WELL

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WELL
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神39
  • 萌×25
  • 萌16
  • 中立24
  • しゅみじゃない16

--

レビュー数
38
得点
287
評価数
100
平均
3.3 / 5
神率
39%
著者
木原音瀬 

作家さんの新作発表
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イラスト
藤田貴美 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
レーベル
Holly Novels
発売日
価格
¥857(税抜)  
ISBN
9784883863143

あらすじ

ある日突然すべての建物が崩れ、多くの人間が死に、地上は真っ白な砂漠に変わった。そして生き残った少数の人間たちには、過酷な現実が待っていた...。地下にいたせいで助かった亮介と幼馴染みのしのぶは、食料もなく、飢餓状態に陥りながら死を待つように生きていた。「亮ちゃんが一緒ならいい」と言うしのぶに、死にたくない亮介は苛立つが...。

表題作WELL

家政婦の息子で従順・一途・冷酷が同居した家来くん,高校二年生
政治家の息子で甘ったれのワガママ坊ちゃま,高校二年生

その他の収録作品

  • HOPE

レビュー投稿数38

BL界の沼正三になるかもしれまい、あるいは澁澤龍彦か

あえて、文語体を使用しますので、苦手な方はご了承を。

この作品にどのような評価を下せばいいのか?
つねづね評者はそれに戸惑う。とりわけ、本書のような作品に対して「フェティシズムを介在させた欲望の投影行為」(いわゆる萌え)という評価を下すのはいささか困難を伴うだろうし、それはヘタをすれば木原にとってはいい迷惑になりかねないかもしれまい。

本書をたとえるならば、『家畜人ヤプー』のような虚無感とナンセンスが終始展開されており、その流れの一方で展開される「取り残された男の子たち」によるもがきと言ったほうが妥当である。むろん、これをボーイズラブとしてみる目線がないとまでは言えないが、“木原音瀬”という色眼鏡で見るととんだ代償を支払うハメになるのは言うまでも無いだろう。

評者としては、読みやすく「ああ、こういう作品も木原は書けるのか」と言ったような爽快な読後感さえ覚えるだけに、「BLじゃない」といった声には違和感さえ覚えてしまう。

この調子ならば、BL界の沼正三という二つ名が木原に与えられる日もそう遠くあるまい。

11

好みはわかれるかな、と(ネタバレ注意)

BLで初めて鳥肌が立つという感覚を味わいました。
「胸糞悪いBLを読みたい」ということでおすすめされて読んだのですが、まさに求めた通りの作品でした。
以下ネタバレ全開でレビュー行きます。

家政婦の息子で、幼馴染みを奴隷扱いする主人公の亮介(受)。奴隷の立場に甘んじ、主人公に深く依存するしのぶ(攻)。
いつ助けが来るのかわからない、食料も尽きかけた世界で段々醜い本性を表していく登場人物たち。
その中で、高潔さを失いきれない田村さんの存在が一際映えますね。
個人的には後半の田村さん凌辱が最高でした。
特に、切り落とされて干からびた×××を突っ込まれるのはもうぐうの音も出ません。作者さんの発想に感服です。
まさに愛も人権もない、徹底した人格軽視って感じで、1人のキャラクターの精神が崩壊する様を見たい!って人にはうってつけだと思います。

好みはわかれるとは思いますが胸糞が読みたい!!!という人には文句無しにおすすめできる本だと思います。

10

心臓の弱いかたにはオススメいたしませんが

或る時突然、自分の住む周囲が砂漠と化してしまった。
そこに取り残された高校生の幼なじみ2人の運命は・・・・・!?
というところでしょうか。

ハジメに、このあらすじを読んだ時には、世界に2人だけが取り残された!?
と思っていたので、生き残っている人たちがいるとうことにまずは驚きました。
まぁ、良く考えてみれば、二人しか居ない世界で、話が展開するわけないんだけどね。
展開どうのこうのというまえに、何も広がらないわけだし(笑

読み終えての感想。
感想というか・・・妙に喪失感しか残っていません。
なんなんだろうな。
これってBL・・・・?
男同士がまぐわっているというイミではBLかなとは思いますが。


テンポもあります。
読みやすいです。
考えさせられる部分も多くありました。
そんな深いイミはないんだよ~っていうのも有りかもしれませんが、考え方ではもっといろんな方向での見方をしても面白いかなとおもったり。

夜が明けるのも忘れて読みすすめたくらいなので、次はどうなるんだろう。
助けは来るんだろうか・・・・・という読み応えはあります。
最後をよんで完全に真っ白になりましたが。


ただひとつ。
次に読む作品はかぎりなく愛に溢れた作品にしよう。
そう思いました。
その反面、もういちど読み返したい。と自分がいたりもして

8

これは怖い

ぎゃー、甘いBLばかり読んでた自分には、あまりの衝撃です。これはホラーなり。
怖いよう、とえぐえぐしつつ読み、読んだ後もえぐえぐが止まらない。
高校生の時読んだ「家畜人ヤプー」「悪徳の栄え」に衝撃を受けた時でさえ、こんなに怖いとは思わなかった・・・だってこれ、BLだと思ってたからっ。まさかのショックが大きかった・・・。もともとホラー好きな人じゃないと無理かもしれません。
文字通りの弱肉強食・・・。逃げ場なし、希望なし、男しかいないので、個体数は増えない。しのぶの強さが紙一重なのがまた、怖い。デパ地下の屠殺場に入ってからのくだりは、夢に出てきそうなほどです。
例えばそっち系の映画「悪魔のいけにえ」にしても「ハンニバル」にしても、鬼に差し迫った食欲は感じられないし、世界はまだ機能していたので逃げ切る事もできたが、今回は世界がまず消滅していて、そして実際問題「食べなきゃ死んじゃう」んである。生命を繋ぐため、究極の選択をしなければならない、そこに「萌え」はない。サイコパスが道楽でやっていた事をごく普通の人間が生きるために実行するもんだから、もう怖くてたまらない。
ヒトはヒトである前に動物であり、生き物であり、それは真理だけど。
平和な日本でぬくぬくと生きる事がどんなに幸せか、いやでも実感してしまう、そんな作品です。

8

最初は衝撃、後から虚無感

人間って生きる為には何しでかすか解らない。
そんな人間の偽善や残酷さや儚さなど、生と死の狭間で揺れ動く感情が描かれていると思う。

一般的にはグロい。死体がうようよ出て来ます。この時点で駄目な方は読まない方がいいです。その後更に救いようのない事になるから。でもグロどんと来いな人にはこの作品は全然okだと思う(笑)

読みごたえは十分ある。先が気になってしょうがないし飽きさせない。なかなか忘れられないストーリーでした。

でもこれをBLかと問われると正直『???』な感じになる。一応、男同士の絡みはあるけど、一方通行の半ば執着のような愛であったり、愛や恋愛のへったくれもないただの拷姦であったり。。。そういう意味での愛は全くないです。仲間との絆とかはあるけど。

読後思ったことは、この後やっぱり残された人らは死ぬんだろうな。と言う事です。助けが来るとは思えないし…そう思うと何だか胸が閑散とするというか…虚無感かな。

何にしても色々考えさせられる作品ではあるし、BL作家にこう言うお話を書ける方がいるのは私としては嬉しいです。

7

BLにもこういう作品が必要

何度も読み返したい作品かといわれるとそうではない。
胸糞悪いです(苦笑)
BL版バトル・ロワイヤル?うーん、ドゥームズデイ?
ただ、やたらナンセンスな甘さだらけのBL界にあって、一石を投じるストーリー。
ま、文学界全体から言えば、特段、目新しさはないので、そう考えるとこの程度で賛否両論になるBLってまだまだ文芸として底が浅いなってことになるんですが。

えー、しかしあえて神評価。
何に対して神評価かっつーと、残念ながら木原音瀬先生にではない。
蒼龍社と担当編集さん。

木原先生には申し訳ないが、
こういう「バトル・ロワイヤル」的な小説で身の毛がよだつほど読者を追い詰めていく力はないなと感じた。ま、それが救いでもあるし、さすが女性作家さんだなぁというか。
登場人物はすべて男性なのにもかかわらず、どこか「雄」じゃないんだよなぁ。
一番ヒデェはずの大津ですら、どこかツメの甘さが残る。

ただ、そういうスキがあるから後編の「HOPE」の読後感に明るい未来を妄想できるのもあるから、あながちそれを「甘さ」とも言えないかな。

それにしても、実感しきれないぬるい絶望感の連続となる作品をあえて商業作品として発表した、発表させたということは評価に値すると思う。
こういう甘くもハッピーでもない話をBLから潰してはいけないし、むしろ積極的に評価すべき。

7

残されたのは空虚感とか喪失感とか

オススメされて、借りて読んだ本ということもあり、ある程度表現や内容がBLというには異質に過激であることは知っていたし、端からBLという概念は捨てて読んでいたので、違和感はありませんでした。
第一印象はやはり「漂流教室」です。
ずーっとあの情景を頭に浮かべて読んでいました。
しかし、BLを期待して読むにはあまりに異質で、カニバリもあるし、愛の無い全く報われないレイプもありで・・・本当に読んでいて胸が苦しくなりました。
前編「WELL」の方はBL要素を盛り込みつつ、絶望の中で小さな希望を頼りに生きていく、二人の関係の変化が描かれていたり。人類滅亡(?)の背景と状況の中でありつつも、二人を中心に話が進み、主に攻めことしのぶの真っ直ぐすぎる亮介への「愛」が、読んでいて唯一の救いでした。
後編「HOPE」はタイトルがあまりに皮肉すぎる・・・
ここで読者の好き嫌いははっきり分かれるのではないでしょうか。もうBLなんてものでくくれません。人間が境地に立たされた時に下す判断、行動、心は一体どんなものなのかを作者なりに描き、つい最近まで非現実なものであった「死」が今目の前に突きつけられており、「生」か「死」かの選択ではなく「もうすぐ死ぬ状況でいかに長く生きるか」を模索しつつ生きなければならない世界。先に希望が見いだせない状況はまさに生き地獄。田村の責任者として仲間を守りたい、最後まで「人間」としてあり続けたいという思いからの葛藤が非常に鬼気迫る印象で、萌えという感情を抱く余地はどこにもありませんでした。最後の最後まで報われない思いで終わるお話です。どこに救いをもったらいいのでしょうか・・・私は現実逃避の為に読むのが「BL」ですが、むしろ現実を思い知らされたような思いでした。これ読むと多分、いや、確実に食べ物は大切にしようと思えます。

評価として王道なBLに飽きてきたからちょっと脱線してみようかなというにはあまりに、逸脱し過ぎた内容ではありますが、作品の展開や印象、キャラクターの動かし方などどれをとっても安定感のあり、難しい題材なのに違和感をほとんど持たずに読めたのでこのような評価つけさせて頂きました。

5

抜け出せない

この作品を読み終わって数日経ちます。余韻が抜けません。
レビューというよりは、感想です。
とても好きです。ただ、腐女子の目線で好きというよりは、腐女子の目線ではないところでひっかかった好きが大きいです。
「BL」というジャンルにカテゴライズされるこの作品ですが、退廃した世界に取り残された彼らの行く末、あるいは過去の選択、世界観などに対してBLに対してではない目線で、読了後に悶々と考えさせられる作品ではないでしょうか。
いくら考えたところで、つくづくどうにもなりようのない世界なのに、それでも何度もこの作品を振り返ってしまう、そんな深みにハマった私です。
「ボーイズラブ」を求めて読むにはしんどすぎる作品ですが、心と時間に余裕があり、かつグロや胸糞表現にある程度の耐性がある方はあまり身構えず一度読んでみて欲しいです。
責任は、とりませんが(*^^*)。
……あえてBL萌え目線でのおすすめを語るなら、胸糞の悪くなるような凌辱ものが好きな方にも、刺さるシーンがあったかもしれません。私は刺さりました。

4

すべての民が 狂うがいい・・・

コノハラ作品を愛する者として この作品ははずせない。
甘ったるいのもいいけれど この作品こそがコノハラ流ではないか!
人間としての生き様が書かれている。
仏教に通じるものがここにある。
人としての弱さ・悲しみ・憎しみ・地獄の阿鼻叫喚が待っている。
表現力は世界を震撼させるであろう。
私はこの話が大好きです。
地獄の苦しみの中でもがきながらも ほんの少しの光りが差し込む。
人間として どう生きるのか?どう死ぬのか?
とても考えさせられるのだ。
人はひとりでは生きてはいけない。
コノハラ先生がこの本を通して 一番伝えたい言葉だったのだと思う。
ぜひ!読んでください!!

3

バトロワとか絶体絶命都市とかアイアムヒーロー的な

フワッと前評判の重いとか辛いとか見て読んでみたのですが、なるほど!となりました。

元々バトロワとか絶体絶命都市とかアイアムヒーローとかデスゲーム人狼とかを非BLで嗜んでいたので、そういう方向性のエンタメとして楽しめました。
得意不得意でいうと不得意なエンタメですが(私の心が弱々)それはそれとして素晴らしい作品だなと。ドラマがありますよね。良い作品でした。

割と心を抉る系と前評判を見てたので、初登場のときからいつしのぶが死ぬだろう、どんな風に死ぬだろうと読んでいたのはここだけの秘密です。

ギリギリの追い詰められた環境で人間が何人か集まったときの揉めたり助け合ったり狂気に陥っていく感じとか、それまでの常識が通用しなくなっていく感じとか。
誰がいつ死ぬんだろうとか誰がどうなっちゃうんだろうとか。スリルとも違うのでしょうけど、怖いけど先が気になる感じ、ありますよね。

個人的にやっぱしのぶがしんどくて。
もう最初に出てきた時からこの子しんどいポジションだなと決めてかかってたんですけど、希望の「好きになってくれるかもしれない」がグッときて。

あと田村さん。
田村さん…今朝殺してしまった、あと1日生かしてたらあの犬も助かった…ってのがザックリ心にきました。
この先も人生が続いて、過去を抱えて生きていく。救われて終わり、めでたしめでたしハッピーエンドではないんだっていう。
あーいいな。ってなりましたね。

萌えとは違うと思うのですが、神ですね。
映画化しよ。そんな風に思える、緩急ついていてジェットコースターのようでドラマチックで、かつ人間をしっかり描いた素晴らしい作品でした。

3

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