chikakumaco
表題作は、鮮烈な愛憎の瞬間を切り取った小品。
兄が自分で気付いていたのかはわからない。
男の劣情をそそってしまう兄の色香に、弟は自身の劣情をどうして良いのか分からなくて。
それでも求めてしまう。沸点はそこまで来ていて。ある日、暴発してしまう。
よくある展開だが、物語は読み手側を置いてきぼりにして突然終わる。
表題作よりも、その後の中編、「彼らにまつわる2、3の事柄」の方が余程、「起こらな…
表題作が後日談含め、5つのサブタイトル化した連作になっていて。
自身の性癖に気付き、悩み、葛藤する槙野視点と、そんな槙野に複雑な想いを抱えながら、
それでも惹かれていく丹羽視点を交互に描いていきながら、時系列を遡ったり、周囲の人間視点を入れながら、とにかく一つの決着へと導いて行く。
どこかで何かを掛け違えていたら…?違う結末をいくつも考えられていきそうな。
ギリギリの均衡を保ちながら。息が…
これはいいメリバに出会えた!と唸りました。安易に明るい方向へは物語を運ばせなかったカシオ先生に感謝です。光が直接的に壊したのは春樹だけだったけれど、彼を壊したことで不幸は連鎖し、回り回って自分に返ってくることとなります。この流れがあまりにも救いようがなくて、でも納得するしかなくて、逃げ場のない地獄に突き落とされた感じで、ただただ作品に感服するばかりです。
心中したり、殺したりするだけなら…
春樹の瞳から光が失われ、どんよりと濁ったような虚無感をずっと纏うようになった3巻。英を心の拠り所にして必死に均衡を保っていたところから、彼の心がすっかり壊されたところまで来たわけですね。不謹慎かもしれないけれど、執着と狂気の世界観を楽しみたい読者としては、ここまで徹底して病んだキャラを描いてくださった先生に拍手を送りたいです。
終盤に向けて、物語はさらに加速度的に進んでいきます。新たに生…
英と春樹の間に恋人関係が成立することにより、ぐっと禍々しさが増し、引き込まれた2巻でした。なんだかんだ英は、あくまで春樹の良き理解者、頼れる人というポジションに留まるんだろうなと想像していたので、まさか春樹を恋人として受け入れるとは思わず、驚きました。きっと、学生時代から後輩として尊敬や憧れを向けてくれていた春樹を、可愛いと思っていたのかな。そして、光に迫られるようになってから、より一層英と過ご…
まだまだ序盤という感じで、今のところ病んだ義兄弟ものの王道的展開なので萌評価に留めましたが、これからハマれそうな期待は大いに持てる作品でした。弟の光の目がたまらなくイイですね。気弱なウサギのような瞳の時と、真っ暗な洞穴のような不気味さを孕んで相手を射抜く瞳の時とのギャップにやられました。
ある程度物心がついてからできた兄という新しい存在は、容姿にコンプレックスを持ち他人との馴れ合いに抵抗…
カシオ 猫野まりこ 茶渋たむ 高木ユーナ 栗戸なつ 如月あい ウェルダン山田 阿部はちた 束原さき 小嶋ララ子 Maria
寡作なので、次のコミックスが待ち遠しい、束原さき先生のお名前を見つけてつい買ってしまった。
アンソロジーは読み切りを中心にしておいて欲しい…。途中から買うとジレジレ感が凄い事になってしまう。バックナンバーを買おうかどうか悩ましいし、好きな作家さんのがコミックスになるのを待つしか無いのかなぁって思う。
■さて。冒頭は表紙も瑞々しい青春もの。カシオ先生、『群青夏恋』。
退屈な田舎町の夏、東京…