尾上与一さんのレビュー一覧

初恋をやりなおすにあたって 小説

尾上与一  木下けい子 

将棋界のイロハを知るにはいいかも

設定も現代もののせいか、今までの尾上先生の作風とだいぶ違いました。
時代物に比べると、尾上先生持ち前の「物語の深さ」が薄まっているように思いました。

今フィーバーの将棋界という伝統と格式ある世界に在籍する才能のある若手棋士の知能戦に向けた日々のストイックな鍛錬、ユニークな人柄、将棋に捧げた人生模様などを覗けて面白かったです。

棋士の雪のキャラがたっていてなかなか可愛かったです。攻めの…

3

初恋をやりなおすにあたって 小説

尾上与一  木下けい子 

優しさと愛の話

家事全般得意な青年が生活能力ゼロのプロ棋士のお世話をすることから始まる物語、のはずが、物語はもっとずっと前から始まっていて、そこにはいくつもの思いが絡まっていて、登場人物全員の温かくて真っ直ぐな思いに読んでいる間はずっと泣いていた気がします。

華奢で繊細で「雪」という名から連想されるイメージをほとんど裏切らない儚さを持つ受けが、それでも棋士を痛感させる負けん気の強さで決して弱弱しく守られるだ…

4

初恋をやりなおすにあたって 小説

尾上与一  木下けい子 

後退王子!

面白かった!!!!!初の尾上先生で読めるかなとドキドキしていたし、将棋って全く興味がないんだけど、受けがちょっと変なスイッチもってる人で、めちゃくちゃ面白かったです!時間たってからでも「ああ、あのキャラね」といって覚えていそうなので神よりの萌2です。書き下ろし本編300Pほど+後日談3P+あとがき。

京都の何でも屋で1月から働いている敦也。家事一通りができるというポイントが売りで、昼過ぎに急…

2

初恋をやりなおすにあたって 小説

尾上与一  木下けい子 

プロ棋士は大変そう

幼馴染みが偶然再会するお話。
小学生のころから将棋一筋で、年若くしてプロ棋士になった灰谷雪。
九州から上京して何でも屋で働いている大須賀。
二人は小学生の頃、一時期仲良くしていたが、大須賀の母が事故死したことで、ちゃんと別れを告げないままはなれてしまいます。
ある日大須賀が、ハウスキーパーとして仕事に行った先は灰谷の家で、そこは惨憺たる状態で、、、。

生活のすべてを将棋に捧げてきた灰…

4

アヴァロンの東 ~奇跡の泉・金~ 小説

尾上与一  央川みはら 

一番好きな作家さんですが、今回はうぅん……

※辛口注意※

待望の尾上さん新シリーズ。
鮮烈な印象を残してくれたデビュー作から1945シリーズまで、とにかくいつもあっと驚かせてくれるような、とても個性的な話を生み出し続けてくださっている作家さん。
大好きで大好きで、今回の作品ももう心待ちにしていたんですが、残念ながら今作は私の心には響きませんでした。

設定は嫌いじゃないんです。
ファンタジーも中世ヨーロッパの騎士風も、鎧兜の…

6

初恋をやりなおすにあたって 小説

尾上与一  木下けい子 

読み終えた後は、タイトルまで感慨深いものがあります

繊細な心情描写と深いストーリー性で読ませてくれる、初恋再会ものになります。

こちら、序盤の印象ですが、ちょっぴりほろ苦くて甘くて優しい、初恋成就ものでしか無かったんですよね。
萌えるけど、定番だよなぁと。
が、読み進めると、その深いストーリー性に唸らされる事となる。
こう、思いがけない真実に、かなり切ない思いをさせられると言うか。
面倒くさい受けだなぁと思ってたら、彼の背負っていたも…

21

さよならトロイメライ 小説

尾上与一  笠井あゆみ 

悲しくも美しき大正浪漫

貿易商を営む宗方家に執事見習いとして入った弓削は、執事修行に励む中、宗方家の嫡男・鉄真に惹かれていく。鉄真もまた弓削の勤勉さや生真面目さを愛おしく思い、二人は淡い初恋を大切に育てていた。いつか灯台を建てる鉄真を傍で見守る事を心の支えにして精進していた弓削だったが、ある日宗方家の現当主である鉄真の父に身体を暴かれてしまう。

 阿片に毒されていた鉄真の父に諫言は通じず、他の使用人も見て見ぬふりを…

6

天球儀の海 小説

尾上与一   

星をテーマにした美しく悲しいお話

瑠璃色のとんぼ玉。鏡写しのオリオン。
 傷ついたルリビタキ。透明なインク。

 これらを鍵にしながら、物語は進んでいきます。

 尾上先生の1945シリーズの1作目で、太平洋戦争時代を生きた人達の物語。シリーズの中でもこの作品は少し異色で、日本を舞台に物語が進んでいきます。痛くて、苦しくて、切ないけれど、とても美しいお話。私はシリーズの中でこれが一番好きです。

 舞台は昭和19年で…

2

碧のかたみ 小説

尾上与一   

夢をあきらめる悲しみが胸に迫ります

第二次世界大戦中のラバウル。二人乗りの航空機でペアを組んだ、六郎と恒の青春の日々を描いています。
飛行機をこよなく愛するやんちゃな天才操縦士・恒と、温かくおおらかに恒を支える六郎は、飛行を重ねるたびに信頼を深め、やがて身も心も結ばれていきます。死と隣り合わせの中、命を分け合うように一つになりたいと願う二人に、頷きながら読みました。紺碧の空で命を懸けることに心満たされる若者らしさも、眩しく感じまし…

3

天球儀の海 小説

尾上与一   

星空のように果てしなく深い愛

奇跡の泉シリーズで、尾上さんの描く命がけの愛に強く惹かれるものがありました。
そこで1945シリーズも思い切って読んでみました。年代から死に別れを連想してしまい、なかなか手を出せずにいました。
読んでよかったと思いました。別れの切なさを越えた、星空のように果てしなく深い愛が描かれていました。

日本の敗戦がささやかれ始めた頃、希は、名家の跡取りで海軍中尉の資紀の身代わりとなり、特攻に行くこ…

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