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kazenokami to biidoro no utagoe
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
BL版御伽噺。
神霊と共存する鄙びた田舎の山村を背景にした昔話BLにマッチした挿絵もよかった。金先生の絵は素朴でエロくない。
僧侶に8才の時に拾われた小鈴は、成長しても女童のように華奢、色白の細面に大きな瞳の童顔。
でも華奢な手足なのに、走ると風に乗ったように早い。
養い親の僧侶は、なぜか酒を買いに行かせる以外、独りで寺から出てはいけないと小鈴に禁じていた。
小鈴は、里に行って、剣術を習いたい。
ある日、酒を買いに行く途中、暴漢に首を絞められ失神、そこで風の神に助けられて・・風の神から風の国に戻るように告げられる。
小鈴には、なんのことかわからない
・・・といった謎めいた冒頭が、物語の世界観にぐっと引き込む。
風の神様は、いなくなった風子の凛之助を探していた。
記憶を取り戻した風子の小鈴(凛之助)には、17才になると百年に一度の風子の儀式がある、
ギヤマンの風鈴に関わる悲しい記憶も思い出す小鈴。
・・と、伏線がいくつも仕込まれていて、山場がいくつもある。
「風子」の役割とは 何?・・が謎解きされるにつれ段々辛くなる。
そして再会した時の風の神の言葉の重みが増していく。
風の神と風子が、幸せを掴むまでの物語。面白かった。
天涯孤独で幼い頃の記憶もない少年の数奇な運命
天涯孤独で廃寺で住職に育てられた記憶をなくした少年・小鈴(受け)が実は風子という風の神たちを癒す存在であるということが風の神の長・雅風(攻め)が迎えに来たことによって判明するところから話は始まります。
毎日塔に上って歌を歌い風の神たちを癒す。とても幸せな毎日で、幸せ過ぎて逆に無くいた記憶がなんなのか恐ろしくなるくらいに。
ある嵐の日。廃寺に残った住職が心配で戻ってきた小鈴は、がけ崩れに巻き込まれたことで無くした記憶を取り戻してしまうのです。
ここからは、もう涙なしでは読めません。
話のほとんどがネタバレになってしまうので、感想だけ。
誰も悪くないのに(侵入してきた賊のせい)皆が不幸になってしまった結果が本当に辛かったです。
そして、小鈴は自分だけ逃げたと心を痛めますが、まだこどもだった小鈴には自分を守るために記憶を無くしてしまったのは仕方のないことだと思いました。
受け止めるだけ強くなったからこそ記憶が戻ってきたのでしょう。
そして、風子の本当に役割を知り、それを受け入れる小鈴と小鈴が知っていることを知らず抗おうとする雅風、再び襲ってくる賊。
最後のほうまでどうなるかわからない展開で泣きながらもハラハラし通しでした。
そして、雅風の弟・豆風がとてもいい子で癒されました。
硬直している状態を動くきっかけをいつもくれる豆風。
まだ8歳だというのに本当に聡い子で兄を支えようと幼いながら頑張る姿がすごく心打たれます。
彼がいなかったらきっとこの家族はうまくいかなかっただろうと思います。
呑んだくれの僧侶に育てられた孤児の小鈴が、実は風の神に仕える「風子」だった……というところから始まるお話。
小鈴は、風の神の長・雅風(がふう)の元で働くことになるんだけど、この雅風が不器用無骨男なんですね。
言葉を飾るということを一切せず、つっけんどん言い方のせいで女神達から遠巻きにされてしまってるような方。
そんな男が、たま〜に見せてくれるぶっきらぼうなデレ。
もっとデレてくれてもいいのに!と思ったけど、彼にとってはあれが限界値なんだろな。
でも中身は一途で優しい男なのが垣間見えるのでOK.
雅風の弟・豆風(9歳)がすっごくめんこかった〜。
子供扱いされたくない・背伸びをしたいお年頃の元気な子(→「子」って書いたら豆風が憤慨しそう)で、小鈴と仲良くなっていく様子が微笑ましい。
小鈴の失っていた記憶が明かされていく後半は、シリアスで哀しかったです。
悪いのはカマイタリであって、誰も責められない……。
でも自分を責めたくなる気持ちもわかる。
贖罪の気持ちやら、風子としての残酷な定めやらも相まって、どうなることやら……とハラハラさせられたけれど、最後の着地点がとても良くて読後感が良かったです。
個人的には、9年間もの間悲しみの殻に閉じこもっていた風漣(雅風と豆風の母)の心には寄り添えず、あんたしっかりしなさいよ!とゲキを飛ばしたくなりました。
このお話では音にまつわることがとても印象に残りました。
びいどろ風鈴であったり、その音にたとえられる小鈴の歌声であったり、風の神たちが起こす様々な強さの風の音や、縁日の喧騒と花火の音などなど。
結構、耳元でリアルに鳴ります。これがとっても良い感じ。
お話そのものは民話調です。
山間の小さな村の廃寺で養われている小鈴はもうすぐ17歳。みなしごで8歳以前の記憶がありません。養い親の言いつけで里に酒を買いに行った帰り道、小鈴は野盗に襲われている娘を助けたために自分が殺されかけます。その時に助けてくれたのは風神の雅風。彼は小鈴のことを知っている風情で、風の神の長であること、小鈴は風の神に仕える『風子』であることを告げ、神の国へと連れて行きます。
最初は訳がわからなかった小鈴ですが、風の塔の上で促されると自然と口から歌が零れ出します。自分の歌が人間界の天候の安定に役立つことや、雅風の弟である豆風との交流、何よりも雅風のぶっきらぼうではありながら自分を深く気にかけてくれている様子などから幸せを感じるのですが、雅風の屋敷には何故なのかわからないけれど前を通るたびに苦しくなる部屋があって……
『失われた記憶の謎』の部分は、私にとってはかなり悲しいものでした。
その部分を読んだ時はまさしく「あ~~っ!」っていう感じで。
幸せな記憶を守ろうとしたために(良かれと思って)やったことが、思いもよらない方向にどんどん転んで行って、取り返しがつかない結果まで転がって行っちゃった、ってことなんですよ。
でも、これって誰でもやりそうなことなの。
かなりグサグサ来ました。
ここから立ち上がろうとする小鈴がいじらしくてねぇ……
良いお話だと思うのですがひとつだけ気になったことがありまして。
日本の民話調のお話でしたので「愛している」という科白が馴染まない様に思ったんですよ。その科白が出てくる度に、山百合とか野菊の中にいきなり深紅の薔薇が咲いちゃったみたいな違和感を感じてしまいました。
いや、こだわりすぎかもしれませんが……
先生買い。なのですが、今作は今一つ萌えなかったです。攻め受けともビジュアル的にこれでもか!というぐらい美しい麗しいカッコいいと感じられず、盛り上がらなかった。そのため申し訳ないです、中立にしました。日本昔話みたいな舞台だったからかな?本編280Pほど+あとがき。
山間の小さな里村から一里ほど離れたところにあるお寺で、恵塊と暮らす孤児の小鈴。恵塊が眠っているうちにと、こっそり村へ行こうとしていたら、野盗のイタズラに出くわし大ピンチ!そこに突然現れた風の神の長、雅風に助けられ・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
恵塊(小鈴の養育者)、涼風(攻めの兄)、豆風(攻めの弟)、風漣(攻めの母)、受け父、悪党ぐらいかな。
++ 攻め受けについて
攻めは不器用言葉足らず、若かりし高倉健タイプなのかもしれません。
なんとなく好きなんだろうなとは分かるものの、はっきり分かるゲロ甘溺愛では全然ないと思うので、個人的好みからは少し外れちゃいました。
責任感強そうな、良い風の神の長と思うのですが、カッコよさがもっと前面に出てほしいなあ。
受けは健気ちゃんなんでしょうが、やや元気っ子な片鱗もあるように感じられて、個人的好み「気の強い/口悪い/頭いい 等の属性ある美人さん」という分類にはやっぱりならず、好みから外れちゃいました。
攻め受けが、どストライクではないし、お話も王道と感じて萌え上がりポイントも少なかったので、ちょっと残念でした。好みの問題なので、先生お許しくださいませ。