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鷹野和哉は、一年前の出来事が忘れられずにいた。
料理人の新人賞を取った大会で、完璧だと思える料理を仕上げたのに、思い切りけなされたのだった。
自信満々だった和哉は怒り、そのけなした相手――超有名レストランの天才グランシェフ・小田桐総一郎に自分を認めさせようと必死で努力してきた。
そして、ついに自分の実力を認めさせる機会が巡ってきた。
小田桐がグランシェフを務めるレストランで採用試験があるというのである。
和哉は、その採用試験の書類審査・一次試験をパスし、面接試験までたどり着いた。そこで再会した小田桐は、和哉を見ても何の反応も返さない。
悔しさから、暴言を吐いてしまった和哉に、なぜか小田桐から採用の連絡が入る。
まさかと思いながらも、嬉しく思った和哉だが、入って早々、先輩たちの冷たい視線に晒されることになる。
そしてつい、売り言葉に買い言葉で、看板メニューを再現できる! と言い切ってしまい、「二週間で再現できなかったら辞める」という約束をしてしまう。
けれど、その指導を小田桐が務めてくれることになり、その上「失敗のたびにキスマークを一つつける」なんて嫌がらせのような宣言をされるが……
という話でした。
相変わらず、フルネームを書いた後、登場人物の視点がいったりきたり。
今回は、和哉と小田桐の視点を行ったり来たりでした。
おかげで、登場人物の想いがどっちもよくわかってよかったんですが、相手の気持ちがわからない! というもどかしさを楽しむのは半減してしまうなー……と思いましたが。
逆にどっちも想い合ってるのに何でくっつかないんだ! という第三者的な視点では楽しむことができるのがこの書き方の面白さかもしれません。
ストーリーとしては最初に書いたとおりで、最後は和哉が自分も小田桐のことが好きなのだ、と認めてハッピーエンド。
気が強いですが、その分だけ思い込んだら一直線なので、その辺りはかわいかったです。