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最初にあったときから、もう乃亜だと決めていた
ookamiou no oboshimeshi
栗城先生のファンタジー作品、登場人物の名前が漢字だけど響きはカタカナで、って言うのが多い気がします。カタカナ名を覚えるのが苦手な私からしたらありがたい…
ってことで本編の感想です。
攻めの魁が獣人で、受けの乃亜が人間という今作。
魁が落ち着いた大人な感じがして素敵でした。乃亜もthe健気という感じで、厳しい境遇ながらも自分のできることを精一杯やろうと言う前向きさがあって、好感のもてるキャラクターでした。
あと今作の獣人は頭だけではなく手や尻尾なんかも獣になっているので、受けの乃亜が行為の最中に怪我をおってしまうという描写があります。変な話ではあるのですが、異種族間で性行為をしているんだなぁと見せられた気がして、ドキドキしてしまいました。
脇キャラの流加があまりに可哀想で、救いはないのか!?と思ったりもしたのですが、そこはまぁ本編からずれてしまうので仕方なし…
面白いファンタジー作品でした。
魁の姿がずっと狼頭の獣人でしたが、気になる事無く読めました。
人間姿に戻った時に超絶美形のパターンも嫌いではありませんが、前王が人間の国と戦争を起こしたりしているので、変化しない方が分かりやすいと思いました。
登場人物たちの名前もめちゃくちゃな横文字とかやたらと凝った漢字の組み合わせでなかった点も好感が持てました。
受けの乃亜も田舎にずっと居たので世間知らずだっただけなので、仕事を探してて騙されて人身売買組織に拐われたのも特に不自然に感じませんでした。
乃亜も城に行ってから本来の真面目な性格と会計の知識の深さを活かす事が出来て生き生きしていました。
魁もそんな乃亜を信頼して誇らしげだったのが、凄く微笑ましかったです。
そんな2人が誤解も解け国中から祝福を受けて結婚したことで、読後が爽やかな作品でした。
先生買い。初モフ攻めだったとのこと!なんだけどなあ・・・すいません、攻めも受けもあんまり好きになれず中立です。耳ぺしょん・・・等という表現が好きな方にはいいのかも。本編210P+異母弟視点の後日談13Pほど+あとがき。
両親とも亡くなり仕事を求めて都に出てきた乃亜(のあ)。頼りにしていた人には頼れないと分かって、やむなく職業安定所に出かけて仕事を探していましたが、そこで声をかけられた男に付いていったら攫われてどうやら人身売買の商品になってしまったようで・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
安里(あんり、攻めの右腕)、理央(攻めの異母弟、おこちゃま)、流加(るか、先王の妾)、呈於(てお、人間の医師)、絵梨花(えりか、獣人、呈於の妻)、乃亜と一緒に働く会計役の人たち、ぐらいかな?悪党も少々。
王道、花嫁ものなんだと思うのですが。
まず攻めが最初から最後まで狼さん。一ミリも顔が人型にならない。狼頭でのイケメンかイケメンでないかを見極めることは私にはできない・・ビジュアル重視なので萌えられなかったです。耳がぺしょんとしてしょげちゃうところは可愛かったんですけど、基本生真面目な王様なのであんまり笑えるところがないのもイタかった。
そして受けが凛々しくない。強くない。きりっとしてない。か弱げ。→すいません、これはあまり好きではない・・
異母弟の理央は可愛かったんだけどな。うーん、ちょっと好みのタイプではなくって残念でした。
今回は獣人国の国王とかつて国王と婚約した人間のお話です。
受様視点で獣人国の内政立て直しを図りながら攻様の伴侶となるまで
と攻様の弟視点で夫婦になった2人の後日談を収録。
その日、まだ幼かった受様は両親に連れられて父の仕える「偉い人」
のお城にやってきます。大きなお城や沢山の大人たちに緊張した様子
だった受様は挨拶を済ませると外で遊ぶ事を許されます。
父にもらった計算機をしゃかしゃかしながら森の中を散策していた
受様でしたが、森になる茱萸の実や木苺をちょこちょこつまんで歩く
うちに手に持っていた計算機をなくした事に気づきます。
慌てて探し回りますが見つからず、さらには道にまで迷ってしまいま
す。木の根に躓いて転倒した受様はついに泣き出してしまうのですが、
そんな受様を見つけてくれたのは狼の頭部をもつ獣人の少年でした。
彼が今回の攻様になります♪
攻様は受様を落ち着かせるために母の御守りの指輪を貸してくれます。
受様の計算機も拾っていてくれたのですが、計算機に興味津々で受様
に譲ってくれないかと持ちかけます。
受様は代わりとして攻様の御守りをねだります。受様的にはお互いに
大事な物の交換のつもりでしたが、攻様の指輪は代々婚約の儀に必要
なもので受様は攻様のお嫁さんになる約束を交わす事になります。
その後、獣人の国と人間の国は貿易のもめ事をきっかけに戦火を交え
ますが、獣人国の王は残虐で好戦的な性格で開戦から2年で明らかな
勝敗が付いていたにも拘らず人間の国を侵略し続けました。
不毛な戦いも5年目で獣人王が病に斃れ、新王が即位した事で終戦を
迎え、人間の国は焦土化を食い止める事ができました。受様は獣人国
との戦で父を失い、母は逃れた田舎で受様を育てていました。
終戦から5年、受様は母も病で亡くした為に父の友人を頼って都に出て
きますが、知識は合っても経験のない受様は職が探せず、実入りの良
い仕事を紹介すると言う男に騙されて人買いに売られてしまうのです。
受様が気づいた時には既に遅く、大きな競売場に連れていかれてしま
いますが、その新人売買組織を探るために侵入していた獣人に運よく
助け出されて事なきを得るのですが、その獣人こそ幼い受様に婚約の
指輪を授けた攻様だったのです!!
獣人国では同性婚が可能で攻様はその覚悟で受様に指輪を渡したので
すが、そんな事情も理由も知らない受様はびっくりしてしまいます。
その上攻様は獣人国の現国王でもあり、獣人国で人間の花嫁を迎える
のは初めてのことだとまで言われてしまいます。
果たして受様は攻様の花嫁になる運命なのか!?
戦争で荒れた獣人国を立て直すべく様々な改革を行う国王と幼い頃の
約束で彼の婚約者となった受様の恋物語になります♪
戦争は獣人の国にも人間の国にも混乱をもたらします。戦を収束させ
た攻様は人間の国とも積極的な友好関係を結んで国交を復活させます
が、国民同士の感情はまだまだ相互理解には程遠い状態です。
しかし、攻様は幼い頃に受様と交わした約束を大事に成長し、受様も
成長するにつれ、攻様の指輪が自分の計算機と等価な品ではない事に
思い至り、いつか返そうと大事にしていたのです。
競売場で囚われた人間が受様だと気づいた攻様は、約束に託けて受様
を「妃候補」として保護するのですが、素直で働きものの受様に徐々
に本気で惹かれていくのです。
受様は得意とする会計整理の腕を活かし、長い戦や前王の後宮の浪費
等と筆算や暗算頼みでザル勘定だった獣人国の財務を計算機の導入で
明朗会計に導き、知らずに隠されていて不正経理にメスを入れること
になるのです。
そして受様と攻様の恋にも前王の男妾や不正会計を重ねていた人物の
思惑が絡まり、攻様が受様を花嫁とするまでワクワクしながら楽しく
読ませて頂きました♪
最初は獣人と人間という種族の互いを乗り超えて恋を実らす再会ラブ
ぽいのかなと思ったのですが、予想とはちょっと違いました。王の恋が
(実態はどうあれ)国民にロマンチックな恋物語と受け入れられるって
ほのぼの感と、攻様の溺愛ぷりはたいへん美味しかったです (^_-)v
今回は狼頭の獣人繋がりで成瀬かのさん『狼頭の魔法使いと折れ耳の
花嫁』はいかがでしょうか。こちらは魔法も有りなもふもふです♪
幼い頃に偶然出会い、結婚の約束をした二人。
そんな彼等が大きくなって再会しと、なんだかおとぎ話を思わせる、とても優しくて甘いお話でした。
あとこれ、あらすじでは「切なくも甘いラブストーリー」になってるんですよね。
でも、二人は終始穏やかに愛を育み、攻めは受けに超甘くて優しくと、切ない感じはあまりしないんですよね。
多少、ヒヤヒヤする展開やイラッとくる嫌な人物、そして好きだからこその不安みたいな心の揺れなんかはあるんですけど、印象としてはただただ穏やかで甘くて優しいです。
私がズレてるだけかもしれないけど。
とりあえず、主役二人が丁寧に心を通わせて行く描写が大好きでツボな為、とても幸せな気分にさせてもらえましたよ。
攻めの溺愛っぷりも最高でしたよ。
内容ですが、獣人国の王・魁×身寄りの無い人間・乃亜による、モフファンタジーです。
幼い頃に迷子になった所を獣人の少年に助けてもらい、父親から貰った宝物の計算機と彼の指輪を交換して、結婚の約束をした乃亜。
そして数年後ー。
身寄りをなくし、職を求めて都に出てきた乃亜ですが、騙されて人さらいに遭ってしまうんですね。
そこで助けてくれたのは、なんとあの日の少年だった魁。
実は獣人国の王である魁は、乃亜を自分の元で保護するために「花嫁」として召し上げると周囲に宣言していてー・・・と言うものです。
まずこちら、乃亜ですが、田舎育ちで多少警戒心が薄いものの、素直で働きもので、思いやりのある青年。
また、そんな彼のお相手となるのが、包容力がありとにかく乃亜に甘い獣人の王・魁になるんですね。
で、こちら、繰り返しになりますが、要は初恋再会ものでしょうか。
実は獣人である魁にとって、あの指輪は特別な物で、更に彼等は非常に伴侶に対する愛情が深いんですよ。
その為、あの幼い頃の結婚の約束も、魁にとっては生涯の伴侶を決めた真剣なものだったんですね。
また、あの幼い日の出会いの後、獣人と人間の国との間で戦争が起こり、何年もの間、二人はそれぞれの世界で生きていきます。
そんな中でも乃亜は貰った指輪をお守り代わりにし、あの時の「お兄ちゃん」に返すべく、大切に持っていた。
こちら、こんな背景があっての二人の再会だったりします。
まぁそんなワケで、最初からとにかく魁が甘いのです。
一応、乃亜にとっては優しい「お兄ちゃん」で、生涯の伴侶と思ってる魁とは温度差があるんですよ。
あるんですけど、こう最初からひたすら乃亜を大切に扱い、優しく接する魁。
いやこれがね、本当に微笑ましくて。
人間の食べものが分からなくて、「甘いものが好きだと聞いた」と果物を山ほど用意する。
で、「ああ、砂糖菓子もあるぞ!」みたいな。
ついでに、何故か人間は花を食べるんだと勘違いしていて、食べないと聞くと耳をペショッとさせる。
もうずっとこんな調子で、とにかく愛情を疑いようが無いんですよね。
また、先王の妾で人間である流加ってのがおりまして。
こいつがめちゃくちゃ嫌なキャラで、あまりの歪みっぷりにギリギリきちゃうんですけど。
で、こいつが嘘八百を吹き込み、乃亜を不安にさせるんですよね。
いや、魁を信じようとする気持ちと、好きだからこそ、不安になってしまう気持ち。
この、人間なら当たり前の心の揺れが丁寧に綴られて、とても共感しちゃうんですよ。
その上で、そんな思い悩む乃亜を見た魁の告げるセリフにも、めちゃくちゃ萌えちゃって。
もうめちゃくちゃ誠実!
そして、なんて包容力!!
そう、信じる事が一番大事なのよーーー!!!
いや、こんな風に二人が穏やかに、そして優しく心を通わせてゆく様がとても丁寧に綴られ、もうすっごく素敵なのです。
今作はとにかく、心の交流が丁寧に書かれてる印象なんですよね。
あと、この他ですが。
乃亜が経理の腕を生かして、超ザルな獣人国の帳簿なんかをお手伝いします。
そこで、見つけてしまった不透明なお金の動き。
これにより、とある事件に巻き込まれと、ちょっとヒヤヒヤさせられる展開なんかも。
いやまぁ、魁が血相をかえて助けにくるから、心配ないけど。
ちなみに、この事件に絡んで、媚薬を盛られた魁は乃亜を襲ってしまいます。
ここでの魁のショボくれっぷりにね、なんだか可哀想になってきちゃいましたよ。
耳をペタンと倒して項垂れてるのに、可哀想なんだけど可愛くて萌えちゃいましたよ。
と、そんな感じの、とても優しくて甘いファンタジーでした。
一途な攻めがお好きな方も、気に入るんじゃないでしょうか。