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千尋と並木、すでに六年付き合っている二人のお話。両視点で、並木視点では浮気二股に至る様子が描かれる。千尋視点から始まり、千尋に感情移入しやすい構成なので、並木視点は忍耐力を試される読書になるかも。結末が気になりすぎて読むのを止められなかった。
千尋はBLだと健気受けといわれそうなキャラ。多くを望まず、常に先回りして並木の希望を叶え、従属的で都合の良い彼氏になっている。そうした性格に育つ背景まで描かれており、人物設定に厚みがある。二股の末捨てられても黙っていなかったのは良かったが、壊れっぷりはあまりの痛々しさで辛かった。
並木は今までもずっと優柔不断で二股状態も珍しくなく、他人への興味が薄い。だが春山に出会って自身の変化を自覚して、心理描写は初恋を知ったときのよう。千尋が身を引いていれば彼女に転がされていただろうし、千尋の指摘がなければ、気付いたときには子供できて結婚してそう。
並木と春山の関係は噂になり祝福されて、千尋は並木にあっさり振られる。ここからの千尋の惨めさには本当に胸が痛む。秋元がいなかったら耐えられなかったかもしれない。
ブチ切れて放った言葉が並木に刺さって改心するのは、正直フィクションだなあ、と思った。三十年近く他人の気持ちを思いやれずに生きてきて、急に千尋にどれだけ酷いことをしたか理解する並木はすごい。
それ以降は、千尋が見ている夢かと思うほどに並木が著しい変化を見せ、行き過ぎた執着と溺愛が始まる。改心パートに入るとカチっとスイッチが切り替わったみたいに二次元っぽく感じ、BLとして楽しく読んだ。
各所に小さなモヤりが発生しても、こちらの感情を超える勢いで処理してくれるので、キャラへの嫌悪感が残らない。始まりがどんなに辛くても、信頼して最後まで読める書き手さんだと思う。全作読破したくなった。
冬木先生の作品が大好きで、Kindleで配信されている作品は全て拝読しております。
こちらの話は社交的に振る舞う受けの「千尋」は同期でクールで近寄り難い「並木」に一目惚れしていて、そんな2人がクリスマスに酔った勢いの身体の関係から始まるお話です。
クズ攻め×健気受け大好きな私には刺さりまくりました。
並木が浮気をしているのに気づきながらも、人の幸せを願い続けることが出来るいい子なんですよね。
過去にあった出来事も決して千尋が悪いわけではなかったのに未だに心を痛めているんです。
読み進めていくうちに胸が苦しくて深夜にぼろぼろ泣いてしまいました。
また、上司の秋元のお話が気になるところで終わってしまったのでいつか続きを描いてほしいな、なんて思っております。