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BLアワード2010


佳境の「交渉人シリーズ」どうなる?芽吹と兵頭の絆 
交渉人は諦めない 榎田尤利
評者:ミドリさん
今年の小説ランキングで1番人気は、交渉人シリーズ第4作。これは「上下巻」一気に刊行という前例のない形で世に出された。そして続けざまに年末にはスピンオフが発売!、2010年度は「交渉人イヤー」そして「榎田尤利イヤー」といって間違い無いだろう。

「交渉人は諦めない」【小説部門】 2位

★榎田尤利先生のコメント

『交渉人は諦めない』
このたびは『交渉人は諦めない』にたくさんのご投票をいただき、ありがとうございました。芽吹と兵頭の夫婦漫才(?)もなんだかんだで5冊となり、私の中でとても大切なシリーズとなりつつあります。
今回、同時発売となった『交渉人は嵌められる』『交渉人は諦めない』は2冊でひとつのお話となっており、今までに比べるとシリアスな部分も多い構成です。
芽吹は結構しんどい目に遭っていますが、それでも彼は何度転んでも起き上がり、歩き始めることでしょう。それは芽吹が強い人間だからというより、彼を支えてくれる他者の存在あってのことだと思います。
本当に強い人なんて、いないのかもしれません。
みんな誰かのために、強くあろうと必死に頑張っているだけなのかもしれません。
芽吹や兵頭がそうであるように。
読者のみなさま、本当にありがとうございました。これからも少しでも楽しんでいただける作品が書けるよう、私も頑張ります!

『スウィーパーはときどき笑う 交渉人シリーズEX.』
シリーズ番外編だというのに、たくさんのご支持をいただいたこと、とても嬉しく思っております。でっかいのとちっちゃいのの人気は、私の予想以上だったようです(笑)ありがとうございます。
番外編を書こうと思った当初、キヨ中心の物語になるだろうと予想したのですが、思いがけず智紀の比重が大きくなりました。より若い智紀のほうが、成長度が大きかったというか……書いているうちに、智紀ってホントはこんな子だったのねと、改めて作者が気がつく次第。そういうキャラと出会えることもまた、小説を書く大きな楽しみのひとつです。
若者たちのラブはとても可愛いのですが、今回ワキとして出ているおっさんたち(芽吹と兵頭)も、思いがけず可愛くなりました。……もしかしたら、若者たちより可愛かったんじゃないだろうか、あのバカップルは。
応援してくださった読者のみなさまに心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました!


「交渉人は諦めない」
評者:ミドリ
今年も交渉人シリーズは、スピンオフのキヨ×智紀編が最高に面白かった。というか、めちゃくちゃ萌えた。

今年出た本編・兵頭×芽吹は途中が痛すぎて、読むのが辛くなるほどの作品だった。最終的には二人の絆は深くなってよかったね…という展開だったかもしれないが、「よかったね」ではすまされないトゲが私の中に残った。
主役である芽吹が、巻を追うごとに痛々しくなっていく。
壮絶な過去を背負った彼の真実がどんどん明らかになっていくのだから、そりゃ痛々しくても仕方ないだろう。
でも…本当に見てて痛いし辛い。なんでこんなに精神的に自虐なの。
過去の傷をほじくり返され心がボロボロなのに、そのうえ最愛の恋人・兵頭には裏切られ。
でもそれでも他人を信じることをやめない芽吹。
あああああ……なんて痛々しいんだ芽吹。
どうして?なんて思う私にはきっと、芽吹の周囲の人たちと同じなんだろう。理解はしがたいけど、でもそんな芽吹のことはすごく愛おしい。
だけどもやっぱり今回の交渉人本編にはそこまで萌えきれなかった私。
もちろん芽吹のヤキモチとかヤキモチとかヤキモチとか(笑)そのへんはおいしくいただきましたけども!www

一方、初々しい甘々ラブストーリーを繰り広げてくれた「スウィーパーはときどき笑う」に萌え転げてしまった。
何が萌えるって??智紀にですとも…!!!!
いろんな方の感想を見ていると多くの方はキヨ萌えみたいだけど、私は断然智紀萌え。
初登場のときはあんなにクソ生意気なガキで、そんな彼がだんだんツンデレと健気さを兼ね備えた素晴らしい受ちゃんに成長していく様に萌え萌えしながら見守ってきた。
今回の交渉人本編でも、ゲイである環に口説かれてたキヨを、気持ちよく思ってなかった智紀。
そしてついに来た今回のスピンオフ。待ちに待ったものだった。
スピンオフと言えどこの二人だから、きっと智紀がツン発揮しまくってそんなにうまくいかないんだろうなーとか、チューでもしたら上出来だよ!とか思ってたんだけど、作者様は神だった/(^q^)\
想像以上の萌えだった!!榎田先生に心からの感謝を申し上げたい!!!
キヨの気持ちに気付きつつも、天の邪鬼な智紀。キヨのことは好きだけど、やっぱりそうそう簡単にホモにはなれない。
だけど今回は事件を通してキヨの過去を知って、芽吹と兵頭の関係性を見て恋というものを考え直して、そしてキヨの存在の大きさを知って。
揺れながらもまっすぐにキヨのことを思う智紀は、感情が死んでいたような初登場の時の智紀とは全然違った。ものすごくキラキラしていた。
キヨへの感情を認めた後の智紀はそれはもう悟りを開いたかのような素直さだった。
聖母様のごとくキヨのことを包み込んでいた(笑)
私がなによりこの作品で好きなのは、智紀のキヨへの語りかけだったりする。
この作品は智紀とキヨが交互で語り手を務めている。
そして後半の智紀のキヨへの語りかけタイムは、愛に溢れている…というか溢れかえりすぎている。
ものすごいよ。この作品自体が智紀のキヨへのラブレターじゃないのかと思うくらい、盛大なノロケ話を聞かされてるんじゃないかと思うくらい、それくらい智紀のキヨへの思いが語られている。
キヨのほうがずっと智紀を好きだったようでいて、実は智紀のほうが何倍もキヨのこと好きなのかもしれない。
読みながら恥ずかしくなりながらもやっぱりニヤけてしまって、私はここを何度も読んでしまうのだ。
中でも一番好きなのは最後の一文。
「おまえがいれば それでいいよ」
もう最高の殺し文句。
ものすごく幸せな読後巻で、思わず本を抱きしめながら泣いてしまった。
キヨはキヨで、芽吹に負けず劣らずな壮絶な過去を経験している。
そんなキヨの隣に、智紀がいてくれて本当によかったなと思った。
これだけキヨのことを愛してくれる人がいるんだもの。
なんて幸せなんだろう。これ以上幸せなことはないんじゃないだろうか。
もともとワンコだったキヨだけど、智紀と思いが通じ合ってからは余計にワンコっぽくて(笑)、こんな二人をずっと見ていたい。
またこの作品では芽吹と兵頭もラブラブなのだ。
芽吹の口から語られる、このバカップルにも大注目!!
本編ではツラい思いをした分、こっちでは二人のラブラブぷりにあてられまくった!


私にとっては「萌え」では今年度一番だったな、と思えたこの「スウィーパーはときどき笑う」。
この二人が今後の本編や全サ小冊子でどんな活躍をしてくれるのか今から楽しみだ。
そしていよいよ佳境に入ってきた交渉人シリーズ。
芽吹と兵頭も絆を深めて、最終的には笑って一緒にいられるようなラストになればいいなぁと願わずにはいられない。

作品データ
作 品 名 : 交渉人は諦めない
著   者 : 榎田尤利 イラスト : 奈良千春
媒   体 : 小説 シリーズ : SHYノベルズ(シャイノベルズ・
出 版 社 : 大洋図書 ISBN : 9784813012177
出 版 日 : 2010/07/30 価   格 : ¥903
紹介者プロフィール
ミドリ
9月でBL歴1年を迎えました!
この1年で気づいたのは、浮気ダメ、強姦・監禁・凌辱ダメな、意外に純愛作品好きだったこと。
でもエロエロは大好きです。
BL読み始めて本棚3つ増えました!
コミック主体で山田ユギ、ヨネダコウ、山本小鉄子、日高ショーコを神と崇めてます。

最近は榎田尤利にハマり中。

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