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tokubetsu na yujo
BL要素を含むフランス文学作品アンソロジー
最近流行のBLを何冊も読んでいると、著者の萌の暴走表現の強い刺激で脳内グチャグチャ、感性が麻痺してしまう。
なので、構成とか 表現とか 色々ネジや箍が外れた感性を元に戻す為に、古典作品を読んだ。
原作より、翻訳者の語彙センスが巧みで、原作を凌駕している。
「特別な友情」以外は全作一部抜粋で、全編ではないです。
この文庫本サイズの本に編集されているのは、欧州のBL古典。ズバリと表現していないお上品。
「トーマの心臓」の原点になった「特別な友情」が、この本の一番の推し。今のところ、他に和訳は出ていない。
-----メモ
*「特別な友情」:
・・ジャン・ドラノワ監督作品「寄宿舎 悲しみの天使」の原作。キリスト教神学校の寄宿舎。宗教的に禁忌の同性愛。
*「ラミエ」
ジッドの未公開の遺稿『ル・ラミエ』 : 森鳩は歓びとともに飛びたつ。・・「鳩」とは、恋人の少年達のこと。晩年のジッドは、少年達との恋で若さを取り戻していた。
*『チボー家の人々 第1部 灰色のノート』
ジャックとダニエルとの秘密の交換帳を読み、体面を気にするチボー父は、ジャックを自ら創設した少年院「オスカール・チボー少年園」の特別室にいれてしまう。第一次世界大戦後の時代背景に、ブルジョワ社会の精神的風土と、思想の摩擦を描いた小説。※当時、キリスト教で禁忌の同性愛は少年院行だった。
*「ソドムとゴモラ」
有名なので省略。
*「尻の穴へのソネット」/「往復書簡」
・・ランボー達の恋愛は、映画「太陽と月に背いて」で有名。ランボー役のレオナルド・ディカプリオが一番綺麗な時の映画だと思う。
* 「ムッシュー・ヴィーナス」
女性作家が、男性名「ラシルド」で執筆した作品。男女不平等への不満が土台。主語が曖昧で捉えにくい原文を、ここまで訳した翻訳者の力量を褒め讃えたい名訳。
*「友は眠る」
同性愛を隠したコクトーについてhttps://bit.ly/3Maobrb←ここの解説が面白かった。 コクトーの半自伝小説『白書』には、父親の性嗜好についてと、コクトーは父親似だと書いている。
*「我が生涯の物語」
冒険家・漁色家ジャコモ・カサノヴァの自伝。生涯に1,000人の恋人と恋をした。 カサノヴァはヴェネツィア人、本書はフランス語で書いている。
*「泥棒日記」
ジュネの『泥棒日記』は、一部は事実、一部は虚構の自叙伝。 創作目的は「到達不可能な無価値性の追求」・・BLを哲学するとそうなるらしい。
*「さかさま」
「道理にそむくこと」という意。「ルルドの地にはかつて悪魔信仰があったからこそ、そこに聖地信仰がおこったのである」
* 「閨房哲学」
サド伯爵だから、SMかと思ったら、そうじゃなかった。
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読みながら、雰囲気とか語感が似ている・・と、思いだしたのは、よしながふみさんの「ジェラールとジャック」だった。
★アメリカ作品のアンソロジーは、平凡社ライブラリー『ゲイ短編小説集』がある。 タイトルが下衆で嫌。
ゲイ短編小説集 (平凡社ライブラリー) オスカー ワイルド
古典BL小説集 (平凡社ライブラリー) ラシルド
少年愛文学選 (平凡社ライブラリー) 折口信夫、稲垣足穂ほか
★これは、良さそう。➡ 須永朝彦小説選 (ちくま文庫)山尾悠子が25篇を選ぶ