集密書庫の情事。

集密書庫の情事。
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×21
  • 萌3
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
14
評価数
5
平均
3 / 5
神率
0%
著者
棗キカ 

作家さんの新作発表
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イラスト
樋口ゆうり 
媒体
小説
出版社
雄飛
レーベル
アイノベルズ
発売日
価格
¥850(税抜)  
ISBN
9784902543292

あらすじ

―金曜の深夜、地下の集密書庫で本を読むこと。それが、図書館に勤める深津の秘密の愉しみだった。だが、新入り司書の宮本に知られてしまい、それ以来、宮本は毎週書庫にやってくるようになる。身体を満たせればいい深津に対し、心を満たしたいという宮本。異なる恋愛観を持ちながらも、次第に深津は宮本と過ごす時間を心地よく感じ始める。だが、遊びのキスから宮本の態度が一変して…。

表題作集密書庫の情事。

大学図書館司書・宮本孔一
同僚・深津奨伍

レビュー投稿数3

年下丁寧語攻め

集密とは、本棚の前後から本を入れたものに
ハンドルとローラーをつけていくつも並べ
必要なところに隙間を作って本が取れるようにした物だそうです。
集密書庫とは図書館の奥にあって、貸し出し禁止の貴重な本だとか
廃棄処分の決まった本だとか、図書館に並ぶ整理前の本だとかが収まっている集密が、いくつもある書庫のことなんです。
古~い紙のにおいだとか、薄暗~い雰囲気だとかが、におってくる場所だと思いません?
そう、『逢い引き』にはぴったり(?)なところですよね?

宮本の「心を満たす恋愛」に対して、深津は「恋愛はしない。カラダだけ満たされればいい」と真逆な2人。それはなぜか?
深津は初めての恋愛で傷ついて、それがトラウマになっちゃってたんですね。
深津は宮本の気持ちを拒否するんだけど、それはそれで辛い。
宮本は真剣に恋愛をしようとしていたから、とても辛い日々を送っているし。
2人して、切ない毎日を送ってるんです。
2人は傷つけあっちゃって、もうボロボロ。
そんな2人の背中を押してやる女王様(女性司書)の存在がいいですね。何もかもわかってて、何とかしてやろうと画策する姿。

深津が宮本にいろんな事を告白して「ああ…」と納得。
やっと深津の気持ちもわかって感情移入が出来ました。

1

恋愛一直線攻め。

最近BL小説・マンガを読みながら、
「だからなんでこんなカッコイイ男(主に攻め)がフリーなのさ!」
と我に帰ることがあるのですが、今回読んだこのお話は・・・なるほど。

『ノンケは必ず堕とす』宮本(攻め)は、苦労の人でした・・・。
深津(受け)にもちょろっとトラウマらしきことはあるんですが、宮本の過去話が出てきてからは、深津に対して「そんな失恋をトラウマって言ってたらいかんよ君!」という気持ちになったぐらいには、宮本はかなり悲惨な恋愛遍歴でした。

「扉のない部屋」のエピソードも痛いです。

このお話は図書館の集密書庫という場所でいろいろ始まるお話ですが、ここ、行ってみたいです。狭い場所大好きです。夜にもぐりこんでサンドイッチつまんだりしながら毛布にくるまって本を読む。いいな~いいな~。今の時期にピッタリ。
描写がうまい作家さんが書く場所にはもれなく行ってみたくなります。
こんなとこで恋が生まれたりなんかしたらもう思い残すことないです。

0

なかなかないシチュエーション

お話は地味だけど、キャラは派手目。
小さな新設大学の図書館で働く主人公深津以下四名は全員が同性愛者、というなかなか奇抜な設定なのですが、それに加えて全員が非常に個性的です。

こんな図書館ふつうなら無いでしょうが、職場としては非常~に楽しそうです。
お話は主人公・深津の一人称で進みます。
この深津、お世辞にも性格がよいとはいえません。口が悪いし態度も悪いし短気で馬鹿な学生を見下した風なのですが、でも不思議と文章がうまいからかそんな性格の一人称でも楽しんで読めました。

お相手は新しく入ってきた年下司書の宮本。深津とは真逆の、温厚で我慢強い性格です。
深津は自分はタチ専だと言っており、若いコが大好きてバーに行っては10代がいたらお持ち帰り・・・なんて大学の職員がマズイのでは、て感じの人間なのですが人には言えない趣味があります。
それは埃ぽい集積書架が大好きで文学が大好きなこと。

毎週金曜は一人狭い地下書架に残り古典文学を読みあさる、けど自分のメージと違うので人に知られたくないと思っています。
最初はあんまり好感も持てなさそうなキャラだなぁて思ったのですが、このギャップが良かったです。
古い本がぎっしりの誇りっぽい狭い地下書庫・・・。
なかなか無い味のあるシチュエーションだと思いました。
このシチュエーションが素敵な作品。
宮本も本好きで、宮本にだけ密かな趣味がばれてからは、金曜の集密書架は2人の場所になります。

でもお話はちょっとシチュエーション負けしてるかな?というところがあったり・・・。
実際この集密書庫という場所を上手く活かしているかというと微妙なところでした。他の場所でのシーンも多いし、この場所でもっとじっくり恋をはぐくむいろんなことが、腰を落ち着けて展開していけばよかったんですが。

宮本に友情を覚えていた深津ですが、宮本は深津に恋をして、頑なに「本気の恋はしない」と言う深津にアタックします。
本気の恋はしない、と言っているのは深津にトラウマがあるからなのですが・・・。

でも何故か、昔は抱かれる側だった深津が抱く側になったそのトラウマとか、付き合いの長かった高校生にフラれたりとか、お話は展開していくのにそこまで深津に感情移入できなかった。
読みにくいわけでもないのですが、面白くなるのかなと思ったまま終わってしまった感じです。
宮本の印象が薄いからかな?
トラウマも、あまりに全面に押し出しすぎている気がしました。
もっと大変なトラウマを抱えたお話ってBLには沢山あるので、そこまでかな?っていう感じのトラウマを最初から最後までお話に大きく絡めすぎている気がしました。

シチュエーションが素敵だなぁと手に取った分、それに期待しすぎてしまった感じでした。

1

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