かりんていん
最初に収録されていた『小鳥の巣』はエドガーとアランがとあるギムナジウムに転入し子供達をかき乱す話なのですが、場面やキャラの転換が激しく文字数も多めで、今は誰目線でどこが舞台なのかを瞬時に理解することができず、読み終えるのに時間と気力を要しました。あらすじは面白かったんですが、読みにくかった印象が強いです。
『ランプトンは語る』『エディス』は、エドガーとアランが今まで関わってきた人間達の回…
掴み所のないエドガーがそもそもバンパネラになったきっかけの物語が冒頭に収録されており、現在の彼に辿り着くまでの道筋がようやく少しずつ見えてきました。やはり、吸血鬼ものの醍醐味はここからでしょう。人間が吸血鬼にならざるを得なかった理由。その葛藤、苦しみ、諦め。この幼さで妹・メリーベルのためにここまで覚悟ができたエドガーには驚くしかありません。そりゃあ少年の見た目に反して酸いも甘いも噛み分けた男のよ…
ずっと読んでみたかった名作。耽美、年をとらない子供の無邪気さ、痛々しさ、孤独、温かで綺麗な愛、自己愛。そういったものが各短編にたっぷり詰め込まれていて、そこに時折萩尾先生らしい殺伐とした要素が垂らされる。隙のない世界観。展開は少し目まぐるしく、個人的にはもう少し余韻を持たせてあったらな、長編だったらなと思う時もありました。最初の章で期待したエドガーとアランの関係性は、1巻だけではまだ物足りないで…
新編集版を読んだ感想です。萩尾先生のSF作品は初めて読みました。初版は1976年発行ということで、今から約40年以上も前に描かれた作品なわけですが、まったく古さを感じさせないですね。宇宙船での試験も、現実の科学がしっかりベースに横たわった上で構成を膨らませてあるので、夢物語ということも一切なく、リアルさと漫画らしい面白さがバランスよく両立していました。
恋愛面はあるにはありますが薄めです…
かつてこんなにも「愛」について考えさせられた作品があっただろうか。そう思い返してみて、少なくとも私はこの作品以上に考えさせられた作品には出会ってないかもしれないなと思いました。暴力や支配は愛かと聞かれれば、多くの人は違うと答えるでしょう。ですが、それらを引き起こす嫉妬や執着、独占欲を、愛から切り離せる人もいないでしょう。愛していれば、自然と湧き上がるそれらの感情。それが結果的に相手に対する暴力や…