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君を俺でいっぱいにしたいんだ。
unmei no koi ha lion to
こ……これは……
私がそれほど好みでないはずの『オメガバースで運命のつがい』のお話なのに。
萌え滾ったーっ!
自分の中の『ロマンティック好きの乙女』をよみがえらせてくれた伊勢原さんに感謝!
主人公の麗斗は、今一番乗りに乗っているトップモデル。それも自分がωであることを公表し『売り』にしています。社会の最低層で暮らすωにとっては憧れの的であり、支配層のα男性には所有欲をかき立たせて超絶的な人気を誇っています。
ここにたどり着くまで麗斗は人並み外れた努力をしています。
男にだらしないωの母に育児放棄され、子どもの頃から年の離れた弟と妹を守るために年齢を偽って働き、様々なつらい思いをした後、彼は自分の美貌を利用してどん底の生活からはい上がって来たんです。
麗斗は自分の『運命のつがい』かも知れない人に16歳の頃遭遇しているのですが、そもそも『運命のつがい』自体を馬鹿にしているんです。母が作った借金を返さなければならないし、難病の妹の治療費も必要です。二度とお金の苦労をしないためには玉の輿に乗らねばならないと、高級ブランド企業の御曹司と結婚を前提としたお付き合いをしています。
ここまで聞くと、麗斗ってちょっと嫌な奴と思う人もいるかもしれないんですが、全然そうじゃないの。
麗斗にとって一番大切なものは弟と妹、家族なんです。
冒頭に14歳の麗斗が弟と妹に「せめてクリスマス気分を」とショッピングモールのツリーを見せに行くシーンがあるのですが、この泣けることと言ったら!
あとね、事務所にデザイナーズマンションを借りてもらっているけど、実際の生活は弟と妹がいる貧民地区の『自分が暮らしてきた家』。そっちの方が落ち着くという、ちょっとした貧乏くさい所とかもあって、たくましくも健気で可愛らしい。
そんな麗斗が深夜に『自宅』に向かっている最中、暴漢に襲われます。助けに入ったのはなんと、
ライオンの着ぐるみを着た男性!
彼が側に寄ることで麗斗は激しいヒートを起こします。
ひょっとしたらこの人は、以前見かけて『運命のつがい』を感じたあの人ではないのか?と、今まで他人のことを気にしたことのない麗斗は彼を探します。
この『着ぐるみくん』が最高に変人なんです。
αなのに定期収入を持たず、雑誌にイラストを描いたり幼稚園や施設で紙芝居上演をして暮らしているんです。つまりαのくせに『(嫌な言葉だけれど)負け組』なんですよ。
だけど、それを気にしている様子もなく、許可を得て街に絵を描いたり、趣味として子どもを相手にした紙芝居を公園で上演したりしている。
そして、いつもライオンの着ぐるみを着ているんですよ。
「ああ、自由人ね」と最初は思ったんですけれど、着ぐるみの中の素顔は誰もが振り返るほどの容姿なんです。その容姿を晒したくない理由があるみたい。
ライオンさん=星志郎は麗斗と自分が『運命のつがい』であることを認めます。
麗斗に惹かれていると言いながら、麗斗が金銭的判断で結婚を決めることも認めるんです。
そして「麗斗の役に立ちたい。必要と思った時に寄りかかれる、都合の良い相手にして欲しい」なんて言うんです。
これさぁ、こんなこと言われたら麗斗としては複雑ですよね。
だって、実は麗斗だって星志郎に惹かれているんですよ。
星志郎の絵や紙芝居に魅力を感じる麗斗は、もっと表舞台で活躍する様に話をするのですが、彼には何か事情がある様で……また、方や麗斗が付き合っている御曹司からは、結婚の予定を早める催促がされ……とお話は展開し、この後もどんどんドラマチックになって行くのですが、もうかなり長文になっているのでご紹介はこの辺で。
何がそんなに面白かったって言うと、このお話の世界観が『αの全てがスパダリじゃないし、ωの全てが可哀想な訳じゃない』ということ。
運命は定まったものではなく『幸せに向おうとする毎日の努力が人生を作る』という姿勢が貫かれているんです。
そしてもうひとつ。
「じゃあ、幸せって何?」ということです。
麗斗が、星志郎が、このお話の最後にたどり着くのは「自分にとっての幸せ」なんです。
これを自覚するシーンがね……良いんですよ、とても。
お話の進み方自体は目新しいものではないと思うんですよ。
でも、いくつかの困難にぶち当たった麗斗がその度に自分の感情と向き合い、それを星志郎に解ってもらおうとする、それがね、とても胸に迫るんです。
こう、なんていうかね、心がグワーって来る感じなの。
軽い気持ちで手に取った本ですけれど、良いものを読みました。
ああ、私も、しあわせー!
色々諦めてしまったアルファと苦労人の華やかな美貌のモデルが出会っていろいろ吹っ切って本当の幸せを見つける話。
オメガバース設定ですが、いろいろ今まで読んだ話と違っていました。
まず、アルファの攻めが社会的な成功者ではない。というよりベータの下層くらいの収入しかない。
そして、オメガの受けは自分の美貌をフルに活用してオメガのいないモデル業界でトップに君臨し、金さえあれば幸せで玉の輿に乗るべく自分の価値を上げるべく日々努力している。
と状況だけみたらすごく情けないアルファといけ好かないオメガなんですが、読んでみたら全然違うのです。
家族想いで自己犠牲な受けに何度も涙しました。
<あらすじ>
オメガのトップモデル・津島麗斗(受け)はろくでなしの母親の残した借金の返済と年の離れた弟妹を育てるため、不屈の精神でモデルとしてトップまで上り詰めました。麗斗にとってお金が全て。
一番条件の良いアルファを伴侶にするため自分の価値を上げることに力を注いでいます。
現在寄ってくる中で一番条件の良さそうなアルファでファッションブランドの御曹司・西園寺光明との婚約寸前です。自分の望みが叶う寸前だというのに何故か浮かない自分の心がわからずもやもやする麗斗。
そんな時、明らかに自分がいつもと違う反応を示してしまうらいおんの着ぐるみ男と出会います。抑制剤が効かないくらいの強力な引力に相手が自分の
「運命のつがい」ではないかと着ぐるみ男を探すのですが、彼は近くの公園で紙芝居をしていたりと時々絵を描いたりする貧乏な風来坊の画家でした。
着ぐるみ男・沢木は惚れ惚れするほどのいい男でアルファとしての強い力を感じるのですが、何故着ぐるみを着ているのかに関しては一切口を開きません。
「運命のつがい」とはいえ、お金がたくさん必要な麗斗は沢木とはつがいになれないと宣言するのですが、沢木の方は麗斗の夢を応援するとあっさり。
運命に執着しない沢木に安心するやらがっかりするやら複雑な麗斗ですが、自分の野望のためにはがっかりするのはおかしいと言い聞かせます。
そうこうしているうちに、西園寺との結婚が本決まりになってしまいます。これでいのか悩む麗斗は・・・
初めから麗斗に全く執着しない沢木の態度にこの二人は本当にくっつくのだろうかとかなり心配でした。
麗斗はろくでなしの母親が作った莫大な借金を抱え、重い心臓病を患っている妹の治療費と自分の抑制剤などの薬代のためお金を必要としています。
そのため中学生のころから年齢をごまかして働いたりと苦労していたのですが、
モデル事務所からのスカウトを受け、自分のオメガとしての魅力を最大限利用してのし上がっていきます。
打算的ですべてお金に換算して付き合いをしていますが、自分が作り上げたイメージを崩さないよういつも気を張って生きています。
また、妹のことはすべて自分で考え判断しなければならず、弟妹にも心配かけないようにしないといけないので家でも気が抜けません。
そんな時、出会った「運命のつがい」の沢木。
初対面で年収を聞き、速攻自分はお金が必だから貧乏人とはつがえないと宣言するのですが、沢木は相談相手など都合の良い相手として接してくれればいいと言います。はじめから自分を飾らず話しかけた相手だけに素の自分を見せることができる沢木との逢瀬が麗斗にとって癒しになるのです。
ろくでなしの母親が残した「麗斗が成人したら返す」なんてよくわからない証文の借金の返済はしなくてもよいのではと思うのですが、その辺りのことを会社とかに相談できなかったのでしょうか。それがないだけでも麗斗はだいぶん楽になるはずなのですが。
沢木は自分のことはほとんど話さないためどういう人物か分かりにくいのですが、とにかく生い立ちのせいで自分の容姿などアルファとして持っているものすべてを嫌悪しているようです。
なにもかも諦めているように見えて、そのことから逃げているといってもいいと思います。
麗斗に出会い、逃げてはだめだと気が付くまでは本当に夢もなく日々暮らせていけばそれでいいといったちょっとなげやりな生活をしていたように見えました。
もう後半はずっと涙ぐみながら読んでいました。家族のために自分を犠牲にし、弟妹さえ笑顔で幸せであればそれでいいという麗斗が健気すぎて。
麗斗のがんばりを見ている、主治医や出版社の人やスタッフといい人が麗斗の周りにいて自分をさらけ出せないとはいえ協力してくれる人がいたことが救いでした。
西園寺は本当に小さい男でしたが、因果応報な結果に終わったのですっきりと幸せに読了できました。
もともと、お互い打算で(麗斗は金、西園寺は美人な上たくさんのアルファを産む確率の高いオメガとの結婚)結婚しようとしていたので、西園寺も少し可哀そうなところもありそうですが、邪魔の仕方がちょっとやりすぎでしたね。
麗斗と沢木それぞれに嫌がらせしたかったからだと思いますが、美貌という点では麗斗以上のオメガはいなかったかもしれないけど、他にも候補はたくさんいたようだからウィンウィンの関係でなくなった時点で諦めとけばよかったのにと思いました。
お互いそれぞれに事情があって、「運命のつがい」なのにつがう気のない二人が結局惹かれあってつがいになるというのが新鮮でした。
麗斗はこれまで苦労した分、これから幸せな家族を作ってほしいです。
先生買い。ううーん、読後感最高。この開放感というか、満たされ感というか、これは何なのだろうと不思議でしょうがないんだけど、物欲満たされた時とは全く違う何かが満たされるお話200Pほど+あとがき(ページ数はre〇taさん情報)。充足感満点なんだけど、神にする決定打を説明できず、しぶしぶ萌2です(涙)すごくいいのに。
おんぼろアパートや長屋で弟妹と身を寄せ合って何とか生きてきたオメガの麗斗。中卒で工場勤務していたある日、スカウトされ飛び込んだモデル業でデビュー。母親の残した借金やら心臓に病をもつ妹の治療費のため、ド根性魂により1年でトップモデルになり、モデル4年目。オメガからは星とあがめられ、現在はファッション業界の大企業御曹司(アルファ)から言い寄られていますが、いざ結婚を前にすると何となく気がふさぎ・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
西園寺光明(御曹司、極上のアルファ)とその父母、受けの弟、妹、メンズファッション誌の副編集長など。
オメガバースの設定は、噛む行為がないくらいかな。それ以外は王道コースではないかと思います。
**好きなところ(めちゃネタバレ)
限界まで追い詰められている受けさんがド根性で這い上がろうとするんだけど、ひたすらツンを装っているところがいいのかな。「ああ、これは幸せじゃないんだ」って分かっていて、そちらにきちんと軌道修正するところがいいのかな。書いていて思い出しました、今にもぽきんと折れそうになってる受けが大好物なんでした、それです!
そして最後の最後が幸せ満点なファミリー話になっていて、そこに至るとめちゃくちゃ充足された気分になったんです。自分が幸せファミリーを求めているから満たされるのかもしれないです。
攻めさんは最初ヘタレってるアルファのため、印象がやや薄めですが、最後は頑張って受けを確保して、最後はでろ甘化してます。個人的にツボではなかったですが間違いなしにいいお父さんです(笑)絵描きなんで家にいてくれて、子育ても手伝ってくれるしね。
受けさんが自分のツボをついていて、甘くほのぼのっとしたラストがとっても幸せなお話でした。
後半の途中から早く先が知りたくてすごい勢いで読んでしまった。
1ページずつちゃんとしっかり読めば良かったなあ…。
主人公麗斗が何重苦だ?なところから弟妹を抱えて這い上がって。
無理してて読んでる方も辛かったです。
そんなところにライオンの着ぐるみ姿で絵を描く沢木と出会い…。
あ〜、まどろっこしい。せっかく出会えたのにお互い譲れない事情があって。反応して発情してしまうから会うのも大変だし、麗斗は意地っ張りだしで。
早くお互いふっきれて一緒になってーーーー!!!と祈りながら読んでましたら。
やっとやっと!このまま上手く行ってお願い!!なところに困難が、さらに元婚約者の執念と悪意にもはやここまでか?と思ったら!!!
はぁ〜、最後の十数ページで一冊くじけずに読んで良かった(泣)なんて幸せなの?金より家族だよね!
君を幸せにするのは僕だ!