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葵の環境にはほぼ進展がないのに対し、永妻を取り巻く環境は目まぐるしく変化していて、ついていくのがなかなか大変でした。榊と一線を越えたのに留まらず、いつの間にか刑事局長の愛人にまでなっていて、何も知らない人から見れば堕ちる所まで堕ちた、というような展開に。しかし、彼は自暴自棄になったわけではなく、まだしっかり芯はあって、葵に繋がる糸を探し当てようと足掻いている。そんな印象でした。
秘書から…
新田先生のお堅い職業ものは最高ですね。表紙の雰囲気が柔らかいので穏やかな話かと想像していたんですが、180度違ってかなりシリアスな物語でした。刑事である永妻の生真面目さは最大の魅力。元々の気が優しいので、刑事であるために他人を常に疑わねばならない日々にストレスを感じ、そう感じてしまう自分は刑事に向いていないと気を落とす悪循環。そんな自分の心を癒してくれる盲目の葵に惹かれ気持ちも序盤で通じ合うにも…