうした心の動きを大事にしているのが魅力だと思います。
自虐的な主人公をすえても、必ず彼らの視野を広げさせる月村さんは(連続して読むとちょっとアレですけど 笑)他の作品の合間に読みたくなる、じんわりできる作家さん。
あと、年上攻め属性の人にももってこいの方だと思うんですがどうでしょう?
あれ、この本というより作家さんの話になってしまった…
最近『このBLがやばい!』という本の2008年度版と2009年度版を手に入れました。
正直あまり参考にならなかったんだけど(ちるちるのほうが参考になりますー)、この本は、2008年度版の「読んでおきたいBL小説」の中で、初心者へのオススメ作品として紹介されていたもので、買ってみました。
確かに良作でした。
主人公にはずっと片思いしている相手がいる。元大学の先輩で、今は弟の担任の先生をしてる人だ。その二人が結ばれるまでをじっくりと描いてました。
『WISH』は心が通じあうまで、『HOPE』は挿入編、『「あ、」』は超ショートストーリーで、攻視点で時間さかのぼって二人の出会い編です。
心が通じあうまでの『WISH』がとくに好きでしたねー。受が売春してると勘違いした攻の葛藤に、強烈に萌えました。
けど『HOPE』はイマイチでした。いいからはやくやっちゃえよと。妹なんてほっとけよとw
ノベルスで気に入ってましたが、あちらのイラストがよかったというわけではないんですが、こちらのイラストも微妙に合わなくて、ちょっと苦手です。
お話は月村さんお得意の、いじいじグルグル後ろ向き思考の受けと、前向きな明るい攻め。受けは健気を通り越して苦労性。それが楽しめるなら気に入ると思います。わたしは好きでした。