実力派・えすとえむが端麗な筆致で鮮やかに描く、異色のラブストーリー集。

equus

equus
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神34
  • 萌×219
  • 萌8
  • 中立3
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
24
得点
273
評価数
68
平均
4.1 / 5
神率
50%
著者
えすとえむ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
シリーズ
equus
発売日
価格
¥657(税抜)  
ISBN
9784396783037

あらすじ

ケンタウロスーーギリシア神話に登場する、上半身が人間で下半身が馬の種族。

「お前ってほんとは歳いくつ?」
「…50くらい?」
一緒にレポートを書いていた大学の友人のケンタウロス。
思ったよりも年上だったみたいだ…!
同じ時間を生きてない彼らと、〝俺〟が
キャンプ先の星空で語る気持ちとはーーー。

ケンタウロス2人に挟まれる男の性愛や、
平安末期の武士とケンタウロスが結ぶ主従関係、
羊飼いの少年と戦場へおもむくケンタウロスの絆、
美しい奴隷のケンタウロスと若主人の歪んだ愛……など、

さまざまな時代、さまざまな国を生きるケンタウロスたちの、
切なく心惑わす異種恋愛譚。
実力派・えすとえむ先生が端麗な筆致で鮮やかに描く、
異色のラブストーリー集。
商業誌未発表の今シリーズに加筆修正の上、「Bay Silver3」を描き下ろし。
(出版社より)

表題作equus

人間/ケンタウロス
ケンタウロス/人間

その他の収録作品

  • Dun Black
  • Chestnut
  • Black and White
  • Leopard
  • Gray
  • Bay Silver1/2/3

レビュー投稿数24

美しいケンタウロスたちに目を瞠れ!

ああ~買って良かった。読めて良かった。珠玉の一冊!いや「はたらけ~」と合わせてさらに倍!
この美しい装丁の表紙といい…ほんとに素晴らしい。タイトルが箔押しですよ、豪華!
カバー下も目次も、それぞれのお話の扉もすべて凝っていて美しい。
こちらを読んでしまうと『はたらけ~』の方は、えすとえむさんお試し用といった気がしてきました。
ケンタウロスの肉体の美麗さは、どちらでも堪能できますが、筆タッチのようなこちらのほうが圧倒的に質感に溢れ、ほんとに尻撫でたい(そこですか)


短編はどれも短いながらもドラマチックで、ため息のでるような余韻が残るし、良質の映画を観終わったような満足感です。
春駒のお話がいちばん好き。
千年ほど生きるらしきケンタウロス…人間との寿命の差がまたこの一連のお話の切ないところですが、当てはめて想像できるのは人間と犬や猫といったところでしょうか。
まあ犬や猫とは喋ることも恋愛することもできないけど、大切な友人や家族になってしまうわけで、ほんとに先立たれるのが辛いよね。だから私はもう二度と飼わない。
ケンタウロスも、あえて人間と接触しないタイプもいると作中で言っていました。
悲哀があって、どれも心に残る短編ばかり。ほんとうに素晴らしい作品でした。

8

たまらんです

生き続けるケンタウロスと、死にゆく人間たち。
異なる種族の、恋愛というより愛そのもののお話です。非常に切ない。説明しがたい空虚な切なさでした。
読後感がなにかに似てるなと思って考えたんですが、宇宙の果てしない広さと自分の小ささを引き比べたときの感覚に似てるなと思いました。
愛した人が死に、愛した人の子供が死に、その孫が死んでもなお自分は生きている。いつ死ぬかも分からない。
ここで語られるどの物語も、ケンタウロスの一生を描いたものではないです。ケンタウロスの長い長い一生の途中の一コマです。でもその「ケンタウロスの途中の一コマ」は「人間にとっての長い長い一生」なのだ。
文字で説明するとたったそれだけのことなんだけど、実際に読むともう虚しいというか、切ないというか、とにかくたまらない焦燥感みたいなものがわいてきてしまう。なんだろうこの感覚は。
悲しいのは、ここで描かれるケンタウロスは「ヒト」を好きになってしまう種族なんだよね。好きだからヒトと関わり、忠誠心をもってヒトに仕える。逆に、そうなるのがつらいからこそヒトと離れて暮らしたりもする。

なんだろう。
とにかくすごいものを読んでしまった気分です。
すべては途中なのです。
彼らは今もなお、そしてこの先もずっとずっと生きている。愛した人間たちの記憶を抱え持ったまま、ずっとずっと生きている。人間が骨の欠片まで塵になってもなお。
うああ!たまらん!!

7

異形のもの、ケンタウロスの美しさよ!

『はたらけ、ケンタウロス!』と同じく、
ケンタウロスと人間が共生する世界でのオムニバスだが、
ギャグテイストのあちらとはかなり異なる雰囲気。
まず上質の絵本のような、非常に美しい表紙に目を奪われる。
良作ともアイデアやストーリーの秀逸さは勿論なのだが、えすとえむさんの高い画力あればこそ。

全8編、それぞれ馬の毛色の名前から取られたタイトルがついている。
ケンタウロスと人間が共存する日常の話から、
よりドラマチックな種族の違いによる切ない運命を描いた話まで。

美しく自由なケンタウロスに憧れる人間、差別する人間、焦がれて所有しようとする人間…
人とは違った途方もなく長い寿命を持つ事による哀しみ…
争い、別れ、主従、そして絆。

非常に官能的で魅力的な作品だった。

6

ケンタウロスに看取られる愛

今月前半に出た「はたらけ!ケンタウロス」がちょっと愉快な切り口とケンタウロスの生き方みたいなものがが中心だったとすれば、このケンタウロスは同人誌作品を集約したものであるからか、ズバり”愛”の何者でもありません!!

ケンタウロスに恋をし、ケンタウロスが恋をし、そして愛し、その愛のナレノハテをケンタウロスが見守る。
彼等が人間より遥かに長生きな生き物であるからこその、その延々と続く愛に切なさを感じるよりも、それはそれは素晴らしく高貴なものに感じるのです。
ですからこの今回の単行本の表紙の装丁はとても美しく素敵なもので、ここで綴られているケンタウロス達にふさしい出来栄えです!!
内容については同人誌ですでにレビュをしているので余り言及はしませんが、未読の「1」そして未レビュの「4」が収録、および加筆修正されているので、同人誌が入手できない現在となってはこの単行本の価値はかなりあると思います。

ただ、皆さんがきっと疑問に思う、一番知りたいと思うケンタウロスの交尾(?)人間とのマグワイ(w)しっかりがっつりありますのでご堪能ください♪
獣よ、獣!!!
人間と共存するケンタウロスにはキュン
野生のケンタウロスにはエロスを
はるか昔からご主人様を慕う生きつづけたケンタウロスの忠誠心。
平和を愛するケンタウロス。
そして、、、ケンタウロスに魅せられた男の一生を!
それぞれに、それぞれが、とても素晴らしい形で、どれ一つ同じでなく表現されています。
十人十色というように、ケンタウロスもまたそれぞれ。

是非、是非、このケンタウロスを味わってください。
超オススメ作品ですっ!!!

5

人間とケンタウロスが出会うと・・・

ケンタウロスというギリシャ神話で生まれた半神半獣のBLということで、表紙を見かけた時にかなり戸惑いましたが、最初のエピソード「Dun Black」で思わず泣いてしまってから一気にこの作品の世界観へと引きずり込まれました。

とくに気に入ったエピソードが下の二つ。
「Dun Black」
大学生×大学生ケンタウロスの話。
ケンタウロスは長生きで中には鎌倉時代から生きているものもいるらしい。
だから人間の友達が死んでも彼らは生き続ける。その悲しみを避けるために人間に近付かないのもいるし、わざと忘れるようにする人もいる。
でも忘れたくないなぁ・・・しんどくても全部覚えてたいなあと答えるケンタウロス。
愛した人がやがて消え去っても生き続けなくてはいけない定め。
この大切なひとときを彩ったディテールの数々を、やがていつの日か何度も何度も反芻する時が来ることを思うと、穏やかな表情に隠れたそのせつない覚悟に涙が止まりませんでした。

「Gray」
お殿様と彼に仕えたケンタウロス(春駒)のお話。
主従関係にあった二人の絆と別れ、そして現在にまで脈々と繋がれた末裔に寄り添う姿。
そして今なお思い出すのはかつての主君。1000年近くに及ぶ絆と愛。

人間と異なる寿命の長さを持つケンタウロス。殺されるか悲しみに心が壊れない限り死は訪れてくれない。
残して逝くものと残されるもの、その別れや絆がなんとも切なく余韻の残る描き方で表現されていました。

時代設定も現代から昔、お話の舞台もさまざまに富んでいて、パーカーを羽織ったもの、甲冑を付けているもの、何も着衣をつけていない野生のもの、とバラエティ豊かなケンタウロスを見ることができます。
まさかの絡み、ケンタウロス二人と人間一人という3Pまであり(!)目が点!になりましたけど獣姦が地雷の私でも大丈夫でした。

4

JUNEの末裔

異色だ異色だと言う声につい臍を曲げて
読まずに措いておりましたがふと気紛れに
手に取り、引き込まれる様に貪り読みました。

率直に申しますとこの一冊を貫いているのは
JUNEの世界観ではあるまいか、と。
ただ美意識に基づいた物語がそこに在り、
そしてそれは能書を開陳される事なく
鑑賞されてゆくのです。

理詰めで愉しむべき一冊ではありますまい。
ただ語りに身を委ねて彷徨うべきなのでしょう。
恋愛が科学で説明出来るようで出来ないと
言う様な、そう言う色合いの物語なのでしょうから。

3

2011年上半期ベスト1だと思っている作品

ケンタウロス。
イギリスの某魔法学校の童話くらいでしか、その存在を認識したことはなかった。
ML(BL)ジャンルとコラボするとこんなにも存在感のある芸術作品になるのか!と目から鱗。
それも著者のえすとえむさんの力量の高さがあればこそ、一つの作品として仕上がっているのかもしれない。。

かの人の初期の作品は何となくbassoに似たものを感じていたが、
最近はそんなこともなく、
むしろこのマンガで近年のBL作品の中から一つ頭飛び抜けたような印象を受ける。
まさに「アタマ」勝ちである。

読中の空気感、イラスト、ストーリー全てにおいて素晴らしい。
現在、もう一冊「はたらけ、ケンタウロス!」も他社から刊行されているが、それもおすすめ。
そちらは笑い多めの作品である。

3

ケンタウロスは美しい

ケンタウロスの持つ魔力は、性的魅力。

昔そんなファンタジー小説を読んだことがあったなぁ。
エストエムさんの描くケンタウロスは、その画力と、ケンタウロスそのものが持つ魅力とで、神々しくエロティック。

さまざまな時代と、さまざまな国。
普通に人間と暮らして、普通に恋してたり、
戦場での主従関係だったり、
奴隷と主人だったり、
ケンタウロス同士の愛だったり、
全てのお話の底にあって、切なく胸に迫るのは、種族の違いではなくて、時の流れの、寿命の違い。
名前の持つ「意味」は、時の記憶。

内容もすばらしいし、特殊紙に箔押しのカバーという、力の入った本のデザインも素敵です。

このご本、3冊買って、読む用、保存用、布教用レベルの「神」。

2

ケンタウロスが美しい!!!

帯『ケンタウロスと恋をする-。』

同人誌作品を集めた一冊。
ケンタウロスが出てくる短編ですが、それだからかそれぞれ色んな世界観とカラーに満ちています。

各ストーリーも抜群に素敵なのですが、何より目を奪われるのはケンタウロスの走る姿の美しさ!その躍動感の素晴らしさと来たら素晴らしく美しいの一言!
自分は漫画は漫画が上手ければ画力はそれ程には気にしない方なのですが、流石にこの美しいフォルムはえすとえむさん並の画力を持っていないと表現出来ないでしょうなあ。
彼等が走る姿を見るだけでこの本を買って良かったーー!と思える位のケンタウロスの美しさです。

長い寿命を持つケンタウロスと人間との恋、そして繋がり。
どの話も読み手に心地良い余韻を残します。

そしてともかくケンタウロスが美しい!ケンタウロスってこんな美しい生き物だったのか!!と感激しました。

2

異種愛

「はたらけケンタウロス」はさっぱりした雰囲気でしたが、こちらは大人の雰囲気・空気描写のある作品です。
同人誌発表のお話をまとめたものなので、自由度も高く本当に好きで描いたんだなぁと感じるお話ばかりです。
性描写があるといってもどぎついものではなく、えすとえむさんの作品特有の映画のワンシーンを切り取ったようなざっくりエロです。

同じ時間を共有しても必ず別れが来る切なさを持って生きるケンタウロス達のお話。
装丁も、箔押し加工が施されていたりとても綺麗な一冊です。

2

この作品が収納されている本棚

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