尾上与一さんのレビュー一覧

Valentine Blue  小説

尾上与一 

海の向こうのその後

二月病の商業番外編同人誌。
全て蒼司視点で語られる千夏への片思い本という感じです。
本編前の、まだ普通の高校生活を送っているふたりが読めるので貴重です。
表題作はバレンタインの一日で、モテる千夏とそれを心の中に抱える物を飲み込みながら過ごす蒼司のちょっと切ない思いの話でした。
鈍くて無神経な千夏に怒りながらも、そんな相手が好きで好きでたまらない蒼司が健気で、ドライな見た目に反して心の中では…

5

拝啓、南十字星の下より 小説

尾上与一   

1945シリーズSS詰め合わせ

隙間時間にちょっとつまめるようなSSが、たっぷり収録されたお徳感満載の1冊です。
時間がない時に、お目当てのCPの話だけさらっと読みたい時に、もちろん腰を据えてじっくり読みたい時にもOKなので、結構読み返してます。
本編がかなりのシリアスなのですが、こちらは比較的気軽に読める話が多いのも気に入っています。

どのCPも好きなのですが、こちらに収録されたお話の中では特に「歩兵の本領」「とりの…

5

碧のかたみ 小説

尾上与一   

一番大好きな作品

とにかく好きすぎる。終わってしまったのが寂しくて仕方がない。読了後の感想でした。
恒のイメージは「繊細」でした。
なにかの拍子に壊れてしまうのではないかというほど尊い。溺死しかけたり、マラリアに感染したりと、なんども恒の死を感じました。
明日には死んでしまうのではないか。ここで別れたら二度と会えないのではないか。
六郎目線の恒の描き方が壊れそうなほど美しいので、死んでしまうのではないかとい…

4

黒猫のためのパッサカリア 小説

尾上与一 

まさかの黒田本

さよならトロイメライの番外編同人誌。
宗方家の家令であった黒田の過去話です。本編で凄い存在感を放っていた黒田ですが、なるほどその過去は凄絶を極めていて、あの泰然自若とした態度の根元はこうだったのか、というのが判明しました。

何というか黒田の生まれ、宗方家への奉公、そこで出会った奉公先の次男坊惣太郎との出会いから、同じ夢を見るまでの過程、そして淡い恋心を交わしたのに家のために別れなければなら…

2

溺れる夏の庭 小説

尾上与一 

幸せの定義はそれぞれの中に

さよならトロイメライの番外編同人誌。
弓削と鉄真のありったけを詰め込んだような番外編で、これが本編ではないのが惜しいという感じでした。
鉄真と弓削の間に起こった決定的な事件の前の話と、事件後の生活、ほんのささやかな2人きりの夏休みに他の使用人目線の話、そして鉄真と弓削の最期までの僅かな甘い日々と、手を変え品を変え色鮮やかに書き出されています。
花が芽吹き、蕾を開き、華やかに咲き、そしてその花…

4
非BL作品

高嶺の星 非BL 小説

尾上与一 

女子本というより脇役本?

1945シリーズの番外編同人誌。女子本です。
3つのお話で構成されていて、ラブはありません。

「高嶺の星」
海軍兵学校時代、資紀とその親友である新多が厳しい兵学校で日々を送る中、息抜きに寄宿舎を抜けだして恋バナする話でした。
坊ちゃんの執着ぶりとダマヘルぶりに吹きだし、この時点からもう溺愛されていた希を思いにやにやします。
愛しい人を守るために戦いたいという坊ちゃんの気持ちがこの時か…

1

青空のローレライ 小説

尾上与一 

待望の再販!感無量( ;∀;)

大好きな1945シリーズ。
その中でも契りはしたけれども、添い遂げられなかったお話なのでどうしても切なく哀しい思いと共に心に刻まれてる『蒼穹のローレライ』。
その番外編同人誌です。
長らく品切れで読めませんでしたが、この度再販頂けてやっと読むことができました。
その他の1945メンバーの短編もあります。
涙が止まりません。
今まで塁の存在に切なくなるけれども、残された三上の生涯を思うと…

4

碧のかたみ 小説

尾上与一   

文句無く大好きな作品です

2014年の「このBLがやばい!」の小説部門の二位の異名は、伊達じゃないなーと実感しました。
前作の1945シリーズ一作目の「天球儀の海」を読み、その設定と展開が絶妙だなーと感じましたが、期待していた特攻隊の青春部分は余り描かれていない所に少し拍子抜けした面がありました。

今巻では特攻隊の戦地での日常や青春に焦点を合わせ、陽の面と陰の面も合わせてリアルに現状が描かれています。その時代のラ…

7

彩雲の城 小説

尾上与一   

最後まで読んでこみあげてくるものが・・・

太平洋戦争の若き将兵達のはかなくも美しき青春を描く1945シリーズ3作目。
前巻の「蒼のかたみ」と同じ最前線の南太平洋のラバウル基地が舞台に展開されています。
前巻が「動」とすると今巻は「静」の印象を受けましたが、後半はサバイバルな展開で息もつけなかったです。最後のページまで読んでホッとし、藤十郎と伊魚のペアに肩入れしていた自分に気づきました。

尾上先生の小説は、エンタメ小説とい…

3

青空のローレライ 小説

尾上与一 

瀕死の大号泣

蒼穹のローレライの番外編同人誌。
本編では書かれなかったラバウルでの三上と塁の日々、城戸や秋山から見た彼らの日常などなど、辛い戦争の中でも読んでいてほのぼのとする話で大半は構成されてます。

個人的に、三上が塁とじゃんけんで遊ぶお話がとても好きでした。
じゃんけんの強い三上に意地になって挑戦する塁が愛しくて可愛くて、ふたりの間だけの秘密の三日月型石を大事にする姿に熱いものがこみ上げてきます…

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