丹地陽子さんのレビュー一覧

threesome 小説

榎田尤利  丹地陽子 

歳をとったので

2015年版を読んだ時はそれほど「泣ける」とは思わなかったのですが、あれから7年。歳月が涙腺を緩くしただけじゃなくて、当時の私が気づかなかった部分で心を揺さぶられたんだと思います。

榎田さんのお話の多くに『死』が出て来ます。それもかなり印象的な形で。
たぶん、私の『死のバリエーション』が豊富になったんだと思うのですよ。自分自身もどんどん近くなるし、それに接する機会も増えますしね。いきなりや…

12

threesome 小説

榎田尤利  丹地陽子 

苦手部類なのに引き込まれる不思議

2015年刊行の単行本を文庫化した一冊です。

榎田先生の作品に触れるのはこの作品が初めての私。ぶっちゃけヤクザ・暴力団ものは苦手部類です。痛いのとか…ドンパチとか…シノギだカタギだの専門用語とかあるじゃないですか。ヤクザの独特の世界観が異世界過ぎて苦手意識あったんですが、榎田先生の作品には前から興味があったので、苦手分野だったけど挑戦してみました(^ ^)


新しい扉が開きました。

9

永遠の昨日 小説

榎田尤利  丹地陽子 

周到な違和感の果てに


「近々、白泉社版を入手しよう」と考えていたので、角川文庫版の発売はすごくありがたかったです。
一般文庫は、BLレーベルより価格が安く、レジにて驚きました。でも、一般文庫版は挿絵が1枚もありません。そこが残念です。




<以下ネタバレを含みます>

主人公は、山田浩一と青海満(みっちゃん)。みっちゃんが語り手の一人称で、物語は進みます。
物語の最初の方で、「これは涙のエンド…

6

このて 左 小説

朝丘戻  丹地陽子 

二転三転するストーリーに引き込まれる

作家買い。
朝丘先生の新刊は、あらすじからもわかるようにファンタジーもの。
そして、とっても切ないお話でした。

タイトルは、「このて 左」ですが、来月(2022年9月)に続編の「このて 右」が発売になります。今巻読み切りの作品ではないので、完結してから読みたい派の腐姐さまは今しばらくお待ちください。

ということでレビューを。
普段ネタバレ上等でレビューを書いていますが、今作品はあ…

10

このて 左 小説

朝丘戻  丹地陽子 

全ての謎は下巻「このて 右」で解き明かされる

実質上の上巻です。下巻にあたる「このて 右」は、9月下旬あたりに発刊されるようです。

すっっごく続きを欲する状態で終わりました。
「このて 右」での回収を既に待ち焦がれています。上巻は謎多き設定と状況に困惑しっぱなしでした。


"消えろ"と念じたものを消す力を持った青年と、昔飼っていた猫の"ハナ"を名乗る少年との出会いから始まる物語。

この作品は2つの場面に分かれています。

12

犬ほど素敵な商売はない 小説

榎田尤利  丹地陽子 

猫可愛がりならぬ犬可愛がり

人間を犬として扱う。
そう聞けば大抵は残酷なり性的なイメージを連想したのですが、全然そんなことありませんでした。
厳しく躾け、よくやったならば褒め、可愛がる。それはもう、本当の犬と同じような接し方で。最初は抵抗感がありながらもユキと名前をつけてもらい、しばらく過ごしているうちに見守られているという安心感を得ていく様が可愛らしかった。
そして二人のその主従関係はなんとも甘美で、二人の自分でも気…

2

犬ほど素敵な商売はない 小説

榎田尤利  丹地陽子 

キワモノではなく、そこには不器用な恋がある

本作は、以前SHYノベルズから出ていた作品を改稿して、このほど一般の角川文庫で新たに発行されたものです。
改稿については、残念ながら元の本と比べられないのですが、没入感はそのままで、とても読みやすく感じました。
読書中、本当に楽しくて、はやく続きが知りたくてわくわくしていました。


終始、倖生視点で展開していくので、感情を追いやすく、彼の気持ちの変化が自然に入って来ます。
倖生の普段…

9

犬ほど素敵な商売はない 小説

榎田尤利  丹地陽子 

こんなに鮮やかだったっけ?

作者のファンなので(っていうか、このジャンルに引き戻され、浴びる様に読む癖がついちゃったきっかけは榎田さんだと思う)大洋図書版は既読です。当時読んだ時も面白いと思ったのですけれど、今回再読して吃驚したのはお話としての手際の良さなんです。

清巳の変さっていうのは当時読んだ時と変わらないイメージでしたが、倖夫の背景についての描写が目が覚めるくらい鮮やかなんですよね。
どんなタイプのロクデナシな…

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犬ほど素敵な商売はない 小説

榎田尤利  丹地陽子 

わんちゃん

大好きな作品。
誰よりも深い愛を持っている。でもそれは凶器にもなり得る。だから誰も愛さない。
誰にも愛された事がない。愛を知らない、幸せを知らない。だから誰も愛せない。
そんな轡田と倖生が見せる愛は、一見いびつなんだけど、痛いほど真っ直ぐで、何度でも私の胸を打つ。


たまに読み返すので加筆修正には必ず気付く、なんて思っていたのに、全然気付かないし、
たぶんここの文章違うわなんて1人…

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永遠の昨日 小説

榎田尤利  丹地陽子 

号泣必須です

以前、単行本を読んでいましたが、文庫本が発売されて改稿されているということを知って、また読み返したいと思いました。
本筋はもちろん変わっていませんが、より深く理解できました。そして、やっぱり号泣必須です。
とくに加筆されたお話がとてもよかったです。

単行本が発売されてから20年。同じ年月が経って、高校生だった満たちは37歳になっています。
大人になって就職・結婚などを経て、コロナ禍で成…

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