夕映月子さんのレビュー一覧

天国に手が届く 小説

夕映月子  木下けい子 

爽やかな読後感です

たぶん好きだろうなと思ってずっとお取置きしていた作品です。
やっぱりお気に入りになりました。
主人公の二人が出合ってから次第に心を通わせていき、
唯一無二の人生のザイルパートナーになるまでを丁寧に描いてくれています。
こちらが思わず引いちゃうような作り過ぎな設定もないし、
わずらわしいほどのあてうまや外野もいない。
淡々とエピソードを重ねていってくれて、
二人の気持ちがゆれながらも少…

6

天国に手が届く 小説

夕映月子  木下けい子 

2人であってもあたたかい孤独

むき出しの自然に相対する時、人は紛れもなくその身一つ。
畏怖と感嘆を覚えると同時に、自身が一個の生命であり
突き放され包み込まれるように孤独を感じるのでしょう。
それを誰かと共有できる僥倖を
四季折々の山々の情景と登山の描写に重ね、
まるで読者も共に登坂しているかのような心持ちにさせる程、
さり気なく感覚に訴えかける繊細な物語でした。

単独で臨む者、グループを組む者とスタイルは人…

8

天国に手が届く 小説

夕映月子  木下けい子 

山の魅力にとりつかれた男二人

「一度、山の魅力にとりつかれた者は、
一生、山から離れることはできない。」
「山登りは他のスポーツと違って生死がかかっているので、
共に山に登った仲間同士には特別な絆が生まれる。」

先日までwowowで放送されていた
「マークスの山」というドラマに上のようなセリフがありまして、
「なんか、山ってエロいよなぁ~。」
と、思っていた矢先にこの本の存在を知りました。

そして、読了…

9

天国に手が届く 小説

夕映月子  木下けい子 

山に登ってみたくなった!

いや、現実的に考えたら今の私の環境では無理なんですが…ww
でも本当に登山がしてみたいと思えるくらい面白かったです!
実は最近某ソロアルピニストの影響でちょっと登山に興味があった所だったんで、今回の内容は私的にとてもタイムリーなお話でした^^

一瞬の油断が命取りにもなりかねない登山において、互いに信頼し合い自分の命を丸ごと預けられるパートナーと出会えるのは本当に稀で貴重な事なのだと思います。
最…

8

天国に手が届く 小説

夕映月子  木下けい子 

あぁ……作家買いになるな

 雑誌「小説Dear+」で、一度掲載された作家さんですね。新人賞で、賞を取れなくてもその時トップだった作品が掲載されるのです。
 で、その作品がちょっぴり切なくて、Dear+っぽくて(いい意味で言ってます)、それなのに上位の賞を取れないんだ……デビューできないんだ、と残念に思った記憶があります。

 でも、今回単行本が出て、読んでみて、よかったーーーーと思いました。
 デビューしたんだ。こ…

9

天国に手が届く 小説

夕映月子  木下けい子 

登山を知らなくてもおもしろいです

本格登山を舞台にした作品です。
これがデビュー作の作者さん、ご自分でも登山されるとのことで、山の描写が愛情持って生き生きと描かれているので、山のことを全然知らなくても,惹き込まれておもしろく読めました。

前半は、佐和が、最初は「憧れ」の存在だった小田切と何とか近づき、一緒に山に行けるようになり、登山のパートナーとしての相性の良さを感じ、同じ課のかなりレベルの高い女の子からのアプローチよりも…

8

天国に手が届く 小説

夕映月子  木下けい子 

登山経験のある人には共感を呼ぶかも?

作者さんの山好きが伝わってくるデビュー作品でした。
この題名、すごくよくわかるんです!
三千メートル級の山に登って夜空を見上げると、吸い込まれるように、夜空にまるで自分が墜ちていくような感覚にとらわれ、まさに天国に手が届く♪
子供の頃は、その星空を見て、星に手が届くんじゃないか、ひょっとしたらポケットに入れて持って帰れるんじゃないか?と手を伸ばした記憶が・・・
そんな自分の体験もあり、すご…

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