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シリーズ三作目で二話構成。最初の話は同業で付き合う面倒臭さ全開で、音彦が飛滝の才能に嫉妬したり悩んだりとぐるぐるしている。ちょっと売れて自尊心の高まりも見えるため、今までより複雑化し、あまり読んでいて楽しいとは思えなかった。
恋人としての付き合いが安定し、慣れが生む傲慢さはある種リアルだが気分良くは読めない。音彦はその点を自覚しながらも感情制御が下手になっていて、飛滝の相手としては物足りない。
前作で一緒に成長していって欲しいと思ったが、音彦は飛滝に甘えて退化してしまったように感じた。
二作目は飛滝がイギリスドラマの撮影に向かうお話。三カ月の別離が我慢できない音彦は、追いかけて見学に行ってしまう。
正直ここに萌えは一切なくて、ただただ撮影を滅茶苦茶にしないでくれ~とヒヤヒヤした。スタッフの所沢に一番共感したかも。無駄に現場の仕事を増やしている音彦は邪魔者でしかないんだから、謙虚でいて欲しかった。
結局俳優として得た答えは当たり前すぎることで、ここまでやらなきゃそこに辿り着けないなんて先が思いやられる。平均より少し歩みの遅い売れない俳優、ってだけなら良いが、音彦はやっと情緒が芽生えて人間として成長を始めた飛滝の恋人。
そういう目で見ると、どうしても見劣りするというか、力不足というか。
飛滝に魅力を感じてシリーズを追いかけてきたため、飛滝の厄介モンペのように音彦を評価してしまう。もっと飛滝の隣に並べるくらい精神面の成長を見せて欲しかった。
ここで終わりと言われても、安心して音彦に飛滝を任せることはできない気持ちをどう処理したらいいんだろう。まだ終われない感を残したまま終わってしまったシリーズだった。
とりあえず飛滝が好きだ、という感想だけは強く残った。
前の2冊に時間をかけたのに、こちらはあっという間に読みました。一番好きだった!今回の所謂劇中劇が海外かつ時代物だったのがよかったのだと思います。下手な現実感がなく、空想の世界にもっていってくれますからね!ありがたいことです。
この2人、大体いつも2人だけの世界に浸ってるから、「時のない男」で第三者の介入が沢山あったのもよかったのだと思います。女性に優しくする2人は、2人の世界にいる間は見ることができないから。こういうシーンでキャラクターのイメージが固まるのが好きなので、もっと見たかったなと残念に思う。
ひたすら我儘な音彦にずっとうんざりしていましたが、音彦が家族に愛されて育った良い子であり、ひたすら甘えるのは飛澤に対してだけで、なよなよはしていない豪気ある男だと思えるこの巻に満足。気づくのが遅くなってごめんよ。
そして3冊読んでやっと、どんな役でも音彦を惚れさせる飛澤と、どんな飛澤にも惚れる音彦の構図を楽しむ作品なんだと気づけたので、もっとこの2人が読みたくなった。お約束の安心感と美学。
「顔のない男」シリーズ最終巻。電子版表紙絵あり、挿絵なし、あとがきあり。
剛先生はもっとこのふたりを商業で書きたかったんじゃないかな? と思わせる終わり方。読者としても、まだまだ音彦の成長や、音彦を愛することで変化していく飛滝を見てみたかった。
1冊目の「顔のない男」の、兄弟役を演じるふたりがすごくツボで、それ以来ちょくちょく読み返しては、やっぱりいいなあ、と思うのだが、本作はそこまでのドキドキハラハラするような感覚はなく……というか、前二作に比べて、平和だなという感じ。3冊目となると音彦も役に入った時の飛滝の扱いを心得ているし、恋愛関係も安定しているからかな。
前半の「愛のない男」は、撮影現場で犬を預かってきた音彦が、飛滝の自宅で犬の世話をすることになるお話。飛滝が実は、動物や子どもが苦手だということが判明する。ミステリアスな男という印象が、犬の世話をすることで人間味が出てきて、可愛いところもあるのね、という印象に変わります。
後半の表題作。イギリス制作のドラマに出演することになった飛滝を追って、渡英した音彦。相変わらず飛滝は役に憑依されていて、私生活でも別人になりきっている。こっそり会いにきた音彦を見てもなりきり演技を崩さない飛滝に、音彦も即興の演技で応え…。
音彦はわがままで甘ったれだし、飛滝は変人だけど、一緒にいるとお互いが成長できる、いいカップル。この先のふたりは想像するしかないけど、音彦は役に入って別人になった飛滝に毎回新鮮な気持ちで恋ができるから、マンネリもしないのでは? そしてそんな音彦に対して、「浮気だ」って言う飛滝が可愛いくてニヤけてしまう。いやいや、中身は自分ですから!
剛先生の文章、恋愛を通して成長する人間の描き方、飛滝のように歪みを抱えていたり、音彦のような完璧ではない人間に対して、温かな目線を感じるところが本当に、いつまでも大好きです。
「顔のない男」シリーズは、この巻で完結。シリーズ番外編の「優しい男」は同人誌で市販されていないので、諦めます。
続編を希望したくても作家没後なので、叶わないのが残念。
座布団⇒花扇に続いて、レビューで調べると、作風が似ているのがこのシリーズだということで、電子書籍で読みました。・・挿絵部分が全部空白で抜かれているのが残念だった。
好き嫌いあるかもしれませんが、私はこの二人の物語がとても面白かった。
音彦と飛滝は、「花扇」の初助と寺田の組み合わせと少し似ているような気がしました。
音彦は、負けず嫌いで積極的。
我ままで甘え上手な正直者。嘘をつけない。
個性が無いのが個性の美男子。
音彦は、智恵子抄の智恵子のようにパートナーの天才が放つ才気に圧倒されても押しつぶされず、競わず尊敬することで上手く愛を繋げている甘え上手
・・素の状態がしっかりあるので、音彦は役柄の憑依状態を長時間保てない。
飛滝は、特殊な生い立ちのため歪みがある性格。
天才型で憑依気質の飛滝は、音彦には包容力ある年上。
音彦には愛を向け、音彦の反応を鏡としている。
飛滝は、音彦のような気性の者でなければ愛せないし長続きしない。
犬や動物が苦手。
醜くあることを嫌い、常に美しくあろうとする。
完璧に役にナリきる憑依型演技を徹底してきたため、素の自分を見失っている・・・だから「(自分の)顔のない男」
音彦と出会ってからは、飛を演じることで音彦を忘れず私生活を保っている
剛シイラ先生に、長生きしてほしかった。そしてもう少しこのシリーズを書いて欲しかった。今頃シリーズを知ったことを残念に思います。
・・・調べたもの
「時のない男」
長妻藩 前田建明 男爵
・・長妻藩は(架空の藩)だから資料無し。
*前田家は維新後、鉱山と造船業に関わってはいます。ホントか??と驚いたのですが、架空と知って安堵。ビックリした。
次は、剛しいら先生作、架空の長妻藩関連の「倅なれども」を読もうと思ってます。
「顔のない男」の3巻目。
中編2編での構成です。
「愛のない男」
あのパーフェクトな俳優・飛滝惣三郎にも苦手なものがあった…それは「子役」と「動物」。
はあ〜なるほどねぇ。飛滝もその辺り、平凡だな!と思ったりして。
今回は、音彦とCMで共演する子犬と数日生活する展開になり、飛滝がアワアワする…
すると犬が逃げ出して、追いかけた音彦が足を怪我したりで、結局犬の世話は飛滝がすることになり飛滝の意に反して?犬はすっかり飛滝に懐く、という話。
この話は、音彦が飛滝に甘えてどこまで我儘を言っても許されるのかを試すような話でもある。「愛のない男」どころか、音彦には甘々だし、多分犬も飛滝の愛情深さを感じ取っているのでしょうね。
「時のない男」
飛滝は海外の映画のオファーを受け、3ヶ月イギリスへ。音彦は離れているのがイヤで追っかけでイギリスに行ってしまう。
イギリスでの飛滝は実在の人物、決闘で死んだ「前田男爵」になりきっていた…
来ました。なりきり展開!いつも通り飛滝は現実と役柄の境がわからないくらいに「前田」になっていて、撮影現場や下宿に見学に行く音彦も飛滝に合わせて、『日本から勉強しにきた者です』なんて言ったりして。
外国の監督やスタッフ達も飛滝の存在感に圧倒されるほどの飛滝の憑依ぶりは相変わらず。
音彦が意外と売れてきていて、今後結構いい俳優さんになりそう?
3作目で、よく言えば読みやすい、でも私的にはちょっと迫力が足りないかな、もっと怖いくらいの憑依を下さい!…という感じでした。
顔のない男3巻目。短編が2本入っています。
CMで共演する子犬の世話をする事になった音彦に、「何でもひき受けるな」と口出しする飛滝。対して音彦は「仕事を選べない」という不満をぶちまけます。
飛滝が音彦の仕事に対して怒ったり口出しするのは始めての事。
互いに「相手にどこまで踏み込んでいいか」をまだ探っています。
1巻2巻では霞のように実態のつかめないでいた飛滝が次第に人間っぽくなってきて、やっと飛滝というキャラクターが分かってきた話でした。
後半は海外ドラマに出演する飛滝の演技が見たくてイギリスにまで音彦が追っかけていくお話ですが、演技の邪魔になると分かっていて飛滝の前に出るのはちょっとどうかと思いました…。
スタッフに嫉妬したり、それを顔に出したり…あなたもう大人でプロでしょう、という感じも…。
今まで飛滝の演技をただ「すげー」って思っていましたが、ここに来てやっと腑に落ちない感想を持ちました。カメラが回っていない、知り合いも見ていない所でも、果たして「演じている人間」になって生活するなんて出来るのか??という疑問。
音彦が危ない目に遭っているのを間のあたりにして、それでも「音彦なんて知らない人間」になりきれるのか?と不思議に思いました。
飛滝の演技方法はきっと、「大事な人」がたくさんいないからこそ成り立ってきたんだろうなぁと思います。
家族や友人など、大事な人が回りにたくさんいて始終話しかけてくるなら成り立たない生活でしょう。音彦といる事で無茶な演技方がもっと良い方向になってくれたらなぁと思います。
それにしても「売れない俳優」設定から始まった音彦は、とても恵まれていますね。2人が仲良くしている様が大好きでした。
ここまで読んでまだ読み足りないです。
すごいなあ。
『ガラス●仮面』劇場 まだやってるよっ!
ずーーーっとマヤと亜弓がシロメむいてるわよっ!!
どんどんオカシクなっていませんか??
違う世界に どっぷりです。
いっちゃってますよおおおおおおおお!!
笑いどころ満載ですよ。
俳優業ってここまでしなくてはいけないものなのか??
だから 芸能人同士結婚するのか?
一般人には到底ついていけませんものね。
1巻が面白かったんで 今回期待したんですけど
パワーダウンしてました。
最終巻です。
甘いです。甘い。
飛滝と音彦が付き合い始めて1年ほどたったお話なんですけど、音彦はまだ飛滝の自分に対する愛情に不安を感じています。
二人きりの時にはあんなに音彦への愛情を示す飛滝なのに、どうしてそんなに不安に思うかな?と思わなくもないですが、こういう自分の感情を素直に行動にだしてしまう音彦だから飛滝が可愛く思うのかな、とも思います。
まぁ、この一冊は二人の熱々ぶりがこれでもか、これでもか、と感じられる一冊で、私は「どうもご馳走様」という感じでした。
もう終わりなのもっと飛滝さんが音彦を甘やかすのを見たい(>_<)神にしたが、シリーズ全体にって事で、どっちというと一作目の方が一番好き二人もしカミングアウトしたらどうなるかしら続きを書いて欲しい
三作目まで出るとは、と思ったんですが、このシリーズの中では一番好き。
攻を追いかけてしまう受のこらえ性のなさが可愛い。
さらに役にはまりきっている攻に、きちんと合わせる機転のよさは、同業というか、攻めを知るからこそ、という感じで愛情を感じるし、さらにはその演じている役柄にも惹かれ、攻めに浮気を責められてしまいますが、どっちも攻じゃん、と突っ込みを入れてしまうほど、ラブラブでいいです。
大満足!