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12年前に奇妙な「短いゆびきり」をせがんだ少年に、敬祐は再会します。
小さかった昇が、自分を見下ろすほどの大きな青年になったことに驚き。
ふとした仕草や口調に、幼い頃の面影を見つけては、
ほっこりと懐かしく、嬉しくなったり。大人かと思うと子供。
またその逆も……敬祐が昇に感じる戸惑いや焦り、ときめき。
これぞ年齢差のある年下攻めのツボのような気がします。
12年間、敬祐を敬祐以上に理解し、思い続けていた昇。
昇との再会により、自分の寂しさを自覚した敬祐。
お互いを思うあまりに擦れ違う、じれったさ。
そして「短いゆびきり」の意味。
切なくてもどかしいお話が好きな方には、おススメだと思います。
あとこの作品は関西弁で書かれています。
私は方言小説も好きなので、この辺りもかなりツボでした。
特に、敬祐の使う関西弁の敬語がとっても素敵。
関西弁というか、大阪の言葉にも、ちゃんとビジネス用の敬語とか、丁寧な言葉が存在していて、それを敬祐が、至極当然のように使っているところが、なんとも心地いい。
お話の進み方も、敬祐の言葉使いのように、丁寧でゆっくり。
12年も片思いし続けた恋だもの、この位、ゆっくり、じれったく進むくらいがちょうどいい。
そして、昇の弟の登場が、敬祐が二人の恋の次の段階へ踏み出すきっかけになる展開も、昇や敬祐への理解が深まって上手いなと思う。
敬祐は、中学生の時に6つ下の少年・昇に出会った。
祖母の家に預けられていた昇は、敬祐によくなつき、家まで遊びにくることもよくあった。けれど、家庭の事情で父母の元へ帰った昇とはそれきり会ってなかった。
針千本飲ますどころかゆびきりげんまんすら言わない「短いゆびきり」にこだわりを持つ昇とは一つだけ果たされなかった約束があって……
という話でした。
敬祐は人が嫌がるような雑用を文句も言わずにやり、己の現状に不満を抱かないタイプ。
昇はコテコテな見た目を裏切って、まじめに大学に通い、幼稚園の教諭を目指している目標に向かって真っすぐ走っていくタイプ。でも昇には隠された家庭の事情があって、敬祐のやさしさに惹かれてるんですけど、敬祐のやさしさが本当に私がなりたい人間像そのもので本当に染みます。
でも決して敬祐は自分をないがしろにするタイプでもないので、本当に穏やかなしみいるような話です。
「年齢差」もきちんとテーマに入っているけれど、それ以上にいい人間性の二人の関係がまったり優しくていいです。
少し痛い、穏やかな話が好きな方にはぜひ、オススメします。
幼なじみ・再会モノです。
何回読んでも私のツボをつくいてくれるこの設定、たくさんの作家さんが使ってくれてて、非常に嬉しい次第ですw
主人公は30歳を目前にしたリーマン(受け)。
ある日『短いゆびきり』を交わした、8歳年下の幼なじみ(攻め)と、12年ぶりに再会する。彼は立派な大学生になっていた。
攻めの祖母が病気になり、その祖母がやってる音楽教室を二人で手伝ううちに、二人は急速に親しくなる。
同じ時間を過ごすうちに、主人公は自分のなかにあった「寂しさ」を自覚してしまう。
父が死に、母と妹と離れ、孤独だった心が、その幼なじみによって癒され、失う怖さにおびえるようになってしまうのだ。
将来のある彼を、自分なんかのために台無しにしてはいけないと、主人公は必死で自分の思いを押し殺そうとする。
登場人物の一生懸命さや優しさが心にじんわり染みてくる、いいお話でした。
久我有加さんの小説は、今のところハズレがないです。
グワッとくることはないんですが、必ず一定の満足感と充足感を与えてくれます。
久我有加さんといえば関西弁。本作もガッツリです。そして。
ザ・年下攻め。(8才差)
ザ・ワンコ攻め。
ザ・幼馴染。
ザ・両片想い。
このへんにピピッときたら是非是非。
12年前、9才の男の子とのゆびきりの約束、からはじまる物語。
あの時9才だった子・昇は、今21才の、強面の、180センチ超えの青年となって敬祐の前に現れた。
子供の頃から自分に懐いていた昇のワンコぶりは今も変わらず、今は一人暮らしの敬祐の無自覚の寂しさを掘り起こしてしまう。
敬祐は大学生の時に父を亡くし、母親と妹を案じて地元で就職し、という経緯があって、自分ではそういうのは自分の意志で選んだ気でいたけど、昇からは「使い捨てにされた」なんて言われて…
そういう昇も弟ばかり可愛がる母親とうまくいかず、祖母に預けられて育った子供だった。祖母のピアノ教室に通ってきていたいつも自分を抑えているような敬祐を自分が守りたい、と感じた幼い日の昇。
2人を結びつけるのはピアノの調べ…
「関西弁」というイメージからくるノリの良さとかあけっぴろげな感じ(私の勝手なイメージです。)とは違って、ちょっとだけセンチメンタルな2人の恋です。
正に「年下・一途・ワンコ攻めの堂々たる王道」です。切なさも喜びもあり、おすすめ。