木原音瀬さんのレビュー一覧

無罪世界 小説

木原音瀬  よしながふみ 

何気ないものが誰かの犠牲で成り立っている

“捨てるものの為に苦しむ人がいるなら、自分くらいビールを瓶にしてもいいかと思ってね”

最後まで夢中で引き込まれるお話ではなかったのですが、BL小説でここまで愛以外のメッセージ性を持たせた作品に出会った事が(絶対数が少ないのですが)なく、挑戦的な作品だと思いました。

法外な値段で浄水器を売る悪徳業者の主人公(この設定が既に面白いのだけど、詳細は流石にないので面白さが半減して惜しい)が遠い…

0

こどもの瞳 小説

木原音瀬  街子マドカ 

予想より純

お兄ちゃんのことが、好き。
お兄ちゃんに嫌われたら、死ぬ

木原作品で近親相姦とショタなんてどれだけキツい話なんだろうとゲスな興味が湧き購入しました。
「眠る兎」がデビュー作と言われて信じられないほど文章も巧みで面白く一気読みだったので、どれを読んでもいいなと思っていたのですが、「眠る兎」は95年出で09年(恐らく)に単行本収録にあたり加筆修正されています。対して今作は99年刊行時のままの…

0

眠る兎 小説

木原音瀬  車折まゆ 

毒じゃなくスパイス

木原さんのデビュー作らしき今作も流石、面白かったです。
気弱でダサい、ゲイの現国の先生と、友人と揶揄って雑誌の募集から手紙を送った高校生の里見。高橋の人見知りなのに好きだからちょっと頑張るところが健気で、思わずにやけますし共感出来ます。里見は里見で断れず迷い、興味を持ち少しずつ流れのめり込む素直さも好感が持てるし、気持ち分かります。双方の気持ちがちゃんと読みながら理解出来、しかも嘘をついたまま話…

1

恋について コミック

大竹とも  木原音瀬 

どうしても手放せない一冊

2009年作品
当時大竹とも先生の描かれるBLが大好きでした。
短編集が多い中、こちらの作品は原作の小説があり、まるごと一冊表題作の一冊。

ウェディングコーディネーターの朝霞。
彼の初めてのお客様で新婚一年目の笹川。

偶然再会したふたりが悩み、回り道をして恋を深めていく。
もともとがストレート同士なので、恋の進め方が不器用すぎる!と
モヤモヤしたりハラハラしたり(私が)が醍醐…

2

秘密(文庫) 小説

木原音瀬  たえ 

NoTitle

木原さんの描く全然格好良くないのに愛しいと思える人物が今作でも生かされてます。
充のディスレクシアですが今なら適切なサポートが受けられる可能性が高いです、
世の中結構良い方向に変化してます。

今まで読んだ木原さんの作品の中では一番読後感が爽やかで、最初に読む作品としてお勧めです。

冷蔵庫の中身は空で人殺しは妄想だけど根本は解決してないんですね、啓太の妄想は続く可能性が高い。
全て…

4

恋愛時間 小説

木原音瀬  紺野キタ 

色褪せないBL小説

SNSにて先生ご自身が初期作品で心に優しくストレスなく読めるのではと勧めてくださったのでkindleにて入手しました。
私はBLビギナーなので知らなかったのですが最初の出版は97年とのことでもう20年以上前の作品とは驚きました。現況に合わせて多少改訂しているとはいえストーリーは色褪せていません。

内容紹介にもあるように会社の先輩と後輩の一途な大人の男の恋愛の話で4章に分かれています。

6

箱の中(文庫版) 小説

木原音瀬 

唯一無二

刑務所に興味があり、また装丁画が魅力的でこの本を読みました。BLというのも目にしましたが、その時はあまり気にしていませんでした。この本にハマってから木原小説や他のBL小説も読んでみましたが、これほどの感動とじわじわと染みる幸福は持てません。特別な作品です。
主人公堂野は真面目で市役所勤めだったのが冤罪で刑務所に入れられ、騙され全てを失い、30年の人生がちっぽけに感じるどん底の描写が、前半濃密に描…

2

WELL 小説

木原音瀬  藤田貴美 

木原版『漂流教室』は、どこまでも残酷でエグい

凄かった……他に言葉が出ない。
横っ面叩かれて、深い穴の中に落とされた気分。
これは、BLですか?
ラブは?萌は?どこにも見当たらないのですが?
ただ、執愛という意味での愛なら確かにあったかもしれません。

これは、木原先生版『漂流教室』です。
これ、今だったら出版できなかったんじゃないかな?
暴力、殺人、レイプ、カリバニズムーー
まさに、この世の地獄です。


ある日、突…

3

美しいこと(文庫版) 小説

木原音瀬 

BLにリアリティを追求しますか?

なんだこの胸のざわつき……
モヤモヤムカムカして、髪をかき乱したい気分です。
BLはファンタジーなどと言ったのは誰だろうか?
この作品はファンタジーなどではないです。
どこまでもリアルで、どこまでも残酷だと思います……

女装していた松岡を好きになった寛末と、どこまでも優しくてどこまでも純粋な寛末を好きになった松岡。
寛末よ、女装した松岡に、お婆ちゃんだったとしても子どもだったとして…

3

アオイトリ 小説

木原音瀬  峰島なわこ 

キレた時に本性が出る

木原先生のド畜生メンタルなキャラクターをたまに読んで「うわーっ」ってワイワイ一人で騒いでるんですが、今回はそういう盛り上がりもなく、ひたすら違和感を覚えたままイチャイチャする二人に「まぁBLだしな…」とか言いながら終わりました。
なんでなんでしょう。
恐らく、キレた攻めが本性をあらわすシーンが駄目なんだと思います。

攻めの周りはαばかりで、また、社会全体がΩという性への差別意識があります…

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