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soukai no omega
2019年刊。
オメガバースものだが、『信頼関係の破綻したカップルの再構築もの』とでも言ったほうがしっくりくる話だった。
義兄弟のイルメールとエミリオは、オメガ排除に力を注いでいる治安維持部隊"ドミニオン"の長官と副官としてだけでなく、アルファ×オメガの服従関係でも結ばれている。
エミリオは、ひた隠しにしているオメガ性を蹂躙され続けながらも内心イルメールを恋慕していたが、密かに身籠っていた赤ん坊の命を彼によって一方的に奪われたショックで自死を決意する。
屋上から飛び降りたエミリオを止めようとしたイルメールも身を投げ出すが、その瞬間に二人の状況を見かねた創世神のネブラとルーメンが介入して、彼らの住む世界へとトリップさせられたのだった。
表紙を捲っての作者コメントには『義兄弟、オメガバース、獣人、異世界、制服の贅沢盛り』とあるが、言葉通りに上手く萌えが盛り込まれていたと思う。
エミリオのような舐められないようにとか、賢いのを隠す為に周囲に軽薄な性格を装う身持ちの堅い受けは自分も大好きだ。
但し、この話では特に『繁殖・子育て』に重点を置いているので、オメガの母性が相当色濃く出ている。
子宮やら妊娠出産、堕胎、母乳だのといった単語が妙に生々しいのでオメガバース自体が駄目だという人には厳しいだろう。
二人の関係は間違いなく『運命のつがい』だと実感できるのだが、お互い愛情を認識せずにがっつり結び付いてしまったせいでここまで拗れてしまった訳だ。
特にイルメールがエミリオへの愛情を再認識するとなると、己が亭主関白を煮詰め切った性格で、エミリオが彼に従う根拠は夫唱婦随に基づくような当然の感覚…的な考え方を省みる事から自覚する必要がある…(-_-;)
まぁ彼は獣人アルファとオメガが自然に共存する創世界でこってり絞られて荒療治を受けているが、それでも尚、伴侶にシンプルな愛の告白を吐けない不器用攻めの極みみたいな男でもある。
最後の行き着いた結果には個人的に大満足だ。
二人の行く末で気になるのは今までオメガを排斥してきた過去の罪の償いだが、できる事ならこれからのアルファ×オメガカップルと共にその後の先の道が拓けて行きますように…
崎者が最後に用意していた奇跡は素晴らしかったが、欲を言えばミゲルとメイビス兄妹にも生き延びて欲しかった。