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全部で4つのお話が入っています。
「ピーターと狼」シリーズ
あることがきっかけで嘘ばかりつくようになった小林昭雄は、それが原因でボコられることが多い。そんな昭雄を放っておけなくてついつい回収に行ってしまう幼馴染の白石洋一。昭雄が嘘つきになった原因は幼いころの白石の言葉が原因だったが、そのことをすっかり忘れて接してくる白石に苛立つ昭雄。今度こそ白石と縁が切れると思ったがー。
不憫BLってアンソロがありましたが、これ出したら一等賞不憫だったんじゃ?と思うくらい、不憫でした(泣)
「BLUE MOON」
三谷洋司と山保友晴は幼馴染で家も隣。高校も同じところに入学した。はっきりものを言う三谷は嫌われているが、山保はむしろそのことを喜んでいた。自分だけが三谷の「特別」でいられるから。
しかしそんな三谷に興味を持つ女子が現れて、少しずつ山保の場所に揺らぎが生じていく。事実を直視しないようにしてやり過ごそうとする山保だったが、いやおうなしに現実を突きつけられる出来事が起こってしまう。
二人きりだった関係に、男女一人ずつが絡んで4人のお話になるのですが、この絡み方が。男の子はいい子なんですけど、女子が。嫌な奴でした。
あー、男女ってこういうところが違うよねー、と思ってしまいました。
「FREEDOM BIRD」
進学をあきらめ、丘の上の屋敷の運転手という職を重明が選んだのは、体が不自由な父を一人にさせないためだった。自分の性嗜好を恐れ、封印するために何も望まないことを決めて生きていた重明だったが、ある日屋敷のパーティーに訪れた青年との出会いから、人生が大きく動き始める。
これまた、ものすごい風呂敷の大きいお話。BLというより、昼ドラ?と言った趣の、ドロドロです。
「REALISE」
高校を卒業して一緒に暮らし始めた酒井と明巳。そろそろ同棲も1年がたつが、まだセックスはしていない。そのことがもとでけんかをしていたところに、高校時代の友人・沢田が訪ねてきた。酔った勢いで明巳は沢田とキスしてしまう。
ラストがこれでほんとによかった。最後にほんわかできます。
最後の「REALISE」以外は、どれも後味が悪いお話でした。木原作品の黎明期とでもいう時期のものだからか、偽善と正義との間でもがくようなお話が多い気がしました。そのもどかしさが好きな人にはいいのかも。
こういう時代を経て今の木原作品があるのだなぁと思うと、なかなか感慨深かったです。
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