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mangetsu ni kourinsuru binan
普段は地味で冴えないリーマンなのに、満月の時だけ老若男女を骨抜きにするレベルの絶世の美貌男カグヤに変身してしまうという特異体質を持つ周が主人。
ぶっちゃけ、どちらの人格も好ましいとは思えなかったんですよね……。
普段の人格・周は、特異体質を知られないため友達付き合いも避けて……という仕方ない事情を抱えているとはいえ、やたら後ろ向きで僕なんか……みたいな感じでなんかイライラさせられる。
満月ver.のカグヤは、自分の魅力に1000%の自信があるイケイケ男って感じ&入れ食い状態の俺、イケてる!みたいな感じで性にも奔放で、自信満々なところがかわいくない。
で、攻めは満月時のカグヤに一目惚れしてしまい……。
ネタバレで申し訳ないのですが。
カグヤよりも周をLOVEっていうのが、ピンとこず。
え?そこまで好きな気配あった?!
それよりあんた、めっちゃカグヤにご執心だったじゃん!!と思ってしまい。
さらにわたしが微妙だなぁと思ってしまったのが、童貞処女の周とビッチのカグヤが共存しての初エッチ。
ビッチになったりウブになったりする様子に忙しそうだなぁ……と思ってしまいました。
それと攻めに申したい。
カグヤへの想いとは決別して、周を愛したんじゃないの?
なのに、別人だと思ってたカグヤのビッチっぷりも喜んで愛でてるところがなんか嫌だなぁ…と。
これが同一人物だと事前にわかってたら、どっちも愛してるよ!も納得できるんだけど、カグヤは別人だと思ってたのに一人で二人分美味しいみたいなの、なんか嫌。
でも、零細企業の駄菓子製菓会社を立て直そうとするところは読んでて面白かったです。
小さい頃のお隣さんが駄菓子屋さんだったので、小銭を握りしめてあれこれ悩んだなぁとか思い出しました。
それとギムレットに絡んでレイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」が出てきたところがあり、あの小説が好きなので嬉しかったです。
本当に、設定は面白いと思いますよ。でも他の方のレビューにもあるように、(特に攻めに対して)モヤモヤしてしまう人が出てくるのも仕方ないかなぁという感想です。
以下、そもそも論というか、IFだったり物語の根幹に触れてしまうので、未読の人は回れ右でお願いします。
ちゃんと伏線のように「カグヤ」という名前、「モーント」というバーの店名、と序盤にヒントを出しているのだから、攻めが自分で気づく、という展開に持っていけばよかったのにな~と思います。
でもその為には、ちゃんと満月にだけ変身するという設定を生かし、はじめは月イチ以下でしか接触出来ないだろうし、数年単位の時間が必要になるでしょう。
月イチでしか会えない「カグヤ」と、毎日仕事で接していく「周」とで攻めの気持ちが揺らいで逆転していく様を無理なく描けたと思います。
しかしそれでは「老舗駄菓子会社の再建」が間に合わなかったのだと思います。こちらは急を要する問題で、ちんたら何年も描けていられません。
なので暴論ですが、「満月に変身する男」の話と、「老舗駄菓子会社の再建」の物語を、それぞれ別の本で描けばよかったのではないかと思ってしまったのですよね。
オチについて賛否レビューが付いていますが、わかる……という感じでした。
めちゃくちゃネタバレです。
人格の統合自体は良いと思います。
ただ、統合の仕方や、その後の主人公の様子がなんとも……。
そもそも、カグヤと周が同一人物に思えないんですよね。
周りの大人たちは同一人物だと主張しているのですが、統合後の「周がベースでカグヤがちらほら」発言がもう別人認定してるよね? と思ってしまいました。
ただ、ラストにかけての、カグヤっぽい発言をしてしまう周とか、周の仕事について考えてしまうカグヤとか、二人が少しずつ近付いて行くところは良かったです。
もう一人の自分を受け入れる流れになるんだろうなぁと思いました。
が、最後の最後にバチバチッと一瞬で混ざりあってしまうんですよ……。
しかも性格がめちゃくちゃカグヤに引っ張られてる。
相手の男も、見た目はカグヤに一目惚れをしたけど、周の心根に惚れて周に告白したんですよね……? それで良いのか……?
もっとじわじわ歩み寄って(実際そんな流れだった)、いつの間にか一つになっていたら受け入れられたと思います。
これを受け入れられるか否かで周と付き合えるか否かが変わるのかもしれませんが(笑)
お話の設定や完成度や着地点は神です。
読み終わった直後の今、着地点に混乱しており素直に良かったね〜!と言えない状態です。
タイトルとイラストに怯まずぜひ読んでほしい作品です。それだけは確かです。
両極端な周とカグヤ。足したらちょうどいいのに…と思ってました。
本当に一冊読み応えがありハラハラドキドキとともに、周の切なさや変化にどうなっていくの?とグイグイと読めました。
周の特殊な設定とそのせいでの今の人格。でも新しい上司の神宮寺はちゃんと認めてくれて。こんなにイケメンでモデルか俳優みたいなハイスペエリートなのに。
だけどカグヤに出会った彼は…。
最後の着地点がやはり気になって。
神宮寺の言い分に納得はするけど、うーん。なのと周とカグヤのその後もうーん。
さらにエッチも、うーん。
会社の立て直しや国民のおやつや駄菓子屋の存在意義などもとっても良かったです。
人情的な部分や都会的な部分も、色々盛りだくさんでした。
着地点について言いたいことがあるけど、それを言うとネタバレになってしまうので書けません。でも言いたい…。
これは人外モノにに分類されるのか?
受けの鵜養は満月になると別人(ではなく、究極のイケメンになる)になるという厄介な性質を持っている。見た目だけではなく精神的にも男前ではっきりして色気のある男に。
その鵜養の勤める会社は経営が崖っぷちで、社外から社長の友人である神宮寺(攻め)を専務として迎えるがうまく社員とは行ってない。
神宮寺は社内では鵜養と、そしてバーでは鵜養の変化系のカグヤと接点を持つ。
そして惹かれていき…
萌え要素としては少し抑え気味ですが、神宮寺がカグヤと鵜養の双方に惹かれていく様をうまく組み立てられていて、一つ一つのエピソードが二人の関係に繋がっていて読んでて面白かったです。
最後には変化がおさまって最終形になった鵜養とめでたく結ばれます。二重人格的な迂回とカグヤの関係も面白い設定でした。
個人的には神宮寺への想いをベースに鵜養がカグヤに感化されて、仕事で自分を出していくようになれるのがツボでした。
思い入れのある駄菓子に対するブレない気持ちが、そうさせたんでしょうね。そしてカグヤへの嫉妬?憧れ?がより一層鵜養を成長させたんじゃないかな。だからこそ同一化した時にうまく融合できたんではないかと思いました。
久我先生作品は初見です。
受が満月の夜にだけ別人格のカグヤに変わるという設定。
別人格になってもその時の記憶は残るというのが面白かったです。
カグヤの言動に普段の受が悶々としたり、逆に普段の受の言動にカグヤが苦言を呈したりする様は、読んでいてどこか不思議な気分になりました。
攻のカグヤに対する好意は最初からあからさまでしたが、普段の受に対する好意は何となくわかる……かな?程度の描写に見えました。
だから告白シーンはやや唐突に感じてしまったところがあります。
いつの間に普段の受に対する好意がカグヤに対するそれを上回っていたのだろう?という気持ちになりました。
あとは2人で行為に至るまでの流れもやや唐突に感じられました。
ただ、行為中に受がカグヤ寄りのメンタリティになり、1人でシているのを攻に見せ始めるところは個人的に好みのシーンでした。
物語全体の流れがややぎこちなく感じられましたが、ちょっとしたファンタジーものを読みたい人におすすめです。
経営が傾きかけた会社が舞台なので、お仕事小説のような側面もあります。
物言いがはっきりしすぎるエリートサラリーマン×満月の夜に見た目も中身も別人になってしまう同僚です。
満月の夜に人が変わってしまうというのは、例えば獣人とかならわかりやすいですが、人間のまま絶世の美男子になって性格もアグレッシブになるという、何とも風変わりな設定の作品です。ちなみにお互いの記憶は共有しています。
変わっているといえば、本作は久我作品には珍しく?メインキャラが関西弁を喋りませんので、関西弁をお求めの方は久我先生の他作品をお手に取ってください。
メインの2人は同じ小さな製菓会社で働いています。出てくるお菓子、たべ◯子的な感じを想像していました。最近とてもグッズ人気がありますしね。
受の周が攻の神宮寺に気にかけられるようになったきっかけが、圧のある攻の前で、頑張って自分の意見を言ったこと。頑張りを認めてもらえるってすごく素敵なことですよね。ここの始まり方がとても良かったです。
それと同時進行で、満月の夜に絶世の美男子・「カグヤ」の状態の周と出会った神宮寺は、一瞬でカグヤに恋をしてしまうのですが…。
ネタバレになりますが、ここ、もしかして実はカグヤ=周だって気付いてたりしないかな?なんて思ってましたが、結論、最後まで同一人物とは気付いてなかったみたいですね。本格的に見た目が変わっていたことがわかります。しかしいつもの周とたまに現れるカグヤ、それぞれにもう一方の影響が出ることがあるので、神宮寺は「なんかたまに印象が被る…」と不思議には感じていたようです。
周のカグヤへの「変身」は、本来は満月の夜だけなのですが、神宮寺と接近したことによって周がカグヤに強い劣等感を持つと、周期にかかわらず変身してしまうように。そうするといつか必ず起こるとわかる、「変身の瞬間を神宮寺に見られる」場面。
さらにこの「変身」は遺伝的なものですが、だいたい30歳くらいで終わるということで、28歳の周の変身も終わりに近づいていることがわかってきます。そうすると一体周はどうなるの!?カグヤの人格はどこへいっちゃうの!?と、非常に楽しく読めました。
が!!物語の結末は、正直、私が期待していたのとはちょっと違う感じで…。
完全にネタバレですが、周の変身が最後の時を迎えた瞬間、なんと周とカグヤが見た目にも中身にも融合した人間が誕生しました。え、見た目融合しちゃって大丈夫!?って思いますが、顔の印象が概ね周っぽい形で収まったことに加え、もともとくるくる天パだった周がサラサラストレートのカグヤと混ざった結果、髪が良い感じのウェーブヘアになったことから、どうやら「イメチェンして垢抜けた」かのような見た目になったようです。なので周囲の人は混乱せず、そこの点は納得いきました。
ですが中身は、かなりカグヤ寄りになったように思えてしまって…。
神宮寺に対する口の利き方が、周単体では考えられないほど砕けた感じになり、Hも積極的な場面が多く見えたし、その後の関係も、恋人同士になって打ち解けたからといって、威圧感のある上司にここまで気安い感じとは、カグヤの要素出すぎじゃね?と思ってしまいました。
基本的な主人公が周なので、「融合した」ことを印象づけるためのカグヤ要素だったのかもしれませんが、私が勝手に「周1人でもカグヤが持っていたような強さを発揮していけるようになったから、カグヤは消えた」という結末を期待してしまっていたが故に、個人的には逆に周の要素がほぼ消えた(見た目以外)みたいに感じてしまいました。う〜ん、でも私の期待が、ネガティブな二重人格設定をよそから持ってきて重ねてしまっただけにも思える…。周にとってカグヤはあくまで特異体質が生み出したもので、カグヤの存在自体がネガティブなものということではなく、消えるべきと決まっている訳でもないのに。というか単純に周みたいな初々しい人の方が私の好みってだけかもしれない…。
ただ読んでいる方がどんな結末を期待していたかにかかわらず、融合後の周の中身が全然周っぽくないなというのは皆さん感じられると思いますので、結構呆気にとられるのではないでしょうか。
私はその点にしょんぼりしてしまったので、途中までめちゃくちゃ楽しかったけど最後がう〜ん?ということで、評価は間を取って萌2にしておきます。
満月の夜に美男に変身!!
ファンタジーだけど、獣人に変身ではなく全く別人格で見た目も変わるのが面白かった。
地味真面目な周の一生懸命な切なさ、返信後の魅惑的なカグヤのイケイケっぷり、
さらに、周の前ではバリバリ上司でカグヤの前では健気になる神宮寺…
周とカグヤは別人格だけど、記憶は共有しているから
コンプレックスやお互いに対する神宮寺の対応に心苦しんでるのが切なかったり。
いろんな面が見れたの楽しかったです。
ベッドの上での2面性には多少戸惑ったけど、初心な面と手練れっぷりが見れたのはおいしい!!!
老舗駄菓子会社の再建面もぶつかり合いながら一生けん命取り組んでく
周の成長に熱くなり、お仕事ものとしても読みごたえがありました!
ローファンタジーって、読んでいると突然冷静な自分が割り込んできて一瞬醒めたりすることがあったりするんですが、なんですかこのナチュラル仕様。ふぁ〜、やっぱり久我先生だなぁ〜。受け、攻めそれぞれの片思いにキュンキュンでした♡(設定的に両片思いとはいえないのがポイント♪)
主人公の周はクセ毛を異様に気にする中小企業の地味リーマン。モスグリーンの作業着に身を包み、自分の言動で周囲が不快にならないよう言葉を選んでものを言うのが常でした。それには理由があって、彼が子供の頃から背負ってきた不思議な習性が関係しています。
ストーリーはぷちファンタジーでありながら、基本は周が勤務する駄菓子メーカー「よもだ製菓」が舞台です。経営難に喘ぐ3代目社長が、大手食品メーカーに勤務していた大学時代の後輩・神宮寺を専務に迎え入れることで、テコ入れを開始して二ヶ月…。神宮寺は上等なスーツが似合う、いかにも「仕事できます」風なモデル並みのイケメン。実際、有能な彼でしたが、創業当時から働く古参社員から敬遠されていため、社内ではなかなかうまく立ち回れずにいました。
周は社の看板商品「なおちゃんのおやつ」に特別な思い入れがあって入社した経緯があり、会議ではなにかと的を射た提案が採用され、神宮寺から一目置かれるように。少しずつ神宮寺の方から周に意見を求められる場面が増え、二人でお昼を共にするほど仕事上の信頼関係が生まれていきます。
初めは神宮寺のことを苦手な上司くらいにしか思っていなかったのに…。就業中、ジワジワと神宮寺を意識するようになってしまった周。と・こ・ろ・が!神宮寺にはプライベートで一目惚れしてしまった男性がいることを知ってしまい……以下はファンタジー設定できゅんきゅんしてくださいっ!!
この設定、自分的に性癖なのかなぁ〜
エンタメ界隈では使い古されているかもしれないけど、それでもキュンキュンハラハラさせてもらえたのは、人物の関係性がわかりやすく描き分けられている上に、嫌な気分にさせるキャラが一人もいなかったから。中でも特に、周の恋敵がねー、いいヤツなんですよね〜。攻めを巡って地味受けと女王様受けが同時に楽しめたりするんですけど、複数とかはないし、攻めは筋の通った男(雄の色気あります)なのでどうか最後まで信じてあげて欲しいです。
結末も極端に陥らず、「まんなか」を選んでくれたのも今っぽい着地でしっくりきました。抽象的にしか触れられなくてもどかしいけれど、排除や否定ではなくいいとこ取り。とっても素敵なアイディアだと思います!
ハイファンタジーもどっぷりと世界観に浸れて楽しいけれど、ここ最近はローファンタジー作品に射抜かれる率高めかも。
ファンタジー要素に抵抗がなければ、お仕事ものや家族愛溢れたストーリーがお好きな方にぜひオススメしたいです!
やはり期待を裏切らないBL小説家、久我有加さんです。正直今回BLとしてより他の要素に泣かされました。少し経営が傾いている中小企業の菓子会社の再生への奮闘を描いていて従業員の受けと専務の攻めが共に頑張る様子が感動的で面白かったのと、受けの特異体質に絡めた恋愛要素も色々複雑なお話なのにわかりやすくうまくまとまってるな、と思いました。
受けの周は母の家系の遺伝で満月の夜に容姿が絶世の美男に、性格も素の時と正反対の大胆でキッパリとした人に変わるというファンタジック設定ですが、これ何だか昔流行った外国の二重人格ものの小説みたいな楽しみ方もできたんです。1人の人間に2つの人格。周のもう一つの人格、「カグヤ」は周がこうなりたい、という憧れのキャラクターのような気もします。
2つのキャラクターは両方、攻めの神宮寺に恋してしまうのですが、2人の恋の行方は?最後にどちらかのキャラクターは消えてしまうのか?結末は本編でご確認下さい。
駄菓子屋や、周の幼少時のエピソードも細かく描かれていて、泣かされました。丁寧に紡がれた素敵な物語だなあと思いました。