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「A Tale of Thousand Stars」の下巻。続きものなので上巻が未読だと理解できません。上巻から読まれることをお勧めします。
早々に家に帰るのではないかという周囲の予想を裏切り、村になじみ、子に慕われ、そしてプーパーへの秘かな想いを自覚し始めたティアン。
上巻で村人たちをだまし作物を安く買いたたく人物たちとやりあうが、そのことをきっかけにとある重大な出来事が村を襲い―。
という展開。
凄くお上手だなと思うのは、ティアンの人物像。
ボンボンで自分のことすら自分でやらない生活を送ってきたティアンはめちゃめちゃ生活能力が低い。
けれど良いところのお坊ちゃんだったからこそきちんと教育を受けてきていること。
そして、自暴自棄になっていた時に「ワルイコト」を一通りこなしてきたこと。
こういった彼の人物像が、ストーリー展開に重要な意味を持ってるんですね。
ボンボンゆえにプーパーにいろいろ教えてもらわないと生活すらままならないおこちゃまな部分と、善悪をはっきり捕らえ、そして悪人たちと対等にやりあえるしたたかさを兼ね備えているところと。
そういった彼のアンバランスさと危うさが、非常に魅力的。
そしてそう感じるのは読者だけに非ず。
プーパーも、なのです。
けれどプーパーは彼なりの葛藤や秘めていることがあるために、物事はスムーズにいかない。
ティアンは自分のプーパーへの想いが、自分のものなのか、はたまた自分に心臓を与えてくれたトーファンのものなのか思い悩む。物理的に、医学的に、トーファンのプーパーへの「想い」が心臓に残っているはずはない。けれど、そのトーファンの想いを汲もうとする優しさが今作品のベースにはあって、だからこそ、そこはかとない温かさと優しさが今作品には溢れているように思いました。
心臓移植という生死を取り扱うシリアスさと、プーパーとティアンのコミカルなやり取りも織り交ぜられ、そこにプーパー×ティアンの深い愛情も加わる。いろいろな要因がありながら、それらが上手に組み合わさることで、BL的な萌えとストーリー自体の面白さが高まっている、そんな作品でした。
二人の濡れ場は最後にちょびっとあるだけ。
けれど、この二人のセックスシーンがめちゃめちゃ優しいの。
プーパーよ、寡黙で穏やかで常にティアンファーストだった君の、閨シーンでのがっつき具合は最高だったよ…。
タイトル。
トーファンが遺した日記。
そういった因子も上手に生きていて、読み進めるごとにその奥深さが見えてくる。そのストーリー展開が素晴らしかった。
ちなみに下巻にもドラマの場面集が収録されています。
良い…。
めっちゃ良い…。
ドラマも見たくなりました。
タイBLって話題だったようですがドラマ未視聴です。タイ社会に詳しくないので、身分違いというのが本当にあるんだなぁと新鮮でした。日本でもあるところにはあるんでしょうが、あんまり実感なかったので。離れて、普通に日常を送っている筈だけど、いつまでも薄れることのない想いというのを感じて素敵だと思いました。
ただ身も蓋もない言い方をすれば、二段ノベルズや厚めの文庫でも良かったんじゃないの?という気がする量ではありました。1ページ42文字×17行なので読み慣れた44文字×18行よりやや大きい文字で読みやすかったですが懐には…で、もっと番外編とか欲しかった!読みたかった!という感想に落ち着きました。