てんてん
iroakusakka to kouseisha no tajo
本品は『色悪作家と校正者の多情』のフェア書店限定特典ペーパーです。
本編続編後、篠田が塔野の依頼で東堂と対するお話です。
篠田は帰宅時に塔野に頼まれて東堂と待ち合わせている鳥八に同行する
ことになります。
本当なら面倒でしかない塔野の頼み事はお断りしたかったのですが、
先日塔野が東堂にお膳立てしてもらった歌舞伎を楽しめなかった事の
補足をしたいけれど1人では厳しいという「命の電話」レベルの願いで
致し方なく鳥八のカウンターに着席したのです。
篠田はぼやきながらも「なぜそんな高い山に登ろうとするのか」と訊ね
ずにはいられませんでしたが、塔野は誘ってもらって楽しめなかった事
に加えて、東堂自身から「わかっていたのに誘ってすまなかった」と謝
られた事でさらに申し訳ない気持ちが募っていたのです。
そこに東堂がやって来て・・・
B5サイズ(書店により型違い)4つ折り片面で塔野に頼られ苦労する篠田
の小話です。
篠田が同席していることを知った東堂はすわ何か討論を持ち込んだのか
と気分を良くしますが、塔野が改めて口にしたのは先日の歌舞伎の件で
東堂は恨みつらみを聞かされるのかと臨戦態勢に入ってしまいます(笑)
全く噛み合わない会話に篠田は早々にタオルを振り、通訳を買って出ま
す。東堂に誘われた歌舞伎はありがたい体験であり、この2月大歌舞伎
が生涯最後で唯一の大切な時間になったと説明します。
塔野が本心を上手く明文化できる自信がなく、篠田に助けを乞うたのだ
と言い添えます。塔野には難易度が高すぎて喧嘩になる予感しかしなか
ったからと。塔野はわざわざ明文化しなくても礼を言われたいわけでも
ないと不機嫌にはなりますが、塔野の気持ちは伝わったようです。
篠田は日米和親条約の首席通詞の森山栄之助になった気分を味わい、
成功案件から早々に離脱すべく、東堂がその後に行ったという森鴎外記
念館の話題へと上手く変えてしまいます。そして東堂が好きだと語る
鴎外論に頷く塔野の姿を微笑ましく見守る
・・・という「東堂との同席は年に1度までと決めている」常識人篠田の
苦労がしのばれて面白い話でした。
本作中も対人スキルが低くて普通の会話も成り立たない塔野を何くれと
なく助けてくれる篠田ですが、篠田にとって東堂もまた別の意味で面倒
な御仁。それを押しても協力する篠田氏はスゴくデキた人だ (^_-)
通訳が必要なほどの恋人同士もどうかと思いますけど、それがシリーズ
の楽しさでもあるので今後も篠田の苦労は確定事項(笑)このシリーズで
一番苦労しているのは間違いなく彼ですね。
※他店舗特典(レビュー済)
コミコミ特典は雛祭りの日のお話です。
篠田好きな私としては面白いですが、作品の特典書き下ろしというより自己満足に近いですね。
正祐を稚いと何度も表現されてますが、本編でようやく人間らしくなって来たのにまた後退してました。
まさしく篠田に通訳を頼んでまで大吾に伝える行為は、正祐の自己満足でしか無いと思いました。そこがやっと人間を始めたばかりと篠田が思うところですね。
菅野先生の好きな文学や豊富な知識を自作に取り入れるのも、それを許す編集にも一読者として口を挟む権利はありません。
でもですね私はBLを読むために購入しています。
こんなに何を読ませられているか分からない作品は今までなかったように思います。
もちろん神評価があるのでお好きな方も居ると思います。でもほどほどという事も考えて欲しいです。