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「リューセーのために生きろ」
sora ni hibiku wa ryu no utagoe
7代目竜王とリューセーのお話を読んだので、8代目のお話を読み返してます。
前に読んだ時は、ジュンワンの事を知らなかったのでそうだったのか~くらいだったのですが、今回はジュンワンの最後の様子が切ない( ᵕ ᵕ̩̩ )
そして、エルマーン王国の暗黒期となってしまう2人のお話。
でも、決して2人は想いあっていなかった訳じゃなく。
8代目竜王ランワンは、リューセーの事をとても愛おしく思っていたし、リューセーだってランワンのことは敬愛していたし。
もっと時間があれば、素敵な関係を結べたはず。
どんどん自分を追い詰めてしまったリューセーは、真面目で責任感が強かったんだなぁ。
もし、日本での環境や教育が違っていたら、と思わずにはいられません。
リューセーが亡くなった時の真相を、誰も知らないまま。
希望が見えかけてただけに、私のショックも大きいですよ。
リューセーの側近も不憫。
残されたランワンの悔恨を思うと堪らない。
攻め様の後悔は好きだけど、ランワンには攻めザマァ要素がひとつもないから、苦しくってしょうがない。
もし、あの時。
たらればを言っても仕方ないけど、何度も何度も思わずにはいられないです( ᵕ ᵕ̩̩ )
フェイワンの青年期も過酷だったんだなぁ。
今はフェイワンのリューセーと愛し愛されていて、本当によかった。
読み終わった後に表紙を見ると、また泣けてきます。
8代目ランワンの時代だけを描くのではなく、フェイワンの幸せな現在を始めと終わりに入れ、8代目の話を挟んだ額縁式の構成は良かったです。
8代目の話とフェイワンの幼少期の話は、どれも辛くて涙なしでは読めませんでした。
8代目の龍聖に起こった内容は、第一巻で9代目龍聖が見つけた手記に書かれていた心理状況を正確になぞった出来事が起こっただけで、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。
龍聖はずっと自分を責め続けその挙句に正気を失う――心の自殺をしていました。
8代目龍聖は適応障害の果ての自殺だと私は強く思います。
物語でも書かれていますが、確かに「直接の死因」は事故かもしれません。
でも事故死であって自殺じゃないよね、それが分かってよかったね、とは絶対に思えない。
それが心に強く残る作品でした。
事故の前から龍聖は自分という自己を殺していました。元の世界に帰ることは許されず子供を産むことが使命になっているので、本当に自殺するわけにはいかない。
正気を失う(自分を殺す)しか、この龍聖には逃げ場がなかった。絶望しかない。生き地獄です。
その時の龍聖の心情描写がとても巧みで、読んでいて涙が止まりませんでした。
あと、このお話を読んだ後に1巻を読んだとき、この巻で書かれているフェイワンと1巻の最初のフェイワンにギャップを感じたのは私だけでしょうか?
また、こちらを読んでから1巻を読むと、シュレイの言動にも違和感を覚えます。
8代目の龍聖の話は美談にしてはいけないと、作者様も意識されていると思いますが、「フェイワンは龍聖(8代目)に愛されてたんだよ」と結論付けることは、どうにも私は悔しい気持ちが湧いて同調できません。
また、エルマーンは龍聖の愛によって支えられていると思っていたのに、龍聖に愛されなかった竜王が存在したこと、龍聖の愛はなくても世継ぎは産まれ国が存続した一例でもありました。
愛とは己の心があってのものだと、私は思います。
素敵なご縁でご本を手に取ることが出来、読み終わりましたので、拙いながらレビューさせて頂きますね。
構成は、幸せフェイワン達ロイヤルファミリーの日常のひとこまから始まり、
先代リューセーを知る人たちからの聞き取りを経て、日露戦争時の明治日本へと巻き戻り、丁寧な先代リューセーのエルマーンでの日々へと過去が綴られていきます。もうここからは涙が止まらない箇所がかなりありました。
ランワンを慕いながらも心を病まざるを得なかった先代リューセーは、それでもフェイワンをこの世に生みだし卵に愛情を注ぎます。そして不慮の、本当に悲しすぎるリューセーの結末のあと、残された父子で国を守る宿命を受け入れるまでのシーンがあまりにも凄かったので、一つの山場はここでした。
父を亡くし、切望した自分のリューセーが待っても待っても降臨せず、そうしてやっと来たリューセーを大切に大切に信じたことが、すべての幸福へと繋がるのです。何より父の言葉を噛みしめ、辛抱強く自分のパートナーを守る姿と心に胸打たれました。
親が子を生み出し育てることは、容易なことではないというこの世の理を重ねて読むと、また深く味わうことが出来る、素晴らしい本編構成でした。
今ある幸せの、奇跡の連続の上に成り立つことの素晴らしさ。この悲しさと幸福の物語を愛しく思わずにはいられません。
ドラマCDからこのシリーズにはまり、とにかくフェイワンの親世代の真実が知りたくて知りたくて仕方ありませんでした。
振りかかる悲しみを乗り越えて来たからこその今の幸せを噛みしめているフェイワンが、更に母のリューセーに絶対愛されていたんだと妻のリューセーに断言されるシーンは、そのページまでの辛さも全て幸せに変換出来るエネルギーを放っていました。
個人的には、先代リューセーの側近であるジョンシーが不憫でした。ランワンより先にリューセーの心情を深く理解出来ていて、全てをとして献身的に主人に深く同苦できる人間性に魅力を感じずにはいられず、だからこそ彼の最期が辛かったです。
読み終わると、とにかく自分の両親や家族を大切に大切に、感謝を伝えたくなる、そんな素敵な一冊でした。