佐田三季さんのレビュー一覧

あの日、校舎の階段で 小説

佐田三季  麻生ミツ晃 

怖すぎるんだけど怖いもの見たさで続き読んじゃう

とてつもない執着攻ものですが、このレベルは突き抜けすぎてて衝撃でした。
初読み作家さんでしたが、この腹の底から気持ち悪い、最早恐怖と言えるような執着を書ききってるのに驚きです。

理解不能で気持ち悪い、言葉の通じない相手、しかもそのストーカーっぷりたるや、受が警察に相談することを本気で悩むレベル。
受は受でごく普通の性癖をもってたはずが、親友として付き合ってた相手がどんどん豹変し、監禁強姦…

6

クライ、くらい夜の終わりに 小説

佐田三季  麻生海 

受けがかわいそう……

 私は基本、切ないお話が大好きなのです。でも、この作品は読んでいてとても苦しくなったので、評価を中立にしました。
 受けが、かわいそうすぎるんです……

 この作品のキーワードは「いじめ」だと思います。この「いじめ」が、酷いんです。作品全体を重苦しいものにしています。
 昔にいじめで辛い思いをした分、受けは幸せになっているかと言えば、そうでもない。全体的に理不尽で、現実的な雰囲気の作品だと…

1

「クライ、くらい夜の終わりに」番外編ペーパー「きみの手と手と」 グッズ

笑顔が欲しかった

本編の須田の過去がキツくて、読了した後でもまだ心臓がどきどきしてる状態で、続けて読んだペーパーでした。

どうにも素直になれない、いや素直なのか?という須田と、須田が可愛くてたまらない寺岡の後日談でした。本編からどれだけの日数が経ったのかは未記載ですが、それほど月日は経っていないのかな。

ラスト、寺岡の掌を握り締める須田なのですが、そこで笑みを浮かべて欲しかったです。本編で須田の笑顔が見…

1

クライ、くらい夜の終わりに 小説

佐田三季  麻生海 

受けの過去がキツい

表題作と、後日談SSが収録されています。メインの表題作は須田(受け)の目線で進み、後日談SSは寺岡(攻め)の目線で進みます。

寝る前にちょっと手にとるつもりが、一気に読み終えてしまい、なんでこんな時間にこんな話を読んだんだ、と読み終えた自分を罵倒したくなった午前2時でした。キツかった…須田の過去が重すぎて、読み終えても心臓がドキドキしたままでした。

ストーリー展開が上手で、あっという間…

7

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

重厚感ハンパないけど、サクサク読めます

こんなに分厚い本でこのタイトルなので、読むのに覚悟がいるかと思いきや、あっという間に読めてしまいます。
佐田先生の作品にでてくる人間はヘンにいい子いい子してなくて、愛、嫉妬、憎しみ、執着など生々しい感情を持った等身大のキャラが多い。そしてそれをリアルに感じ取れる佐田先生の文章。
今回の主人公•斎木も、嫉妬、羨望、憎しみ、自己保身、後悔、そして愛情、さまざまな感情にとらわれています。

幼い…

2

ボーダー 小説

佐田三季  yoco 

ふたつの線を踏み越える

【ボーダー】
ノンケの攻めとゲイのバーテンダーの受けの話。
攻めの渡部は受けの環に近づくが、環はゲイである自分とノーマルである渡部を線引きして突き放す。好きだけど距離を置いて、好きだから遠ざかる。環の中にノンケに恋をしてしまったゲイの苦悩が伺えて読んでいてつらくなりました。

【揺れる境界線の上】
ずっと受けのことが好きな攻めと、ゲイフォビアのバツイチ受けの話。ボーダーではさんざんゲイを…

6

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

秀逸な作品

こんなに面白い作品を久々に読みました。
読後に、「ようやく読み切った…!でももっと読みたい!!」とそわそわするこの感じ。『箱の中』の時以来でしょうか。

幽霊が見える、という受けの設定を事前に聞いた時は、ちょっとファンタジー色が強いのかと思いましたが、そんなことは一切ありませんでした。
むしろ、こんなに現実味のある、リアルな人間社会を描いた作品は少ないのではないでしょうか。
人間は、例え…

7

あの日、校舎の階段で 小説

佐田三季  麻生ミツ晃 

初体験な読後感

文庫版は後日談があるのですね。間違えて単行本のほうを買ってしまいました。
でも見たいような見たくないような…(笑)
執着が勢い余ってストーカーになってしまった遠藤(攻め)も遠藤だけど、笠井(受け)の思考回路にもついていけませんでした。
とにかくこういう人達なのだと受け入れることしかできなかったです。
ただ、恋愛の狂気が他人事で恋って何さと冷めていた笠井が、いつの間にかその渦中にいるという所…

2

ボーダー 小説

佐田三季  yoco 

タイトルが全てを表現

佐田さん、初読みです。
アワードノミネート作品でしてので、ちょうど良いタイミングでした。
表題作の方は雑誌掲載のため、書き下ろしよりも短いです。
表題作と書き下ろしではカップルは別物となっております。

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攻めの渡部は、ガタイの良いノンケで30歳。
人当たりが良い、社会科の高校教師。

受けは涼しげな顔立ちの持ち主で、区役所を退職し現在…

6

つみびとの花 小説

佐田三季  上田規代 

じんわりと

静かに泣かされました。
初っ端から、北川が唯一となった家族の娘を事故で亡くすという悲劇から始まります。
北川の過去が既に凄惨なもので、愛した妻も亡くし、たった一人の大切な娘ですら失う絶望。
どれだけ傷付こうが、苦しくて息が出来なくなりそうでも、時間は平等に巡り、必ず朝もやってきて刻一刻と時を刻んでいくその中で感じる孤独。
氏家は運転していた、その事故の当事者として重い責任を感じ、こちらも苦…

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