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toritatete nannotoriemonai ore no yoko ni
いろいろと特殊設定・珍エピソードがてんこ盛りだった。
まず商業ではなかなか許されないブサメン攻め。このブサメン真也の一人称で語られるお話は、随所で周囲の人々がブサメンであることを肯定する。どうにかすれば実は美形……なんて逃げ道はなく、最後まで徹底していた。
受けの野理は顔は可愛く仕事のできる医師だがストーカー。真也だけでなく元彼にもやっていた筋金入りで、逮捕歴まであるらしい。嫉妬深く独占欲が強く中身に難アリ。
他にも野理のストーカーの女子キャラや患者を監視するストーカー、野理の他にも真也をストーキングするキャラが現れたりと、ストーカー大量発生のカオス。それでも日常に溶け込む淡々とした語り口なので、どういうテンションで読めば良いか分からない。分からないがたぶん楽しいという不思議な読み心地だった。
BLは至って普通に?進んでいた気がする。ブサメンゆえに自信のない真也は野理をセフレだと思っていて、だが野理は真剣で。
誤解が解ければすんなりくっつく、その過程にキラキラした萌えやロマンチックさはない。代わりに生活と地続きの関係を感じ取れるような身近さがあった。これもよく分からないけどなんか好き。相性が良いってことなのかな。
BLには絡んでこないが、それなりに活躍してくれる大瀬がとても好きだった。
病院内の描写は内部をよく知っている人が書いていると分かる。ストーリー的に重要でない結核対処がさらっと描かれているし、連携室なんて付け焼刃だとなかなか出て来ないと思う。
ギャグなのか何なのか終始戸惑いに支配される感覚で、これぞ同人誌!というか、縛りのない環境で書かれている作品の自由な空気感が良かった。
とはいえこれに限っては月夜堂作品上級者向けかもしれない。(自分にはまだ早かったのかもしれない)