Sakura0904
数年前に読んでいましたが、未レビューだったので再読。最初に読んだ時よりも、いろんな作品に触れたおかげか、理解できる部分が増えたように感じます。愛を死によって贈る。冒頭から読者にもユーリにも凄まじい衝撃を与えたトーマ。身勝手で一方的な押し付けのように思えるそれがそうではないと気付くのは、私もトーマも物語の終盤になってからでした。キリスト教信仰がどういうものなのか、多少知識が増えたことも、この作品の…
最初に収録されていた『小鳥の巣』はエドガーとアランがとあるギムナジウムに転入し子供達をかき乱す話なのですが、場面やキャラの転換が激しく文字数も多めで、今は誰目線でどこが舞台なのかを瞬時に理解することができず、読み終えるのに時間と気力を要しました。あらすじは面白かったんですが、読みにくかった印象が強いです。
『ランプトンは語る』『エディス』は、エドガーとアランが今まで関わってきた人間達の回…
掴み所のないエドガーがそもそもバンパネラになったきっかけの物語が冒頭に収録されており、現在の彼に辿り着くまでの道筋がようやく少しずつ見えてきました。やはり、吸血鬼ものの醍醐味はここからでしょう。人間が吸血鬼にならざるを得なかった理由。その葛藤、苦しみ、諦め。この幼さで妹・メリーベルのためにここまで覚悟ができたエドガーには驚くしかありません。そりゃあ少年の見た目に反して酸いも甘いも噛み分けた男のよ…
ずっと読んでみたかった名作。耽美、年をとらない子供の無邪気さ、痛々しさ、孤独、温かで綺麗な愛、自己愛。そういったものが各短編にたっぷり詰め込まれていて、そこに時折萩尾先生らしい殺伐とした要素が垂らされる。隙のない世界観。展開は少し目まぐるしく、個人的にはもう少し余韻を持たせてあったらな、長編だったらなと思う時もありました。最初の章で期待したエドガーとアランの関係性は、1巻だけではまだ物足りないで…
新編集版を読んだ感想です。萩尾先生のSF作品は初めて読みました。初版は1976年発行ということで、今から約40年以上も前に描かれた作品なわけですが、まったく古さを感じさせないですね。宇宙船での試験も、現実の科学がしっかりベースに横たわった上で構成を膨らませてあるので、夢物語ということも一切なく、リアルさと漫画らしい面白さがバランスよく両立していました。
恋愛面はあるにはありますが薄めです…