ツボです…。
性同一性障害……と言ってよいのでしょうか…。
マリリンに憧れた少年は、心が未完成のまま世の中を旅する……
と、かっこよくまとめてみましたが…笑
今でこそ、男性が女装をしたり、女性になったり、男性がすきな男性や、女性が女性を愛したり、女性も男性も愛せる……など、性別を越えた愛の形が世の中で認められてきていますが、
この作品の世界では、まだまだそれが認められずに白い目で見られている(今の世の中でもそこまで認められているわけではありませんが…)という、厳しい世界で、その自分の性についてどう向き合っていくのか…というのをJという少年を通して考えさせる作品です。
なかなか題材は難しいですよね。
BLはファンタジーと、よく聞きますが
この作品はそのファンタジーさを抑えて、少しだけ現実を見せてくれます。
なので、他のBLを読んだときのドキドキ
ストーリーについてはもうすでに書かれている方がたくさんいるので省かせていただきます。
全体の印象として、とっても宝井先生らしい世界観でスッと世界がクリアで綺麗だなぁ〜っといった感じです。
言葉では表しにくいですが、絵の繊細さ、綺麗さがストーリーよりも先行してその物語をつくっているように感じます。
なので、同性愛として生きることについての細かな心情などよりも、恋愛……というのか、人を愛すること…のキラキラした感情が伝わってきます。
とても、女性らしい世界観で、1対1での心情を大切に見られるのでスッキリとした読みやすい作品です。
同性愛としての生きづらさや、よりリアルな世界を見たい人には物足りないものがあるかもしれません。
この作品は、15歳という多感な時期の少年が、父親(血は繋がっていない)からうける性的暴力によって心とカラダがバラバラになって……
というような始まりです。
薄い硝子窓の向こう側を見ているような、クリアでありながら霧の中を彷徨う世界観は、萩尾望都さんの独特なものであり、どんどんと引き込まれてしまいます。
SEXという行為は、一見愛情からくるもののように思われますが、実はその中に含まれる暴力性がどれだけのものかというのを、少年という立場を通して感じさせられます。
名作BLといえばこれ!
でも、BL好きな人万人にオススメできる作品でも無いのかな⁇と思います。
それでも、誰かに読んで欲しいと思うのは
この作品に含まれるテーマがそれだけ重くも希望を与えてくれるからだと思います。
P.S.キャラ萌えだけでも3時間は語れる作品でもあります