えすとえむさんのレビュー一覧

ハッピーエンドアパートメント コミック

えすとえむ 

虚構と現実の区別はもはや無意味

家を見たくて散歩をしている節があります。
単純に建築物が好きというのもあるけれど、妄想空想の糧としての家見物がたまりません。
えすとえむさんもあとがきで書かれていますが、「見る」のが好きであって「覗きたい」わけではないのですが、無数の窓の中に自分と同じように生活をしている人たちがいて、いろいろなことに悩み、泣き、怒ったり笑ったりしていると思うとわくわくを通り越してぞくぞくします。
選んだ電気…

1

クシュラル コミック

えすとえむ 

トルコを舞台にした切なさ漂う短編集

トルコを舞台にした短編集なんだけど、どれも味わい深くて切なさ漂う逸品ばかりだと思います。
表紙だけ見ると長い髪の人物が女性のようにも見えますが、これはキョチェクと呼ばれた女装した少年の踊り子(売春もする)でして、女性は一切登場しません。

【ユラン】
スルタンと教育係の宦官ユランのお話。
この世界の目に入るものすべてはスルタンのものだとされているのに、自分の目の前に立つ男、たった一人を手…

3

エバーアフター コミック

えすとえむ 

むかしむかしあるところに…王子様と王子様がおりました

シンデレラ、赤ずきん、人魚姫、美女と野獣、かぐや姫、カルメンといった話に、えすとえむさんらしいブラックユーモアとエロスを加えて仕立て直したBL流童話パロディです。

シンデレラのガラスの靴は、SMプレイの思い出の品として生まれ変わり…。(クイーンが王子様に授けた名前「プリンスアルバート」は、あそこの先端にするボディピアスのことだったのね。調べてわかった。)
赤ずきんはオオカミさんのあそこをし…

2

海に眠る 小説

葛城ちか  えすとえむ 

「心の有り様」についての3編

表題作+短編2編が収録されています。
挿絵は、えすとえむ様!
表題作は、扉絵+挿絵5点。短編の方はそれぞれ扉絵のみ、となっています。

「海に眠る」
キリスト教系孤児施設で2人の男性職員(調理員と牧師)から性的虐待を受けていたリュウは、16才で退所する前夜、その2人を虐殺し、逃亡する。
罪悪感もなく、捕まるかもという怯えもなく、窃盗を繰り返しながらある海辺の町に行き着いたリュウは、忍び…

6

恋のしっぽをつかまえて 小説

L.B.グレッグ  えすとえむ 

どいつもこいつも隠し事だらけ

舞台はニューヨーク。
マニアックなアートギャラリーでのイベントで展示品の胸像が盗まれてしまったうえに、その場に居合わせたスタッフ達が何者かに脅迫されるトラブルに巻き込まれるっていうハプニングもの。

海外翻訳ものっていうと、文章が独特の言い回しになっているってイメージだが、この小説はそれほど読みにくいとは感じずにテンポ良く読めた。
登場人物の会話が粋で、何だか映画を見ているような感覚だ。

2

エバーアフター コミック

えすとえむ 

小気味よいテンポで紡がれる、ダークエロティックな物語たち

シンデレラ、赤ずきん、人魚姫、かぐや姫、美女と野獣、カルメンが、
漫画家さん独自の解釈で、現代BLに仕上がっています。

ダークジョーク、エロティックな雰囲気に満ちていて、ついひきこまれます。
ストーリーを楽しむというよりは、空気感を楽しむ感じです。
個人的には、人魚姫(男)の濡れた黒髪と瞳がなんともなまめかしくて好きです。
あと、かぐやひめの「オキナ」の解釈がとてもよかった!
最後…

2

やがて、藍になる コミック

えすとえむ 

それでも愛に染まればいい

表題作の描き下ろし含め四つの話が収録されていますが『やがて、藍になる』のレビューだけさせて下さい。

繰り返し繰り返し読んで、体に馴染ませたくなるような物語。
藍染職人という特殊で限られた世界の中での人間ドラマが、硬質な印象と人の温かみも同時に感じられるタッチで描かれている。
職人だった実父が事故で亡くなり、身寄りのない紺太は大青の家に引き取られ彼と義兄弟になる。
大青の実家は伝統ある紺…

1

恋のしっぽをつかまえて 小説

L.B.グレッグ  えすとえむ 

主人公をよく理解している攻め

この作品は海外翻訳もののため、皮肉めいた言い回しやキャラクターの個性がやっぱりいつも読んでる国産ものとはちょっと違うなあという感じがあります。
ただ、軽快なノリが楽しく最後まで読めました。
このノリは好みが分かれそうですが、同レーベルの作品をいくつか既読でお気に召している方にはおすすめだと思います。

内容はミステリーで、かなり本格的なのですが、主人公がシニカルでどうしてもシリアスなセリフ…

5

キネイン! コミック

えすとえむ 

おじさま達がきらりと光る短編【サルビアと理髪師】が好き

【キネイン】
双子の兄妹のケンとマリ、お隣さんのジョーという三人。
小さい頃から仲良しでいつも一緒に行動していたけど、思春期を迎えてマリはジョーを好きになり、ジョーはケンを好きになってしまった。ケンは映画が好きで卒業後海外留学を考えている。
今までの均衡が危うくなる三人。でもすぐには答えを出さずに、想いを隠したまま今までどおり三人で映画を観に行ったり、映画を自主制作したり…青春だねぇというお…

1

エイジ・コールド・ブルー コミック

えすとえむ 

なんども読み返したくなる一冊です。

【エイジ・コールド・ブルー】
「ショーが跳ねたら逢いましょう」に収録されていた【Rockin in my head】という短編を元にシリーズ化したものが6話この本に収録されています。

ルームメイトでバンドメンバーでもあるギタリストのビリーとボーカルのニックのお話。ニックが素行不良で、前単行本ではニックにギターと金を持ち逃げされたところで終わってましたが、この単行本では彼が戻ってきたところか…

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