chill chill ちるちる


BLアワード2009


原作もCDシリーズも決して期待を裏切らない鉄板シリーズ!
是 -ZE- 4 志水ゆき
評者:あけみさん
ちるちるのユーザーはもちろん、BL好きな乙女であれば「是」を知らない方はいないはず。しかも原作以上にドラマCDは萌える要素がある作品で、BL界でマルチな活躍を許された数少ないシリーズのひとつといっていいでしょう。読む人聴く人を選ばないまさにBL標準作品です。

【CD部門】 3位
「是 -ZE- 4」
待ってました! の『是』CD化第4弾。
今回は、紙様・近衛@中井さん×言霊師・琴葉@緑川さんカップルがお当番。
生まれながらに、強い力を持つ言霊師・琴葉。琴葉が生まれてすぐに母が亡くなったので、母の紙様が育てていましたが、その紙様も力尽き、次に育てることになったのが近衛です。

初っぱなのシーンは現在で、すったもんだの末に当主を退き、本家を離れており、のんびりムードはいいんですけど、琴葉がいきなりエロセリフを吐いてます。
そんな琴葉を、穏やかに包み込む近衛がよかったなぁ。

そして過去の回想へ。
4歳の琴葉を、近衛に預けるということを決めた和記@一条さん。相変わらず、けだるそうな、めんどくさそうな和記でした。
和記に頼まれ、琴葉のところへ渋々行くと、まだ4歳だというのに、たったひとりで部屋にいます。
4歳の琴葉@こおろぎさんは、しゃべらないようにされているんです。まだまだ泣くのが仕事みたいな幼児なのに、琴葉が泣くと父の鼓膜は破れてしまうし、幼いながらも琴葉の言霊師としての力は非常に強いんです。
なので、和記がその力を封じ込める首輪のようなものをこしらえ、声を発すると閉まる(どこかのサルの輪っかのような)ので、琴葉のセリフはまったくないんですが、こおろぎさんが言葉のない演技で、可愛らしさとか一所懸命さとか、まるで琴葉! びっくりでした。
このこおろぎさんの演技は、さすがだと唸らされました。
特に、最中で釣って「ちょうだい」と言わせようとするシーンは、ヨダレだの涙だのぼたぼたとこぼれる様が描かれているんですけど、笑えるような可哀相なような。
あと笑えたのは原作もそうでしたが、風呂上がりの「みょいーん、みょいーん」
このシーンは、音だけじゃなく実際に見ないとわかりにくいかも……ですが。

そして、琴葉にしゃべらせようと死んだマネを近衛がするシーンでは、しゃべったら自分の首が絞まることも厭わずに、近衛のために助けを呼ぼうとする琴葉が健気~~~。
首の紐を取ってもらうため、和記に頼む近衛も、これまた琴葉以上に必死で。ジーンとなります。

そして晴れて琴葉の紙様になった近衛。
阿沙利@千葉さんにもらったアイスを片手に琴葉のところへ行き、アイスを食べさせたときの琴葉のこれでもかっていう反応に、子育てにはまりお父さんへとなっていく近衛。

この琴葉を可愛いと思う近衛の姿がまさにお父さんで、うっわぁ~お父さんだよ中井さん、って普通に思ってしまいました。
琴葉を守ろうと奮闘する姿は、本当にお父さんなんですよ。無償の愛を琴葉に注ぐ近衛。いくら琴葉に振り回されても、全然平気というか。琴葉のためなら何でもやっちゃうぞ~って感じで。
包容力満点で、愛情たっぷり。お父さんな近衛にぴったりだった中井さん。近衛は中井さんしかないだろうってな勢いでした。

そして、当主代理(琴葉の父)が亡くなると、とうとう琴葉が当主を引き継ぐことになりお披露目。
そのお披露目の場で初めての仕事をするのですが、仕事の内容がハードなだけに紙様の近衛の手足がちぎれちゃうってことに。
原作ではかなり衝撃的で酷いシーンでしたが、音声ドラマになっちゃうと、その酷さが薄まって琴葉の衝撃度が伝わりにくくて、ちょっと残念でした。こういうエピソードは、視覚があってこそだなぁ~とと思いました。

この近衛の姿にショックを受けた琴葉に、当主を辞めさせたいと奔走する近衛。
琴葉を傷つけないように大事に大事に守り育ててきたというのに、琴葉は近衛を失わないために言霊を使い、瀕死の傷を負ってしまうんです。近衛に傷が行かないように言霊をかけて。
それを知った近衛は「帰ってこい、琴葉」と必死に声をかけます。
そして琴葉を助けるために、大事にしてきた琴葉と身体を繋げるシーンは、エロさより真剣さを感じました。

そして当主を辞め本家を離れ、ふたりでラブラブ生活に突入……なはずなのに、やって来ては琴葉にちょっかいをかける双子・月斗@中村さんと星司@鈴木さん。
甘くてエロボイスな中村さんと、これまでよりは落ち着いた感じの鈴木さん。チャラいと言えばチャラいんだけど、チャラ度が低め?
この二人が揃うと、エロいやらカッコイイやら。
そして、例の薬を盛った飴をあげるシーンでは、中村さんの声にエロさだけじゃなく艶っぽさまで入ってて、いや~ん、たまらん。

お次の差し入れはお酒。琴葉は“じゅーしゅ”って言ってます、酔っぱらって。
おまけにBL本の差し入れまであって、そのBL本の朗読が始まるんですけど、壮絶可愛い琴葉。酔っぱらいの舌っ足らずって、何でこんなに可愛らしく変身するんだろう。
それまでがあまりしゃべらなくて、でも、想いが近衛に真っ直ぐに向かってるから、言葉も近衛に真っ直ぐ向かってる雰囲気がありありで。
作った感のない自然体な緑川さんって感じでしょうか。
それが、酔っぱらったとたん可愛らしさマックス! 可愛らしくエロい朗読が始まっちゃって、これまたたまらん!

そして、ラストシーンは現在に戻り、なんだかんだあっても琴葉と二人に幸せ感が漂っています。
どこまで行っても近衛しか目に入っていない琴葉。近衛しかいらない琴葉。近衛がいれば、それだけでいいという気持ちが、CDから充分に伝わってきます。

また、相変わらず和記の存在が大きい。多くは語らないけれど、ぼそっと呟くひとことやツッコミがいい味や胡散臭さを醸し出しているんですよねぇ。しかも、和記自身のことがどんどんと知りたくなるのはなぜ?
和記がいないと『是』は締まらない気がします。

原作を丁寧にCDにしてあり、大満足。
やっぱり『是』が大好きです。原作もCDも。

紹介者プロフィール
あけみ
周りには腐女子だとカミングアウトしていませんが、
そろそろ家族にはばれているんじゃないか?と、
戦々恐々とした毎日を送っています。
それでも、BL中心の生活から逃れられるのは
まだまだ先のようです。

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