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横浜中華街を舞台にした裏社会もの。
日本人の母親が訳あって売られた香港で生まれ育った潔。中国人の母親とヨーロッパ系の男との間に生まれた春来。中華街を牛耳るヤクザで、先代が日本に帰化した三代目若頭の正木。この三人が繰り広げる愛憎劇が物語のハイライトです。
潔と正木は中華学園の同級で、小学校から高校まで共に過ごした間柄。正木が一方的に潔を構っていただけで、潔が高校を中退してからは疎遠でした。その後潔はキリトリ業で身を立て、正木は東京の大学に進学し、院を修了して中華街に戻ってきます。
潔が二十六の時、身売りされそうになっていた春来という美しい子供と偶然出会います。まだ十歳を越えるか越えないくらいの春来を救うため、潔は監禁されていた部屋から連れ去り、義理の兄妹として共に暮らして五年が経った頃。春来が「麗子」という名でホステスとして働くクラブに正木が出入りするようになって、状況が変わります。
結局は一途な激情ラブなんですよねぇ…。表向きそうは見せないところが男って感じで、無茶苦茶萌えるんです。
正木は十代の頃から潔をずっと追い求めていて、なのに潔にとっては春来が掛け替えのない天使で、その春来は潔を守るために正木に体を張るという三角関係。正木に奪われなければ、もしかしたら潔は春来を抱くことはなかったかもしれません。
潔は春来を犯した正木が憎くても、自分達が中華街で安泰に生活していけるように取引を成立させます。潔が開き直って譲歩することで、正木はますます潔の男気に傾倒しちゃったんじゃないかなぁと妄想。
なんたって正木が一番魅力的です。高校時代、放課後の教室で机に突っ伏して眠っている潔の髪にそっとキスするシーンや、潔と同じ銘柄の煙草を吸っているのを春来に知られてしまうシーンに妄想が捗ります。最も近づきたい人に正面から触れたくても触れられない、正木の乙女ぶりがもう…
ストーリー上、潔と春来の性愛を超えた絆も重要ではあるけれども、やっぱり正木と潔の関係の方が萌えるんですよね。正木は攻めでも受けでもなく、あまつさえ当て馬ともいえない(…と思っています)存在なんですが、彼は水原先生の作品に時々出現する、私的萌えキャラの雛形なんです。
この作品で水原とほる先生にハマりました。もちろん『窓』や『唐梅のつばら』にも惹きつけられるものを感じてはいましたが、初めてこれを読んだ時は、なんだかBLっぽくないけど面白いものを描く作家さんだなぁと。ちるちる人気でいうと?なこの作品の方が、わたしのBLヒストリーに爪痕を残してくれました。
一つひとつ作家様の作品を追うにつれ、正木の後継キャラを見つける喜びにハマってしまった、個人的に罪深い作品です笑
2006年刊。
子供の頃に香港から流れ着き、成人後は横浜中華街のチャイナタウンでキリトリ(借金取り)として生きている潔は、類稀な美貌を持つ少年・春来(ツァンライ)に一目惚れしてかっさらって来てしまった。
衝動に駆られてさらってきた割りには春来に手を出さず、日々痴話喧嘩しながらの共存生活が5年余り経つ中で、年頃の春来は己の美貌を活かし女装姿で夜の街で働くようになる。
しかし、そんな二人の生活がこのまま何事もなくやり過ごせるはずはなく、チャイナタウンのボス・正木に二人の身の上が怪しいと勘づかれてしまい…
今回は日本のヤクザ物とは趣の違った裏社会、アンダーグラウンド調な話だった。
事情があってひっそりと身を寄せ合っていた二人故に、くっつくのも無理はないとは思える展開ではあるのに、潔は愛しいのに手を出せないもどかしさに悶々としていたが。
読んでいる最中はそんなもどかしさとしたたかさが混沌としているような感覚だったが、結末は妙にすっきりする。
三人の関係が落ち着くのを見届けてから各キャラの可愛げが滲み出てくるというか、読了後に萌えを噛み締められる不思議さってのがあった。
愛しいのに手を出せない…と言えば当て馬の正木もだな。
ヤクザなのに、その権力を利用して強引に潔を手中する事も儘ならずに、これからも長年の片想いを引きずっていくのと思うといじましいねぇ(笑)
ところでこの話、日本の裏社会で訳有りな外国人同士の人間関係がもつれるって辺りから、五條瑛さんの小説を彷彿とさせるところがあった。
(あくまでも個人的な感覚だが)
実はこの人の小説もまだ一部しか読めておらず、分厚い文庫本を数多く積読している状態で…ああ…頑張って読まねば…
積読の山を消化していく道は果てしなく険しいぜ。
面白かったです。
かなり萌えつぼをつかれました。
借金のキリトリをしている潔と、彼に救われ一緒に暮らしている春来、潔と同級生で今は中華街の裏の支配者である正木との、互いを喰らうかのような執着愛のお話です。
カワイイんだか、せつないのか、わからないけれど、イタくはなかったです。ボロボロになってましたが。
この設定で、なんだか爽やかな読後感って奇妙な気がして、最後に潔は死んじゃうじゃないかと(期待して・・・)ドキドキしました。
読むうちに、三人ともに肩入れしたくなり、とりあえず、今はこのままで良かったね。と言いたくなりました。
いやもうなんか、水原さん遊んでますね?って感じでした。
物語としての整合性にこだわるなら、矛盾は色々あります。伏線が生かしきれてなかったりもするし。
でもオモロイ。
これはもう、趣味の問題だと思います。
一匹オオカミのダメ男、堕ちるばかりの依存関係、刹那的にしか生きられない人間のバカバカしい生きざま、愛する男からのキス一つで骨抜きになってしまうクールなヤクザ、などなど、私にとっての萌え要素満載でワクテカしながら読みました。
三人のうちの誰か、もしくは全員が死んでくれたら完璧だったのに…!と思う私は、きっと病んでます。