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monster friend
本編直後に読んだ。二人の雰囲気は変わらず湊を求め将来設計も完璧な悠馬と、人間を止めて流される湊の日常話。
湊視点で語られる現状、湊はそれなりに正しく状況を把握しているようだが、納得した上で流されているよう。ラストは自ら心まで明け渡してしまいそうな終わり方だった。絶望の中に光を見出す自己防衛措置かもしれないし、一方的から双方向への変化と見てハッピーエンドにもなるかもしれない。
本編は終わってしまったので、もう大きな進展は期待できないが、やはりどこまでも洗脳され続けるだけの主人公を追うのはしんどい。意思を持った人間に戻る希望が欲しかった。
高校生活最後の春。
夜桜見物にいくことになる悠馬と湊。
湊が抵抗しきれず、こういう関係になって半年以上。
悠馬の言う通りにしなければ生きていけない状態になった結果、流されることに決めた湊。楽観的で順応力の高い湊はすでに悠馬の形に変えられ、悠馬がいなくなったら何も決断できない人間になっているのではないかと危惧しています。
ただ、そうなったらまた流されるのだろうと楽観もしています。
悠馬の性欲は相変わらずで、湊はその相手をするのが大変でありながら、ちょっと離れてしまうと身体が疼くという困った状態になっています。
今日も花見に行くというのに時間があるからと、悠馬の部屋に引きずり込まれています。
いつも悠馬は体力にまかせて湊をとことん貪りつくすので、最後の方は記憶がほとんどありません。
そんな湊に、悠馬はこれからの計画を語り、昔語りをします。
湊を取り合った姉の皐月の話です。
皐月の話を聞いても、もう何も思わなくなった湊。
自覚がないだけで、この時点で湊がだいぶ悠馬に毒されているようです。
湊がそれを自覚するのはその後、夕食をとりに一旦家に帰り母親とテレビを見ていた時のこと。
狩りが下手で餓死しそうになっているライオンを見て、草食動物も肉食動物も自然に生きるのは大変だという話をしている母親に対して、人間社会でも同じようなものだと淡々と話します。
それを聞いた母親は「あんた、そんな感じの言い方をする子だっけ?」。
母親の反応に自分が悠馬の心に近づいていることを意識するのです。
悠馬のように完璧に隠すことができない自分が両親に本当の関係を知られてしまったら、そして両親が自分たちを離そうとしたらと思うと、戦慄します。
悠馬の取る行動が予想できてしまって・・・
そのあとの夜桜見物では綺麗な桜にうっとりする湊と湊を眺めてうっとりする悠馬。
悠馬は徹頭徹尾、湊だけを求めていてブレることがありません。
でも、それを心地よく感じるようになった湊は変わってしまったのでしょう。
相変わらず、ほの昏い二人。
彼らには恋愛感情はあるのだろうか。悠馬の執着は凄まじいものがありますが、少なくとも湊にはなさそう。ただ、そばにいるのが当たり前になってしまっただけな感じにみえます。
湊がいない世界なんて必要ないと言い切る悠馬。
本編でも満たされない想いに突き動かされているような感じでしたが、きっとそのままずっと湊を求め続けるのでしょう。
そして、湊は悠馬に流されることを決めてしまったようなので、彼らがたどり着く世界はどんな世界なのか、怖いもの見たさで10年後20年後の二人を読んでみたいと思いました。