なおっち
「インセスト」という背徳感はやはり無い。
上巻のラスト、もつれ合う2人をハッと我に返らせた母からの着信。
母が怪我をしたというその報せに、2人は一緒に京都へ行く。母の怪我は大したことでは無く、2人はホッとする。何かと聡い母は、和泉とそっくりの面差しなのだが、和泉は息子だと名乗り出る事はせず、馨も口にはしない。ただ先輩で寮長だと言う。しかし、母は一言だけ告げるのだ。「大きくなったわね。」母は気付…
あがた先生が「インセスト」をテーマに描いたというだけあって。
ひたひたと迫る様な、その空気感は重め。息が詰まりそうな緊張感を孕んで、それは展開する。
私は「僕は君のいいなり」の、あのじっとりと汗ばむ様な空気感を思い起こす。
ところが、やはりインタビューで書かれている様に、ここにその背徳感は無い。
むしろ、薄いと言っていいだろう。兄の和泉は自分の性癖に悩みこそすれ、どうしようもなく実弟の馨に…