かわいそうな光 俺なんか好きになったばっかりに

心を殺す方法(4)

kokoro wo korosu houhou

心を殺す方法(4)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神99
  • 萌×227
  • 萌8
  • 中立14
  • しゅみじゃない8

--

レビュー数
27
得点
641
評価数
156
平均
4.3 / 5
神率
63.5%
著者
カシオ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
シリーズ
心を殺す方法
発売日
価格
¥660(税抜)  
ISBN
9784396784355

あらすじ

妊娠中の母親は気づき始める。
実子・光が見せる、
10歳上の義兄への異常な執着に。

そんな義母から光との仲を牽制されたのを機に、
春樹は姿を消した。光に忘れられる事を願い、誰にも告げず、遠くへと……。


しかし、光は、春樹を見つけてしまう。

その瞬間、春樹は逃げる事をやめ、
身体を光の愛欲に委ねた。
そして密やかに、ある未来を選択するーー。


愛憎極まる義兄弟インモラルドラマ、衝撃の終幕。

表題作心を殺す方法(4)

篠原光,春樹の義弟
篠原春樹,義兄

同時収録作品心を殺す方法(4)

英,春樹の先輩
篠原春樹,後輩

その他の収録作品

  • 番外編 4
  • bonus track

レビュー投稿数27

"悲しみよ こんにちは"

きました。ドロドロ愛憎劇、完結巻。

両親や、周りの人間をも巻き込んだ義兄弟の愛憎の果てに何が待つのか?そこに救いはあるのか?
読み手によって解釈は違ってくるものだと思いますが、私は、素晴らしい結末だと感じました。

ネタバレ無しで読んだ方が、絶対に良いです。
なので、これから読まれる方は、このレビューはとばしてくださいね…。

***

遥さんと和解して、別れ際にさよなら、って微かに微笑んだ春樹の表情に、今にも消えてしまいそうな儚さと、なにか大きな決断をしているような、そんな予感をさせる冒頭。
このシーン、全て読み終わってからまた読むと、泣きそうになる…。

そして、春樹と光、2人の絡み合いも、全巻通して最も濃厚なんじゃないでしょうか。
別荘でひたすら抱き合う2人ですが、もうえっっっろいです。春樹が。
冷めた瞳で、凄まじい殺し文句で光を誘うのに、光の本気には身体が追いつかなくて、泣いて逃げ出そうとするのとか…。エロい…萌える…

でも春樹はもうきっと、疲れ切ってたんだろうね…。
憎いけど、憎みきれない。逃げたいのに、逃げ切れない。
そんな春樹が出した決断。それは、光を殺すこと。
たった1人で、傷つき、悩みぬいた春樹が出した、最期の答え。それを思うと、この濃厚な2人のsexが、悲しくて切なくて堪らない。

でも、湖を見て、"綺麗"と呟いた光の横顔に、春樹は決心が鈍りそうになるんですよね…
本当に、その時の光がただただ綺麗で、大好きなシーン。春樹の心情に胸が詰まりそうになります。

そして、春樹の決心を予感していた光。
知っていながら、全てを春樹に委ねる。
もし、この人に、命を奪われるのだとしても…
それでも、愛してる。

けれど、2人を待つのは、何よりも辛い現実。
遥さんと、お腹の赤ちゃんの死…。

え⁉︎嘘でしょ⁉︎、そんな感じでした。
こんなドロドロ義兄弟モノなんだから、バッドエンドも充分ありえるじゃないですか。だから、もし死ぬとしたら、春樹か光か、それか諸共か…そう思っていたので、遥さんの死はあまりにショッキングでした。それに、お腹の赤ちゃんまで…

遥さんの死をきっかけに、お父さんは光と縁を切ります。どうしようもない、遣る瀬無い怒り。
それがひしひしと伝わり、胸が苦しい。…大好きだったんだ、遥さんのこと。

そして、春樹と英さんの再会。
あぁ…英さん…

やっぱり英さんは男前だ‼︎
春樹が英さんに縋ると、"そうじゃないんだ"って。
弱ってる春樹だから、そこにつけ込むようなことはしたくない。きっとそれは依存だから。
恋人としてではなく、傍にいたい。傍で、見守っていたい。
でも、英さんはまだ、春樹のことが好きなんですよ⁇なのに、自分の気持ちよりも、春樹の心を大事にしたい、立ち直らせてあげたい…。
自分の恋心は、押し殺して、友人として先輩として、春樹の傍にいて支えたい…。男前すぎるだろ…

そんな英さんのお陰で、春樹、そしてお父さんも、少しずつ日常を取り戻していきます。
元気になった春樹に、抑え続けていた恋心を告白するけど、ダメだった英さん…。切ないなぁ…( ; ; )

取り戻していく日常の中で、どうしても残る傷。
陽気にお酒を呑んでいたと思えば、4人で写った家族写真を手に涙を流すお父さんの姿が寂しい。

そして、春樹の中にも、消えない思い。
光への、思い。

3年ぶりに2人は法事で再会し、そこで春樹は光に告白します。
遥さんを殺したのは、自分だと。

光を殺そうとしたあの時、どうしても殺せなくて、どうしたらいいのかわからなくて、誰かに助けてもらいたくて…。
"本当の母親だと思って"
最後に会った日の、遥さんの言葉がよぎって…。

想定なんて出来なかった遥さんの死だけど、きっかけを作ったのは春樹だったのに、気付かない間に全て光の罪になり、光は母親も家族も全て失った。
それが、春樹の罪…。

きっと、3年かけて、春樹は光を許したのかな…。
壊れたものはもう戻らないけど、また作り直すことは出来る。今度は、自分が、光への償いをしなければいけない。

そして!ここからが!!涙無しでは読めない…
涙を流し、全てを告白する春樹。その指が光の頬に触れた時、ボロボロと、光も涙を溢れさせて、昔の記憶が蘇る。

春樹のお父さんと、遥さんの結婚式。
ウエディングドレスの遥さんが、光に微笑みかける。泣きそうになる。
そして春樹。再婚を喜べず、体調を崩ししゃがみこんだ光に、手を差し伸べてくれた人。

さっきまで苦しかったのに、それがスーッと引いていく。
たった1人、孤独から救ってくれていた母親の手を失って、真っ暗闇にひとりぼっちになった気がしていた。そんな時に、光をくれた人…

もう、なるほどねなるほどね、って、ここで涙腺崩壊ですよ!
光にとっては、春樹こそが"光"だったんだ。
光の、冷たくて暗い孤独な世界に、たったひと筋差し込んだ光だったんだ…。

泣けるBLって割とありますけど、個人的には1番泣けました。ぼろぼろ泣けました。

そしてまた…このbonus trackよ!
本編で泣かされて、ここでまた泣かされます。
もう…勘弁して…レビュー書いてる時も泣けてきた…

"真夜中に 胸をかきむしるような悲しみを 僕たちは知っている"

癒える訳ない。まだ踠いてる。そんな悲しみを背負いながら、それでも生きていかなければ。

それぞれに深い傷を負ったまま、それを抱えながら愛せるのはお互いだけなんだと、そんな感じがします。

春樹のことを、"すごくかわいかった"って思う光に、春樹への変わらない深い深い愛情を感じます。

ファンタジー色一切なしの義兄弟モノとは、こんなに重いのか!というくらいに、ヘビーでしたが、私は1巻から通して大満足です。
このラストにも、やられました。何も無かったようにハッピーエンド!なんてことはなく、深く傷を負ったがゆえに、また深く繋がり合う春樹と光、この終着に文句のつけようがありません。

素晴らしい作品をありがとうございました。

23

納得の完結です!

「義兄弟インモラルラブ」完結巻です。
1、2巻同時発売でしたが、今回も3、4巻同時発売。続きが気になって気になって仕方の無かった前回なので、こうして完結してくれてホッとしてます。

さて、内容です。義兄の春樹に異常に執着する光。姿を消した春樹の行方を血眼で捜します。そんな時、別荘の管理人からの電話で、春樹が別荘に居る事に気付き訪れます。二人だけの別荘で、濃密な時間を過ごす二人。しかし、春樹はある「決意」を固めていて-・・・というものです。

互いに傷付けあい、周囲も巻き込みと、誰一人幸せにしない二人の歪な「関係」。もう、どう落とし所を持ってくるのか不安になるほどでしたが、納得の行く形で大団円を迎えました。
ネタバレなしにしときますが、もうここまで拗れちゃったら、こうした「結末」を選ぶしか無かったんだろうなぁと・・・。それでも最後の最後で、光の未来を奪おうとしなかった春樹の気持ちと、気付いていたのに春樹と共に居た光。ここまで行き着いて、やっと二人は憎しみも痛みも、また「愛」も受け入れる事が出来たんじゃないでしょうか。

ゆっくりと傷を癒す春樹の、穏やかながら贖罪の日々。そこに・・・と、希望の光が見えるラストです。描き下ろしでその後の二人が読めますが、ハッピーエンドではあるのに、どこかしんみりした印象です。でも、そのちょっぴり切ない感じが、なんとも心に染みます。穏やかな二人の表情が、あの凄絶な日々を乗り越えて来た上にある事に、胸が熱くなるのです。

ところで英ですが、いいキャラではあるものの、イマイチ報われませんでした。まぁ、いざと言う時に間違えたり、光の圧倒的な気持ちの強さに比べると、ちょっと見劣りする部分が負け戦になっちゃったんじゃないでしょうかね。最後までいい人でした。

誰もが納得の行く幸せいっぱいのラストではありませんが、こんな終わり方が私は凄く心に響きました。

19

美しさと醜悪さ

完結しましたね(´;ω;`)
カシオ先生の作品が同人の頃からめちゃんこ大好きなので欲目もあるレビュー?感想?かと思いますがお付き合いくださいめっちゃ長いです…

とてもよい作品でした。
ストーリー・BLとしてのエロさ・作画どれも本当に素晴らしかったです。カシオ先生はわりとほのぐらい作画でエロラブコメ〜みたいな作品がここまで多かった気がするのですが今作では本領発揮…!って感じでした。待ってました〜〜〜

女性に性的ハラスメント(性的なもはや虐待といえると感じました)を受けて育った光は優しい義兄の春樹に恋心を感じ、それを性的暴力で春樹に表現してしまいます。幾度もそのような関係を繰り返し、その度に光は春樹の優しさに漬け込んでエスカレート。春樹は可愛がっていた義弟に都合のよい性的捌け口にされ続け(光は自分には春樹さんしかいない春樹さんを愛しているし春樹さんも自分のことを憎からず思っていると思ってますKOI HA MOUMOKU)、精神的に病んでいきます。この時点でだいぶ不和が生じてます1巻の序盤から闇です。

そんな中、春樹を精神的に支える存在、春樹の職場の上司(大学からの先輩)英が台頭してきます。英は春樹の事情を知らないながらも、春樹の唯一の支えとなり、二人は自然と恋愛関係へと発展します。しかし、光はそれを察知し二人の仲を引き裂くきっかけをつくり、それにより春樹は英に罵られ破局、そして辞職し職も失うこととなります。(ここで春樹が英に義弟との関係を吐露し助けを求めたらまた結末は違ったろうにと思いますが、春樹の性格的に言えなかったんでしょうね…そういうところが深いです)

どんどん精神的に人間的に病んでいく春樹、変わらず春樹に盲目な光の対比はとても痛々しさを増していきます。その頃、春樹たちの母が妊娠します。それは自分の居場所を見つけられない光を追い込み、追い込まれた光が更に春樹を追い込んでいきます。幸せだったはずの再婚家族は、光と春樹のみならず父母お腹の子も巻き込んでだんだんと不協和音を奏で始めます。春樹は家族の中に自分の居場所を見いだせなくなり、また光から離れなくてはとも思い、トびますが、光はそんな春樹の居場所を見つけてしまいます。もうここまできたら春樹は完全にどうしたらいいかわかりませんもう自暴自棄、光に体を投げ出します…二人は爛れた僅かな時を過ごし、春樹はひとつの決断をしますーーーーー

光の過ちが家族を崩壊させ、家族の人生を狂わせます。ただ、光の過ちは光自身から産み出されたものではなく、また、そんな光の過ちを誰も止められなかったことに真の悲劇性を私は感じました。しかしながら、この悲劇をただのバットエンドで終わらせなかったのがカシオ先生のすごいところだなあと思います。光の大きな過ちが春樹の小さな過ちで救われてる…と、つい感じてしまいました。何もよくないし、何もハッピーじゃないんですけど、腑に落ちるというか…
また、個人的には春樹たちの母の描写もこう思わせてる要因のひとつなのではと思っています。
母の遥は実子の光をとても愛しているものの、光に対して母として充分してやれてないとも感じていたのではないかなあ…と。そんな気持ちから春樹と一度は対立しますが、結局、春樹に対しても母として家族を取り戻そうする言葉をかけます。その言葉に春樹が最後いろんな意味ですがってしまって最強のバットエンドを作り出すんですけど、最強のバットエンドにも関わらずそこにいきついた春樹を読者の我々は責める気持ちに全然なれないそんなかんじです…
重ねて、春樹たちの父親が最後まで光を許せない・妻の遥を思っては涙ぐむを貫いていたのもよかったと思います。もしこの人が光を許せてしまったら、一気にチープな感じになってたかもしれないなあと思う次第です。罪は罪って思わせてくれるのが心にスッとはまります。

最後に、一時は春樹を救った英さんですがいい男でしたよね(´・ω・`)!ラストまでには春樹の重い事情にもたどり着き、よき理解者として春樹の支えに再度なりました。めちゃいい男です…。でもきっと一生報われないんでしょうね。悲しい…。このお話、個人的にはバットエンドではなかったんですけど、英的にはくそほどバットエンドです(´・ω・`)光と春樹の関係を越えることはできないの…ごめんね…新しい恋さがそ…ふぁいと!ってかんじです

蛇足
続編ないほうが嬉しいなと思うんですけど、パラレルとか劇中話みたいのは読みたい派です〜それだけよくまとまっていた、ここに落ちるしかないと思える作品でしたすごい
これただの文句なんですけど、帯の煽り何か好きじゃない…

16

救いなのか、堕ちていったのか?

ひゃ~終わってしまいましたね…読み終わったあとどっと疲れました(いい意味で)
最初から最後まで荒波に飲まれっぱなしでした!

春樹はほんと普通の子だったのに、どこか艶っぽくなっていって、3巻からは壊れてしまって更に淫靡に育っていきました…えっろい。
それとは逆に、光は壊れていく春樹を見て、マトモになって(見えて?)いきます。
春樹は最後、遥さんに連絡を入れるまで光のことを憎んでいたのかな…?春樹は春樹で、とっくに光に依存していたように感じました。
本編の終わりも、どちらを選んだのかはっきりとした描写はなかったので、書き下ろしを読んで「1度歪んだものは元には戻らないんだなぁ」と、しんみりしてしまいました。
またそれが安らかなのにいびつな雰囲気でとても良かったです!
1.2巻まで読んだ段階では、英さんに春樹をなんとか泥水の中から救い出して欲しいと思ってたのですが…いや、とても良いお話でした。
英さんみたいに肝心な時決められない人居ますよね…w当て馬の鏡のような人でした笑

昼ドラBLと話題の今作ですが、カシオさんはどこかインモラルな雰囲気が、絵と相まって魅力的な作家さんだと思います。
光は最後救われたので、これから自分が春樹につけた傷と向き合って静かに暖かく過ごしてほしいなーと思いました。
話は全て纏まりましたが、もっと読みたい欲が出る良作です!どろっとしたお話が大丈夫であれば、とてもおすすめしたい作品でした!

13

中々うまい終わり方でした。

待ちに待っていたにも関わらず、どうなるのか読むのが怖かった〜!全然結果が想像できなかったから。
私としては光に幸せになって欲しい、光×春樹派だから余計に。。普通に春樹の幸せを考えれば英先輩とくっつく可能性があるかもしれないし…どちらにしても、趣味じゃない評価がまだついてなかったのできっと皆様が納得いく終わりだったのだろうと読みました。

以下感想です。ネタバレもありますからご注意を


うん、神でした。なかなか、うまいことまとめられてるのでは。
3巻では光にまともな感情がでてきます。それと入れ替わるように春樹は壊れていきます。
4巻で光と春樹は3年後再会する場面があります。1巻の最初のシーンはここだったのかと思うと作者様は最後まで考えてから描かれたのかな?とまた1巻からよんでしまいました。

最後までよんで。うーん、春樹は光を選んだ様な感じにもとれますが、はっきりはしていないし、春樹は光に対してあれはまだ恋愛の愛ではないですよね。当然ではありますが。
光を見る春樹の目は英先輩に恋してた時に相手を見る目とは明らかに違いますよね。まあ、こんなに早く恋愛の愛情になるほうが変ですもんね。
でも光をほっとけないし、英先輩が思っていた様に共犯的な絆?なのかな。いつか恋愛の愛情に変わるといいなぁと心から思う。


あー!!是非続きがみたい!
英先輩には人間的にすごくいい人だし幸せになってほしい。春樹は英先輩と付き合った方が幸せになれる気がします。でも、でもです、春樹の事はあきらめて頂きたい(英先輩派の方、すいません)))
英先輩は春樹がいなくても生きていけそいだけど光は春樹がいないと生きていけない気がするから。春樹にしか光を救えない気がします。光、よく三年間も会わずに我慢できたな。

個人的感情で申し訳ありませんが、光が可哀想で全巻通して、もー、うまくどうにかしてあげたくてたまらなかった(ノД`)
光は一途でピュアなんですよ。ただ暗い過去だらけで不器用な上、違った愛し方してしまいましたが。(春樹にしてみればたまったもんじゃないのもわかってますが)

3年後、春樹への気持ちは相変わらずですが狂気じみた感じはなくなり、何だか遠慮ぎみでしおらしくなってましたし、ほんっっと幸せになって欲しい。いつか春樹が光に恋愛的な愛情が芽生えます様に。

しかし、ある意味2人はああいう形の絆でよかったのかな。違う意味での誰にも間に入れないし二人にしかわからない絆てやつなのかな?
うーん、、それでもやはり春樹が光に恋愛的な愛情にじわじわ変化していく様を是非今度よみたいなぁ。
でも、このお話のトーンを考えたらこれでいいのかな。
何だかグタグタすいません。
納得の終わりなんですが、、ハピエンととっていいのかなんなのか。。でも、残念な終わり方ではなく、かなりうまい終わり方だとも思う。3年後恋愛てきなハピエンだったら無理矢理感があるし、英先輩とまとまってたら光が救われなさすぎだし。きっと私は後味悪くて春樹の幸せを喜べなかったと思う。

やっぱり私はどうしても光よりなので、春樹の心がまだ光の手に入ってないから完璧に手に入るまでがみたい。2人が心から笑える日がきたらいいな。

10

良質なメリバに大感謝

 これはいいメリバに出会えた!と唸りました。安易に明るい方向へは物語を運ばせなかったカシオ先生に感謝です。光が直接的に壊したのは春樹だけだったけれど、彼を壊したことで不幸は連鎖し、回り回って自分に返ってくることとなります。この流れがあまりにも救いようがなくて、でも納得するしかなくて、逃げ場のない地獄に突き落とされた感じで、ただただ作品に感服するばかりです。

 心中したり、殺したりするだけなら、もっと単純に物語は終焉を迎えていたでしょう。でも、光が深い眠りについてから目覚めるまでの間、あまりにも多くのことが起きていた。それらをすべて後から聞かされ、今となっては何も取り戻すことができないという生き地獄。この一夜の間、春樹も恐怖に怯えていたけれど、後になってこの夜に起きたことを知った光もようやく自分の行いの罪深さを感じ、嘆き、後悔したのではないでしょうか。

 それでも春樹は光と完全に縁を切ることはありませんでした。彼は真実を知った英と再び良い雰囲気になり、またやり直せる可能性は十分にありました。春樹は本来、何か欠落した相手じゃないと付き合えないというわけでもなく、英のような健全なタイプとも十分上手くやっていける性格だと思います。でも、一度闇に足を踏み入れたら、そう簡単には戻れないのかもしれません。春樹の方から光に接触を試みたシーンを見て、もう彼は明るみでは生きられないのだろうな、と思いました。

 春樹が光に恋愛感情を抱けるようになったとは思えないけれど、光を一度手放したことで何か特別な情が湧いてきたのかな。あんなに自分に執着していた光を追いやってしまった、光には自分しかいないのに、という僅かな罪悪感が、年月が経つにつれ彼の中で膨らんでしまったのかもしれません。もしくは、一見健全さを取り戻したように見えて、一度壊れた心は治っておらず、思考も曖昧なままずるずると闇に飲まれてしまったのか。春樹を自ら自分の元へ歩み寄らせた光を憎たらしく感じると同時に、執着攻めとして素晴らしいとも感じました。

7

まさにドロドロ

待望の完結編です。1巻から読み直すと読み応えがすごく、放心状態になってしまいました。以下感想はかなりのネタバレになります。

1・2巻の前半も相当なドロドロっぷりでしたが、まさに期待を裏切らない後半でした。1巻の最初から光目線で話が始まるだけに私としてはどうしても最終的には光のもとに春樹がおさまってほしいと思っていましたが、3巻から春樹の壊れっぷりがすごくどちらかが死ぬという結末も(一命は取り留めます)途中仕方ないかと思ってしまいました。ガチ兄弟、義兄弟ものはとても好きなのですが、リアルに描くとやはりハピエンとはいかない設定だと思うので。最後感情的には祝福しきれない部分もありますが、でもやはり2人がくっついたことは嬉しかったし、罪を共有しボロボロになった2人だからこそ支え合えるこれからがあるのだろうと思いました。さすがにあの後英先輩のもとにいくことは罪の意識からも無理があるだろうと。しかし義兄弟もので周囲を置いていかないでしっかり描くとここまでドロドロになってしまうんだなと改めて思い知らされました。面白いけどやっぱり読むのが辛いですね。遥さんとお腹の赤ん坊が亡くなったのは本当に悲しかったです。光を殺そうかとしたときに遥さんからの電話が入るなんてどんなタイミングかと、山中なんだから圏外でいいんじゃないかと、そうすれば亡くなることもなかったのに。こんなに周りを不幸にするのもはやり兄弟ものならではですよね。お父さんが家族写真を見て泣いている姿を見てなんともやるせない気分になりました。
あと光が春樹に惹かれた描写があったことがよかったです。1巻ではそれほど描かれていなかったのでどこでそんなに執着してしまったのか不思議に思っていたので。もう一ついうとラストのピロートークも良かったです!2人を包む生暖かいような雰囲気がこれからの穏やかな日々を想像させてくれました。

6

歪んだ兄弟愛?

1.2巻を読み、二巻の終わり方があまりにも春樹が報われなくて3.4巻どうなるかと思いました。
3巻はどうしようもなく救いのない所も魅力的ですが、光が春樹に対して優しくなっていくのも見所ですね。
四巻はどうしてそうなったんだ!と思いました(笑)

他の方も書いてらっしゃいましたが、リアリティがものすごくあります。
光のお母さんが死ぬ理由はあまりなかったのではないか…と思いました。それがあるからこそ兄弟愛が引き立つんでしょうか?

長編だからこそ描ける心理描写などがとても素敵で、絵柄が物凄く好みでした!

6

bonus trackがあったから神。

なかったら中立だった。
最後まで何があってもいいから、ハッピーエンドで二人が精神的に強く繋がればいいと思ってた。カシオ先生はやっぱりがっかりさせない。受けの心がちょっと傾いたことはあっても絶対他の人とはやらない。貞操を守るって言うか汚くない。そして攻めはいつも受けに一途でそれが萌える。実は先輩の方は邪魔って感じだったけど、手出せないヘタレはどうせ脇役にすぎないから許した笑。
ヤンデレの攻めも大好き。誰にも心を開かない人が受けにだけ心を許す。
とにかくこれは名作だと思うし、カシオ先生の大ファンになった。

5

ストーリー、ネーム、萌えすべてにおいて神✨

この作品は語るべき軸が多すぎて、何周も読んでしまいます。

まずプロローグ。
初回に読んだときは気がつかなかった。
あの法事のシーンのモノローグは、最後まで読んでやっと意味がわかります。

ちょっと不気味ですが、深い愛情と絆と執着。それこそ英先輩のいう「人は変わらない」が凝縮され、ストーリーに引き込まれるのではないでしょうか。

そして、物語の骨子を支えているのは、2人とも「性犯罪被害者」であることですよね。

光は幼い頃にお手伝いさんにいたずらされた。無理矢理、不本意に性的搾取にあった。
だからこそ、好きな人、春樹にも同意を得るということを知らない。

一方、散々「逃げればいいのに」と理解されない春樹。性的イジメ被害者が、はじめは小さなセクハラだった。
でも、優しい・断れない性格や関係性から、本格的なレイプに発展するのと、よく似ていますよね。

レイプ被害者は、心が麻痺して逃げられないんですよ。

そして、光の春樹への異常なで執拗な執着が物語を加速させます。
ここで、グィッと引きこむのが、カシオ先生のネームです。

4巻に逃げた別荘を光に見つかったときのモノローグ。
………………………………………………
俺のどこに感情が残っていたのだろう
それは憎しみににている
憐憫にている
そして何にも似ていない
……
さあ全てを壊すんだ
それ以外この感情の末路を
俺は知らない
わき上がる
この劣情もろとも
………………………………………………

このあと、春樹と光は
誰もいない別荘でやりまくる一方で
春樹は光の殺害をひそかにくわだてます。

以下はそのネームです
………………………………………………
せめてお前が
くるしまないように
薬が効くまで時間を稼いで

それだけなのに
騙る言葉と
本心が
混ざり合って
泥になる
………………………………………………

「混ざり合って泥になる」

クゥ〜、痺れる表現ですよ。
「泥になる」この言葉からも春樹の善悪混じり合った心境が伝わってきます。

そして最後に冒頭の法事のシーン。
2人の傷はやはり癒されてはいなかった。でも、春樹の告白によって、寛解する2人の心。

そして光はなぜ春樹ではならなかったのか。春樹にしか執着しなかったのか。そのエピソードに涙、涙。

さらにbonus trackに登場する「かなしみよこんにちは」。この作品を登場させたことで、奥行きがいっそう深まった
2人の関係を端的に表現し、同時に絆であること。未来まで永久に持ち越すことを示唆している

大人向けの非常に良い作品でした



4

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