求婚相手は吸血鬼につき

kyukonaite wa kyuketsuki ni tsuki

求婚相手は吸血鬼につき
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×27
  • 萌8
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
6
得点
68
評価数
20
平均
3.5 / 5
神率
15%
著者
榛名悠 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
毬田ユズ 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
プリズム文庫
発売日
価格
¥668(税抜)  
ISBN
9784775529034

あらすじ

彩人の前に現れた謎の男、御影。
いきなり匂いを嗅がれたうえに『十年前、お前に指輪を嵌められた』と左手の薬指を見せられて──。

表題作求婚相手は吸血鬼につき

彩人の前に現れた謎の男
フラワーショップ経営,21歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数6

何なの!?この可愛いヘタレにおい蝙蝠は!!

2019年刊。
久々に読んだ吸血鬼もの。
今時のBL吸血鬼ものって血を吸ったりしないのでオカルト色は薄くなっているが、棺・蝙蝠・嗅覚が鋭いといった特徴を連想させるものが散りばめられていてニヤリとできる。
ちなみに御影曰く、新世代の吸血鬼は血ではなく人の気(エナジー)を糧にしているのだそうな。

フラワーショップの店主・彩人の前に突如現れた御影。
眠っていた時に幼い彩人が嵌めた『嫉妬の指輪』という能力を制限する術具を外せと迫るも、彩人は外す方法を忘れてしまっていた。
それを思い出してもらう為にと、御影は彩人にエナジーを補給してもらい、彩人は御影から他のにおい蝙蝠からの護衛、花屋の売上貢献といった形でお互いをフォローする共同生活が始まったのだった。

『嫉妬の指輪』のせいで彩人以外の人間の臭いを受け付けない御影だが、普段はその人間相手に調香師として己の糧となるエナジーを集める涙ぐましい日々を送っている。
一日の終わりに気力が尽きたヨレヨレのへたれ蝙蝠姿で”すはすは”と彩人の匂いを嗅ぎ、栄養補給にいちご牛乳やいちごタルトを頬張る様子は可愛いぞ!!
いかにその人間の悪臭に耐え忍んでいるのかプンスカ怒りながら罵詈雑言を吐いても、始終コミカルでトゲがない。
おまけに彩人が幼い頃から御影の元に遊びにいく度にお手製のスイーツを欠かさなかったので、かなり餌付けされている(笑)
吸血鬼だというのに随分と人間に感性が近いな。
言い回しのセンスもなかなか素敵だし。

物語の進行と共に、彩人も御影の元を訪れた時の事を思い出していくのだが、それにしても彩人くんっておませさんだったのね。
幼さからくる邪心の無さってある意味無敵で、御影ってばその幼い求愛者の情熱に絆されていって…
そんな彼は彩人をずっと守っていて、蓋を開ければ健気攻めだった訳だ。

他の幾つかの伏線も、クライマックスで上手くまとまっていてお見事。
コミカルとラブのバランスも取れていると思う。
あと、不思議とBLの受け職業で"花屋さん"って多く、名ばかり設定も多々あるが、この話では彩人が花屋の店主さんだというという設定が活きている。
いいなぁ、御影ってば花でもスイーツでも癒されているじゃないの。

2

甘々&ほのぼのです!(* ´ ▽ ` *)

榛名先生と言うと、甘くて可愛いラブコメのイメージが強いと思うんですけど。
今回、そんな作者さんの持ち味がよく生きた、笑えて甘々な吸血鬼もの。
また、しっかり心に響く部分もあるのが素敵でした。

いやね、超美形で俺様な攻めなのに、どこか抜けてて笑わせてくれるんですよ。
出会って早々に、受けに変質者認定されちゃったり。
これね、終盤で彼の真実が明かされると、あまりに健気でホロリときちゃって。
若干、受けにイラつきましたよ。
この場合は仕方ない。
仕方ないんだけど、でももうちょい、信じてあげる事は出来るじゃないの・・・。
う~ん。
これが逆だと、「受けはこんなに健気なのに!」と、攻めにイラつくどころかクズ認定してる気がする。
攻めザマァがやたら楽しかったり、なんで攻めってこんなに蔑ろにされてんでしょうね?
あれ? 私が攻めに厳しいだけですかね?

ザックリした内容です。
両親の遺してくれたフラワーショップを営む青年・彩人。
そんな彼の前に突然現れたのが、黒づくめの服装に恐ろしい程の美貌の男・御影。
「約束の十年目」だと語り、「すはすは」と彩人の匂いを嗅いでうっとりする彼に、変質者だと逃げ出しますがー・・・と言うものです。

で、実は吸血鬼である御影ですが、過去に彩人と出会い、呪いのアイテムである「嫉妬の指輪」を嵌められたんですね。
この指輪を嵌められると、嵌めた本人からしか精気が貰えない上に、外すことが出来るのも嵌めた人物だけ。
御影から指輪を外すように迫られる彩人ですが、何故か当時の記憶が無く、指輪を外す方法も分からない。
そこで、人間としてはとても甘く特別な匂いがする血を持ち、吸血鬼に狙われる彩人を守る事と引き換えに、指輪が外れるまでの期間限定で精気を分け与える事となり・・・と言う流れ。

これは私個人の勝手な意見ですが、実は設定なんかが凝りすぎてて、若干ごちゃごちゃしてる印象だったりします。
ここで書いた以外にも、細かい設定がたくさんあるんですよね。
もうちょいシンプルにした方が、分かりやすいし読みやすい気がするなぁ。

と、ちょっぴり気になる部分はあれど、この作品の一番の魅力は、甘々ほのぼのな上に笑わせてくれる二人の日常。
御影は蝙蝠になったり人間の姿になったりしますが、この蝙蝠時がめちゃくちゃ可愛いのです。
「ギャッ」とか鳴きつつ、彩人くっついて、すはすはと匂いを嗅ぐ。
この匂いを嗅ぐですが、嫉妬の指輪のせいで彩人以外の体臭がひどい悪臭に感じられる御影のですね、エナジー回復法と言いますか。
こう、しょっちゅう「匂いを嗅がせろ」と、御影が彩人に抱きついてるのが楽しいのです。

また、御影ですが、俺様で偉そうな態度なのです。
なのですが、実はやたら過保護で世話焼きでもある。
料理が苦手な彩人の為に食事を作り、「おまえの具合が悪くなったら困るからな。まったく、餌の管理も一苦労だ」と憎まれ口。
こう、彩人の事をしょっちゅう餌呼わばりしますが、その裏にある愛情が透けて見えちゃってるんですよね。
「おまえときたら、物覚えの悪い子供で・・・」みたいな、こき下ろしてるのに、何故かあたたかい。
もうね、これ、精気を彩人から摂取する方法が、途中からはキスになるのです。
精気を摂取すると言う名目ながら、このキスが甘ーーい!
もうめちゃくちゃキュンキュンするーーー!!みたいな。

と、ここから、不思議な森で御影と過ごした幼い頃の日々を、少しずつ思い出す彩人。
しかし、指輪を外す方法に関しては、ちっとも思い出せないんですね。
更に、御影の隠していたある事実が分かると、騙されているのではと不安になり・・・と続きます。

繰り返しになりますが、設定がかなり複雑です。
で、終盤で怒濤の勢いで回収されるのです。

これな!
ここで御影の過去の行動が分かると、すごく心を打たれるんですよ。
そして、あまりに健気過ぎて、なんだか胸が痛くなってくる。
彩人がですね、状況から鑑みて、御影を疑っちゃうのは仕方ないんですよ。
仕方ないんだけど、御影はここまで大切にして、彩人の幸せの為だけに行動してるのに!と、彩人が薄情に思えてきちゃう。
いや、本当、それだけ御影がいじらしいのです。
とても良い攻めなのです。

とまぁ、そんな感じで、笑いあり甘々あり感動ありと言った、とても魅力的な作品でした。
ラストもとてもロマンチックな上に優しくて、思わずうっとりしちゃいましたよ。

4

失われた過去に潜む未来への約束

今回は訳あり吸血鬼とフラワーショップオーナーのお話です。

受様が攻様との過去を思い出し攻様の恋人になるまで。

受様の両親は2人でフラワーショップを営み、受様も花が大好きです。
父を事故で母を病で亡くしてからは店を引継ぎ、切盛りしています。

花に囲まれて育った受様は花たちが元気なうちにもらわれて欲しい
と閉店後に週3回、店で売れ残った花を小さなブーケにして駅前広場
で移動販売をしていますが、売れ行きは芳しくありません。

今日は文化センターで特別講習をしてきたという華道家の幼馴染が買
ってくれますが、寒さもあり家路を急ぐ人達はワゴンには見向きもし
ません。

そんな中、受様は黒のビジネススーツに黒のトレンチコートを羽織
った美貌の男に声を掛けられます。この美丈夫こそ今回の攻様です♪

攻様は圧倒的な迫力で受様に迫り、10年も待たされたがまずは再会
の抱擁だと、受様はいきなり抱き締められた上にすぅーはぁーと匂い
をかがれてしまうのです!!

唐突過ぎる攻様の予想外の行動に、受様は思考が完全に停止してし
まいますが、耳朶にかかった熱い吐息で産毛が逆立ち、とてつもない
嫌悪感がコマあげた受様は、思い切り攻様の足を踏みつけます。

攻様は受様に呼ばれたと言いますが、受様には全く心当たりが有りま
せん。しかも15年前に出会った受様が攻様の左手薬指に嵌めた「嫉妬
の指輪」を今度こそ外せと迫るのです。

なんとか攻様から逃れた受様は自宅の気庫でやっと一息つきますが、
どう思い返しても攻様を知っているようには思えません。しかも違和
感を感じた薬指には鈍く光る指輪がはまっていました。

慌てて外そうとしてもなぜか全く抜けず格闘していると、ふと社内が
暗くなり、月をバックにフロントガラスに張り付くおどろおどろしい
何かと目が合ってしまいます。

慌てて外に飛び出した受様はバサバサッという羽音共に、ギラっと
双眸を光らせた黒い影が襲い掛かってきます!!

いったい受様に何が起こっているの!?
そして攻様との関りとは!?

受様との出会いで枷をはめられた吸血鬼と攻様との過去を忘れてしま
った受様とのドタバタラブコメディになります♪

フラワーショップを営んでいた受様の両親は多忙でしたが、年に1度
夏休みの時期に友人家族とともに避暑地で過ごしていて、5才の時に
受様は不思議な棺に寝ていた攻様と出会うのです。

実は攻様は長い時を生きる吸血鬼である事情で結界内に閉じ込められ
ていたのですが、なぜか受様はその結界を飛び越えて攻様の棺に近づ
いた上に、攻様を白雪姫と思い込み、キスでたたき起こして指輪を嵌
めてしまうのです(笑)

現代の吸血鬼は人間の気を吸って糧としているのですが、攻様に嵌め
られた指輪は嵌めた人間以外の匂いを腐臭に感じさせる「嫉妬の指輪」
で攻様は何とか受様に外させようとしますが、幼児期の受様は攻様に
興味津々すぎて上手くいきません(爆笑)

毎年やってくる受様に攻様は徐々にほだされていくのですが、10年前
に攻様の父親が事故に遭い、同乗していた受様が奇跡的に生還して以
来、受様はその地を訪れる事はなくなってしまいます。

一方的な再開後、現代社会で生きるために調香師をしている攻様と関
わっていくうちに受様は昔の記憶を徐々に思い出されていくのですが、
攻様の顧客に嫉妬したり、受様の存在を知った他の吸血鬼に狙われた
りとアップダウンの激しい日々を送る事になるのです。

受様の記憶が失われていた原因には、受様の父親の事故死と攻様が関
わっていて、受様が全てを思い出し、攻様の指輪が無事に外されて2人
が恋人同士になるまで楽しく読ませて頂きました♪

物語の鍵は攻様に嵌められた「嫉妬の指輪」なのですが、指輪の背景が
なかなか語られません。それが終盤の流れに非常に上手く絡んでいて
面白かったです (^O^)v

また受様からしか精気を受け取れず、たびたびがっつりくたびれたり、
蝙蝠姿のパタパタぶりがすごく可愛く、普段との差に萌えました♡

今回は吸血鬼繋がりで海野幸さん『ご先祖様は吸血鬼』をお薦めです。
こちらは受様がちょっと変わった吸血鬼です。

2

こうもりちゃん

可愛かった・・・疲れている時に読んだからか、出てくる吸血鬼がめっちゃ可愛く思えた&期待値を上回ったので萌よりの萌2にしました。こうもりちゃんを読んでみたい方におススメしたい吸血鬼もの、本編320P弱+あとがき。

花屋を営む彩人(あやと)。週3日の移動販売をしていると空からスズランの花が降ってきたので慌てて拾い上げ。「スズランの花ことばはキミカゲソウだったな」と思いだした後、30超えの人形めいたイケメンが突如現れ「まずは再会のハグだ」とギュウされるわ、すはすは匂いをかがれるわ・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
日生光聖(幼馴染の華道家)、黒桜(攻めの助手)、その他あちらの世界の関係者少々。黒桜が控えめですが良いサポートしてます。

**好きだったところ

人の時も蝙蝠の時も、御影がめちゃんこ可愛い。がっつり血を吸うんではなく「においを吸い込んでエナジーに変える新型」の吸血鬼で、表向きは調香師として活躍中。大好きな最上級レベルのにおいを放つ彩人を、人間姿でも蝙蝠姿でも、すはすはと嗅いで大満足する姿が、ラブリーなんです。あーこんな可愛いんなら家に一匹欲しい・・

彩人は「吸血鬼かも」と思ったらさっくり本人に「吸血鬼ですか?」と聞いちゃう方。ラブいお話の方ではぐるぐるしていますが、そもそも小さい頃に会っていた時には、自分から言い寄ってんじゃん!という性格で、母性本能多め系なのかな?蝙蝠の御影を可愛いとなでなでするところは萌え萌えでした。ちょっと怖いわと思っていた蝙蝠ですが、ほんとにこんなに可愛いなら撫でてみたい。

ちょっと変わった設定の吸血鬼もので、可愛く一途な攻めがとても良かったお話でした。
絵的には若々しくイケメンぽく描かれているのですが、よれっとしたおじさんぽくなった見た目だったとしても面白かったんじゃないのか‥等と妄想しちゃいました!長い間一人で生きてきた等というせつなさたっぷりの吸血鬼話がお好きな方でしたら「あれ、なんか違う」と思うかも。そこはご注意ください。

1

なんと健気な吸血鬼

蝙蝠がこんなに可愛いとは思わなかった。

花屋を営む花森彩人(受け)が移動販売車で売れ残りの花を売っていると、突然眼を見張るほどのイケメンが「やっとみつけた」と抱きついてきます。
いきなり抱きつかれた上懸命に匂いを嗅がれ、警戒しまくる彩人に、御影と名乗る美丈夫は左手薬指にはめた指輪見せつけ、昔彩人がはめたというその指輪を外すことができるのは彩人だけだと言うのです。
新手の詐欺かと怖くなった彩人は逃げ出すのですが‥

実は御影は人の匂いによってエナジーを得るという吸血鬼で彩人がはめた呪具のため彩人の匂いしか受け付けない身体になってしまっているとのこと。
全く身に覚えのない彩人でしたが、事故で記憶のない10年前の記憶の中にその出来事があるとのことで早く思い出すようにと言われます。


指輪のせいで力が制限されている上、彩人以外の人は吐き気を催すひどい匂いがするという御影が、エナジー不足で蝙蝠になってしまって、彩人の首に捕まってすはすは匂いを嗅ぐ姿はなんとも可愛らしく微笑ましいです。


彩人は吸血鬼にとって魅惑の匂いを放っているらしく、御影の施した術が切れてからは他の吸血鬼に狙われるようになります。
御影は自分の餌が奪われるのは耐えられないと、他の吸血鬼から彩人を守ってくれるのです。
御影と共にいるうち、少しずつ思い出していく彩人。
記憶のない頃の彩人は御影のことが大好きだったようなのです。
そしてやっと指輪を外す鍵思い出した時には再び御影のことが好きになっており、自分のことを餌だという御影と離れがたくなっていた彩人は本当のことが言いだせません。
そんな時、御影のことを恨んでいる仲間の吸血鬼たちから不穏な話を聞いて動揺するのです。

彩人のために文字通り身を粉にして働く健気な御影が彩人に信じてもらえなくてすごく気の毒でしたが、元はと言えば照れ隠しに彩人のことを餌だと何度も言ったことが彩人の不信感煽ることになってしまったので、自業自得と言えないこともなく、ちょっと複雑でした。
2人の想いが報われてよかったです。


御影と対立していた吸血鬼は、敵ではありましたが、元はと言えば御影が悪いのでちょっとかわいそうに思いました。

蝙蝠姿の御影の行動はすごく可愛いいであう。彩人もメロメロです。
ツンデレ気味な御影のせいであまり甘い雰囲気にならな二人だったので、一人と一匹のときが一番楽しそうでほのぼのしました。

2

健気大賞を差し上げたい!

ファンタジーが好きなので、吸血鬼に惹かれて読みました。322ページとボリュームがあり、設定も凝ってて読み応えがありました。

さて感想ですが、一言で言うと、御影(攻め)の献身的な愛情に比べて彩人の愛情というか態度が軽い!でした。
最後の方まで御影がやった最大の犠牲が分からないんだけど想像はつくので、勘違いして拗ねてる彩人に若干イライラしました。
だって、その最大の犠牲以外にも、エサのためなんて言いながら彩人を守り、仕事も手伝い、ご飯まで作ってくれるんですよ。これだけでも感謝してほしいのに!

いつもは受けの方に感情移入するのに、絵柄のせいもあるのか取り柄のない人に思えて(最後に美人だと御影は言ってますが)全然応援できず、そこが残念でした。
ただ、御影の一途さは半端なく、御影に関しては萌えまくりでした。そんな少年の頃から彩人を好きだなんてもしかしてロリコン!?って頭をよぎったけど、健気大賞を上げたいくらいです。
また、その御影の行動で、寿命が同じくらいになったという設定も好みでした。

1

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