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既に絶版になっているようで、古本で購入しました。
イタリアンレストランオーナーシェフ・芳沢と出版社メディアフロントのデスク・槇のお話。やっぱりしっかりお仕事していて嬉しい限り。今作はシェフだけあっておいしそうなものも沢山出てくるし。
トーンをどれにするか迷ったのですが、すれ違っているように見えてお互いが片思いをしている状態で、未練たらたらなところがあまあまかな?と思いました。
高校のときに分かれた二人が12年後に偶然再会し、よりを戻すまでのお話ですが、身体は重ねるくせにどうしてこうも気持ちは伝えられないのかと、ヤキモキしてしまいましたよ。
しかし、高校時代芳沢の想いが重過ぎて別れを切り出した槇が、「今度は俺がのめりこむ番だ」と自分の気持ちを受け入れてからはいい感じで歯車が回りだします。よかったよかったでございます。
エッチの方面は、無理矢理だったりゴージャスだったり、いやだと言いつつのめりこんだり。なんだかんだで大好きなんですから。
秀香穂里先生の2006年発表の作品。
秀作品にてお馴染みの御茶ノ水の大手出版社・メディアフロントに勤める、週刊情報誌「イズム」のデスク・槇(まき)が主人公。
情報誌の人間としてグルメや流行に強く、その日も同僚のおすすめで六本木にニューオープンしたイタリアンレストランに行ったのだが…
そこのオーナーシェフが高校時代に付き合って捨てた相手だった!
…という冒頭。
あの時は酷いことを言い過ぎた、別れを後悔したこともあった、そんな相手だったが、あれほど自分を慕い甘くまとわりついてきた年下の男の12年後は、素っ気なく自分を憎んでいるような態度でついケンカ腰になってしまう。
一度は捨てた自分が、忘れられなかった、もう一度付き合いたいなどと言える雰囲気ではなく、槇の後悔と未練描写、シェフ・芳沢の冷たい態度の対比が続きます。
そして、レストランといえば当然美味しそうなイタリアンの数々。コースで供される一皿一皿の描写は空腹時に読むのはキツイです。
今回は攻めの芳沢がツンデレ?で、本当はレストランを開いたのも槇のためでした。
1人に真剣にならないスマートな男、で通してきた槇も、今回は自分の方から告白します。
一方初恋を再び実らせたのは芳沢の方ですよね。攻めも受けも余裕なく抱き合って、12年を経て今やっと向き合った2人の甘さがいい。
エロシーンは秀作品にしてはそれほど激しくなく、読みやすいと思います。
1冊丸ごと表題作です。槇の目線で進んでいきます。
高校時代は恋人同士だった二人。当時から躰だけの関係が平気だった槇(受け)に対し、芳沢(攻め)は初めての肉欲込みの関係にハマり一途に思いをぶつけてきます。どんどん惹かれていく槇ですが、元ノンケの芳沢がやっぱり女がいいと言ってフラれたら…と不安のあまり酷いセリフをぶつけて別れてしまいます。それから12年後、雑誌編集者になった槇は同僚と偶然入ったレストラン「リストランテ・フィオレ」のシェフとして芳沢と再会して…。
偶然の再会から、槇は再び芳沢に会いにフィオレに出かけていきます。そして、自分が忘れられないのだから、芳沢も今でも自分が好きなのではないかという自意識過剰ぶり、欲しいからと芳沢を誘う槇の態度が好きになれないと、この作品を楽しんで読むのは難しいと思います。
好きなんだけど素直になれないツンデレではなく、過去を悔やんで未練たらたらで足掻く槇を、私は人間らしくて好きですが、仕事のできる男としてはもうちょっと格好良くあって欲しいと思う気もします。
自分の城ともいうべきフィオレで槇を抱いたのは愛しさが耐えられなかったとか、フィオレ(花)は槇を模してだとか、そういう芳沢の気持ちのもう一押しが欲しかったです。
ゲームの取材とかちらりと出たので他作品とのコラボがあるかと思ったのですが、それはなく。「今夜、眼鏡クラブへ。」へと続くクラブ・キラが登場していました。
高校生から12年経って成長した年下攻め、三十路になっても色っぽい受け、社会人再会ものがお好きな方にお勧めします。