kurinn
恋人だった天馬を失った椿の情緒が、この作品の軸として大きく占めています。天馬が亡くなったことを知らなかったのは、心の自己防衛だったのでしょうか。あからさまに取り乱すようなことがない分、感情が読みにくくどこか危なっかしい印象を与えます。天馬亡き後、新たに椿と出会う幹。天馬一筋の椿に苛つく様子も見せながらも、根気良く椿に付き合う彼に、そうして1人の男を虜にしてしまう椿の罪深い性質を感じました。
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儚い夢の中のような雰囲気がとても素敵な作品でした。全寮制のイギリスの伝統校のような学園。そこに一生に一度の同性との恋をしにきた有持。吉田先生のタッチで描かれる男子高校生は、華奢で思春期の繊細さが前面に出ていて、そのビジュアルも好きですね。唯一残念なのは、少し展開が早過ぎたところ。設定もキャラクターも良かったので、高附と仲を深めるところ、高附から桂井へ気持ちが移っていくところはもう少し余韻が欲しか…