keiko123
面白い題材でした。自分の話す声に波の音が混ざった時、相手に言うことを聞かせてしまうという不思議な力を恐れている辰実。最初、冒頭の旅先で出会った相手と、幼馴染の一士は別人だと思っていたんですが、実は同じ人物で。ならどうして2人は冒頭で、初めて出会ったかのように振る舞ったんだろう?という疑問への答えが、物語を読み進めると徐々に明らかになっていきます。
言葉の持つ力。人は表情や瞳の動き、仕草や…
講談をやる化け猫の喜八。化け猫には化け猫の世界があって…と冒頭から不思議感漂う、ファンタジー要素の強い作品だったんですが、一方で人間の草太が人生に疲れきった社畜リーマンなので絶妙なリアルさも混じり、他にはない雰囲気になっていた気がします。草太の生きる姿は本当に痛々しい。ブラックな会社への風当たりが強まり、徐々に淘汰され始めたとはいえ、社員に優しくない会社はまだまだいくらでも転がっているんだろうな…