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久我さんで標準語は珍しいなーと思ってたらなんとこれが初オール標準語作品だったんですな、地味にびっくりだ。
14歳で両親に勉強ばかりを強いられてる14歳の聖[攻]は、公園で黄色い鉢植えを見掛けます。
その持ち主はカイネという5歳年上の青年の物で、カイネの頼みで聖はその花を持ち帰り、その花の写真を撮ってカイネに渡すのです。
一緒にラーメンを食べたり、コロッケを買い食いしたりとそんな短い時間の出会いを聖は望み、カイエはそれに答えて付き合ってくれます。
年齢差は5歳差だけれど、14歳と19歳との差は大きな物で特にカイエは水商売で働いているので厳格な家庭の息子である聖とは住む世界からして違うのだけれど、聖にとってそんな事は問題ではなくただひたすらカイエに魅かれて行く。
平和で穏やかな2人の時間は、カイエのロクデナシの兄の出現によってブチ壊されます、兄を殺そうとするカイエと止める聖。
14歳の聖にはカイエを救う力は無く、ただ彼に伝えます、10年後に自分が大人になってカイエを守れる男になったらまた会って欲しいとそう伝えます。
カイエからの返事は無く、10年が過ぎ、それでも聖はまだカイエを想い続けていてそして10年後再び彼等は出会います。
看護士になった聖とカイエは一緒に暮らし始め、聖が望んだカイエとの時間が再び流れ始めるのだけれどもう聖は14歳の子供ではなくカイエを思いやれる男に育っている。
2人でシャチのショーを見に行くシーンは目映くてとても優しい。
ひたすら10年カイエを想い続けた14歳の聖の想いが読み手に何ともいえない感慨を与えてくれるそんな作品です。
読み終わってからも余韻に浸っていた作品。メイン二人の拙くも素朴で優しい交流に、読んでいてとっても癒されました。
中学生の聖がスナックで働くカイネと出会ったのは、塾をサボった夜の公園。きっかけは滑り台の下にあった、黄色い花を咲かせた植木鉢。気さくで兄のように接してくれるカイネと一緒にいると、苦手な勉強も頑張れる。最初は十分だけ、それから少しずつ二人で会う時間を増やしてくれたカイネ。でもどこに住んでいるのか、詳しいことは教えてくれない。
カイネというキャラクターに、聖と一緒に魅了されていきました。純粋で優しい。そしてその純粋さゆえに誰にも言えない秘密を抱えて、一人で必死に生きている。聖は彼を守ってあげたいのに、子供すぎてそれが叶いません。信頼できる大人たちの助けを得ながら、彼はカイネのことだけを思って成長していきます。再会できることを願って。
シンプルなストーリーなのに強く心に残るのは、やっぱり純愛だからかなぁ。聖を大切に思っていて、きれいなものを汚したり傷つけたくないカイネの気持ちに触れるたび、彼自身の清廉さや男気が伝わり、読んでいるこちらの心が改まるというか…。
前半、ちぐはぐなようにも思える二人の間に見え隠れする恋情らしきものにきゅんとさせられます。キツい描写もあるのに、なぜかお伽話みたいに柔らかい物語なんですよね。キャラクターの力もあるのかもしれませんが、お話の中にたくさん出てくる花の名前や、各章につけられたタイトルのせいもあるかもしれません。花がイメージさせるフェミニンな雰囲気とは裏腹に、密かにカイネの職業で萌え度アップ。しっかり男らしいやつで、、そのギャップにクラッと。。
ピュアなカップルが大好きなので、お気に入り作品の一つとなりました。
久我有加さんに惚れました。感動しました。
今まで読んだBL小説のなかでも、10本の指に入るぐらい、大好きな小説になりました。
読んでるあいだずっと、胸の奥がジリジリと焼かれるような感覚がしてました。
とくに前半の少年時代編が好きです。
主人公は中三の少年。
勉強ばかりしてる毎日のなかで出会った、カイネという五歳年上の青年に惹かれる。
カイネに癒され、カイネの懐に入り込み、カイネの闇を知る。
まだ無力な少年であることをきちんと自覚している頭のいい主人公。それでも、自分にできることを精一杯にやる。
気持ちをぶつけ、引くべきところでは引き、進むべきところでは進む。主人公にあるのが勇気と優しさだけじゃない。ずるさも計算高さもある複雑さが人間らしくて良かった。
後半ももちろん良かったです。
前半部分の閉塞感をすっかり解消してもらえて、ホッとしました。
この主人公、大好きだよ。
泣かされました。
久我さんにこんな名作を読まされたら、関西弁なんて捨てて標準語で書いて!と言いたくなってしまいますw
や、関西弁小説も好きなんで、また、たまにはオール標準語小説書いてください。
「宵待ち草」は、二人の出会いから別れまで。聖は中学三年生・14歳で、絵音は19歳。
「二人静」は再会してからの二人で、聖24歳、絵音は29歳。
聖の家は、祖父は代議士、父は教師、母は華道の師範で、姉も成績優秀な大学生です。従兄弟たちもそれなりの大企業や有名大学に行っている手前、両親は聖にもそうなってもらわないと困ると考えています。
聖は大変なプレッシャーを感じていましたが親に反発することはできず、心ではやりきれない思いを抱えながらも、表面は親の望む息子を演じることしかできないでいます。
カイネには兄がおり、兄弟は親に捨てられて施設で育ちました。中学卒業後は二人とも施設を出て、カイネは建設会社で鳶の職を見つけ、夜間の高校にも通い始めるのですが、しかし兄は世間の水になじめず、やがてカイネからお金を巻き上げていくようになります。
カイネが断ると兄の暴挙は周囲に及び、カイネの知人や友人を脅して金を取ろうとするため、カイネは職も学校も住居も失うことになりました。兄から逃げても、兄は執拗に追ってきて、カイネは、そのたびに働いたお金を全て取られ、何度も職や友人を失っています。
そんな二人が知り合い、聖はカイネに惹かれていく。
カイネの存在によって聖は精神的に成長し強くなっていきますが、14歳という年齢ではいくら相手を強く思っても、相手のためにしてあげられることは悲しいことにほとんどありません。
二人の恋も、カイネの失踪、兄の死亡という謎を残し、いったん離れ離れになってしまいます。
聖の無力感や絶望や、早く大人になりたいという渇望がひしひしと伝わってきて、その思いは痛いほどです。
愛する人を守るために強くなりたい、という聖の切ないほどの思いに、泣けそうでした。
そして10年経って再会。
そちらが「二人静」です。
カイネは兄を殺したのか?
聖は14歳の自分が何もできないと思っていたけれど、ちゃんとできたことがあったんですね。
いつもの関西弁から感じる、ある種の明るさや柔らかさがないせいか、非常にダイレクトに想いが伝わってきて、切なくセンシティブな作品となっていました。
個人的にはものすごく好き。
とても丁寧に書かれていて、ピュアで切ない純愛が最高でした。読んで良かったと思える作品でした。
家庭内のプレッシャーに窒息しそうな日々を送っていた聖と、
事情で他人と深く関われず、独りきりで生きているカイネ。
寂しくて孤独を抱えた二人の出会い。
理不尽な世の中で力のない子供達(カイネは19歳ですが、やはりここでは子供でしょう)が傷つき、
押しつぶされそうになっている描写が、辛くて泣けます。
読んでいて、無理解で傲慢な大人達に腹を立てることも度々有りましたが。
カイネや聖を理解し、優しく見守ってくれる大人や友人も存在し、救われます。
どちらかというと重いお話だと思いますが、読後感はとても爽やか。
ひとりの人間の人生を受け止めるには、愛情だけでは駄目。
小さな子供だった聖が、カイネの為に力のある大人になろうと決意した一途な思い。
そんな聖を信じて待ったカイネ。二人の深い愛情に、胸を打たれます。
そしてこの作品は、関西弁で書かれて来た久我さん初のオール標準語作品です。
私はお国言葉が大好きで、関西弁に限らず方言小説は大好きなのですが。
方言(特に関西弁)で書かれた文章がダメで、久我さんを避けられて来た方には、
この作品をぜひ読んでいただきたいです。
聖は、優秀な姉を持ち、代議士の祖父、高校教師の父、華道の師範の母、そして優秀な姉を持ち、自身もまた、優秀な成績を望まれ、レベルの高い大学に行くように期待されていた。しかし、有名私立中学に入ったものの、成績は下降しはじめていたが、成績の優秀さと真面目さだけを両親から褒められて育った聖は、成績の下がった今、真面目ささえも放棄するわけにはいかなくて、毎日閉塞感を覚えていた。
そんな日々の中、初めて塾をサボってしまった日に足を向けた公園で、聖は五つ年上のカイネと知り合った。
聖の周りに今までいた大人とは違い聖を成績や真面目さ以外で評価してくれた唯一の大人だった。そんな印象的で自由そうに見えるカイネに、聖は瞬く間に惹かれて行ったが、カイネには人とは深く関われない理由があった。
カイネには兄がいた。カイネからのみでなく、カイネの周りにいる人間からもお金を巻き上げ、暴力をふるうような兄が……
聖はそんなカイネを守りたいと思った。
でも、聖はまだ世間的には未成年と言われる年齢で、カイネを守るだけの力も能力も何も持ち合わせてはいなかった……
後からぐさっとくる小説だな……と、読み返して思いました。
まっすぐで、でも、ひどく重いです。
「子供は何にもできない」
すぎてしまったからもう忘れかけていましたが、この事実はその当時にはひどく重い。
今、本を読んでいて思い出しました。
結局、聖もその事実をしっかりと受け止め、時が過ぎるのを「待つ」という選択をしました。賢くて、おそらく正しいけれど、悲しい選択だと思う。
自分じゃ何も出来ないことを受け入れるのはつらい。
そして、それと同時に、何もできなかった相手のことを想い、信じて、待たなきゃいけないんだ……。
信じるのが多分、本当は一番難しい。
きっと人は、好きな人のことを想うと、手を差し伸べたくなるけど、そうじゃなくて、相手はきっと大丈夫だって信じることしかできないんだよ。
絶対に、歯がゆかったと思う。
けれど、ちゃんと10年後には再会できて、本当によかったと思います。
十年後まで待った二人のピュアなラブストーリーと、切なさがうまく混ぜ合わされた素敵な話です。
切なくて、痛くて、胸がぎゅっとなる小説をお求めの方は、ぜひ。
公園で偶然出会った謎のお兄さんに恋してしまった中学生、と言ってしまうと淡い初恋を描いた可愛いお話を想像するが、このお兄さんの背景が重苦しくて、心にズシンと来る。
主人公はなにかしてあげたいと思いつつも、中学生なのでなにもできないまま離ればなれに…そして十年後、という流れ。
淡々としていて、年齢差もあるせいかなかなか恋愛も進まない。自由のない閉塞した環境で、家族が毒でどうのこうの、というお話はやはり重すぎて萌えづらかった。若い頃の十年って長すぎるよ。カップリングも逆がよかったなあ…。